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意地悪な書き方をすると、この本を読んでも本当に読めなかったひとたちが「おじさん」ということ。でもいっぱいいるんでしょ。だからこそ、この終わり方で本が終わることにわからないんでしょ。見えなくなったのは「おじさん」が居心地いい棺にしがみついているから。
少女革命ウテナをもう一回見直したい。最終話を思い出して、わたしたちはウテナにもアンシーにもなり切れないけれど革命を起こしてやりたいね。
至る所に散りばめられた小ネタとか、現実の問題出来事との交差であったり、面白かった。何より途中途中の追い出された少女たちの楽園がすごく良かった。
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「おじさん」から少女たちが見えなくなり、それをいいことに少女たちは「復讐」をし始め、とうとう死者がでたことにより少女たちは「おじさん」のいない「安全な場所」に隔離される……というワクワクするような導入から、突然現実社会のハラスメント告発文学になり、日本に暮らす女性ならなにかしら思い当たる「事例」が並び、そこへ遠い未来と思われる世界の少女たちから見た「現代日本」のリサーチと考察が挿入される。
わたしは、あの「おじさん」のいなくなった世界の描写のほうに惹かれていたので、それを読めないことがわかった時点ですこし退屈に感じてしまった…しかしそれは、描写されてる女性が虐げられている社会について、わたしが嫌になるくらいすでに「知ってる」世界だったせいかもしれない。
最後にまた仕掛けがあり、それは面白かった。テーマとしての「連帯」や「毎日がレジスタンス」はおおいに支持します。
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んー、思ったのと違った。
欅坂の話ならそうといって欲しかった。最後まで読んだけども。
言いたいことは分かる。でも、「おじさん」を逆手にとっている場合も多々あるわけで。
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松田青子さんの小説。エッセイも読みやすくて好きだったが、小説もとても読みやすくてすぐに読み終えてしまった。強烈な「おじさん」ディス。
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これはnot for meだった…
作者の男性や社会の理不尽さに対する怒りが終始滲んでるんだけど、結論ありきで全てが語られるのは少し小説としては押し付けがましい印象があった。
フェミニズムってこういうことだっけ、今進めているよって何か特定の属性を貶すことじゃなくて全てをフラットにすることじゃなかったっけ…?
男性に対する糾弾や偏見、差別的表現をしているだけじゃ、今まで女性がされてきたことをそっくりそのまま返しているだけで全く前に進まないのでは…
多分概念上の「おじさん」だからセーフってことなんだろうけど、今同じことを「おばさん」でやったらSNS炎上すると思うのよね。それがおじさんになった途端セーフになる理屈が私には分からない。
別にこれは私が「男の人もぉ、色々大変だと思うんですよぉ」とかそういう気持ちから書いているのではなく、むしろ男性にはたくさん嫌な思いをさせられてきたし今でも嫌なところを挙げればキリがないけれど、それは女性に対しても同じである。
この本である種神聖視されていた少女にだって鬼畜生としか言いようがない人間もいるし、おじさんにカテゴライズされる人間にも清廉潔白な人がいる。
どういうカテゴリーの人間だからどうとかではなく、個人をきちんと個人としてみようよというムーブメントの中で若いフェミニストがこの本を称賛している様はなんとも歯痒い気持ちになった。
ただ、単に作者のこれまでの人生の怒りの表明を本にしたということなら、私の好き嫌いはともかく多くの女性の共感を集めるという点でも悪くない作品なのかもしれない。私は昨今のフェミニズム風文学のスカッとジャパン的展開はあまり好みではないので…。
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「おじさん」から自由になるレジスタンス小説。
「おじさん」とは、年齢・性別を問わない、家父長制や男尊女卑を内面化した人のことを指している。
差し込まれる一節やセリフがところどころ鋭く、自分の中の「おじさん」に気づかされ、読んでいて居心地悪くさせられる。
『わかんないけど、日本って特に、悪い意味で、女性のことしか見ない国だよね。家父長制が徹底しているっていうかさ。女性にそうさせている男性の存在は無視して、女性だけを問題にして、非難することが当たり前になってる。そのシステム自体は絶対に問題視しない。これじゃ男性はまるで透明人間』
ご丁寧に、そんな「おじさん」自身も幸せそうではないという指摘もされており、日本社会が退行しているんじゃないかという実感とリンクする。
それで、「おじさん」から自由なるための抵抗の方法は何か。
ひとつの方法は、おばちゃんが実践してきた、ルールを守らず「なあなあ」にするという方法だった。しかし、それでは鈍感な「おじさん」には伝わらなかった。
そこで、本書では別の方法が取られる。
「少女は永遠に少女のままじゃない/強い女性に成長し、あなたの世界を破壊しに戻ってくる」
少女が連帯して革命を起こすという方法である。
この革命を先導するのが欅坂46をモデルにしたアイドル××なのだけど、この辺から話について行けなくなる。
革命の先には「おじさん」から見られることがなくなった(身体を失った?)少女の楽園がある。楽園の描写も魅力的には思えず、ディストピア感漂うものである。
この小説は基本的に褒めなければ反動的みたいな感じはあるが、諸悪の根源は「おじさん」で、全て「おじさん」のせいで社会が悪くなっているという前提が単純すぎなんじゃないか。
twitterなんかでは「おじさん」批判は飽和していて、本小説自体が「おじさん」に対してこう反撃してやったというタイプのtwitter説話を反復しているように感じた。というか第2部の最後の方は「おじさん」の問題から「おじさんが作り出した制度」の問題に飛躍しているし。第1部と第2部に分けたのもあんまりうまく機能してない気がする。
痛快に感じる読者もいると思うけど、この本はそんなに新しいか?そんなに面白いかな。
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最初と最後がうまくつながっていないように思うけど、内容はとてもよかった。焚きつけられてる気がした。声を上げろ、黙ったまま過ぎ去るのを待つな。
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すごい話だった。冷静でいられない。
「おじさん」はまじで絶滅しろ、と思うし
まじでこんなクソみたいな国早く出ていきたい…。
読み終わったばかりで感情的なことしか書けないけど、「パワー」を読んだ時とかに感じた「日本はディストピア」という感覚がより確信になった。
ファンタジーだけどリアル。こんな場所で「うまく生きていく」必要なんてあるのかな…?
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ある日突然、おじさんから少女たちが見えなくなるところから、この小説は始まる。
何か不都合あるか?
おじさんは考えてみる。
確かに世の中から華やかさはなくなるだろう。
でも制服とか好きではないし、AKBとかなんとか坂もどうでもいいから、僕は騒ぐことはないかな。
お互いにまじわらない部分が多いから、見えなくなるのはありかもね。
それでストレスが減るなら悪くない。
そもそも、少女って何歳くらいまでを言うんですかね?
なお、おじさんから少女たちが見えなく話は何故か冒頭だけで、その世界の続きは特に示されない。
そこは、少し不満。
この小説は、おじさん社会が、女性たちの魂をいかにすり減らさせているかを描いている。
この小説のいうおじさんの特徴。
①おじさんに見た目は関係ないが、特に目つきや口もとや座り方で判別がつくことが多い。
②おじさんか否かは話はじめたらすぐ分かる。
③おじさんを隠そうとしてもどこかで化けの皮が剥がれる。しかし、おじさんはなぜか自分に自信を持っているのでおじさんを隠さないことが多い。
④年齢は関係ない。
⑤性別も関係ない。なぜなら、社会が女性にもおじさんになるよう推奨している。
気をつけよう。
気をつけても仕方がないのか。
まあ、おじさんはなるべくおじさんであることを自覚して、人に迷惑をかけぬよう生きていくべきなんだろう。
さて、この小説において、末期的となってしまった日本社会は最終的にはアイドルのxxに政権運営を委ねることになる。
女性に政権運営をさせることは、方向性として非常に正しいと思う。おじさん社会の弊害が日本の至るところに露呈しているのは確かだからだ。
まあ、日本の少子化の原因がこの小説で描かれているようなおじさん達の陰謀論の結果なんてわけはないけど。単に行き当たりばったりなだけで。
おじさんも能力なくてジタバタしているだけなんだよ。
ところでアイドルのxxは、どうも元欅坂46の平手友梨奈さんをモデルとしているらしい。
香港で国家安全維持法(国安法)違反の容疑で逮捕された香港の民主活動家、周庭さん(23)が拘束中に欅坂46の「不協和音」という歌の歌詞がずっと頭の中に浮かんでいたと語っていた、というニュースをタイムリーに聞いた。
なんか違和感だらけだが、認めなければならないのか?欅坂46。
おじさんには全然わからないのだが。
なお、著者ばマツダアオコさん。マツダセイコとは読まない。
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モヤモヤと爽快がある。でもやっぱりモヤモヤが勝つかな。ノンフィクションなのか、いやもちろんフィクションなんだけれども、革命に参加した気持ち。
いろんな意味で消費や値踏みされて、世の女性は魂をすり減らして生きてますわ…。つらいわ…。
昨今の日本の政治をみてても、うんざりするおじさんばかりだから余計に。コロナへの無対策も計画だったのね…笑。
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これを読んで、思わず最近話題になった
「母親ならポテトサラダくらい作れ」「冷凍餃子は手抜き」問題を思い出した。
この本と同じおじさん目線。
私はAKB系アイドルにはまるで興味がないので、いまひとつピンとこない部分もあったが、作者の言わんとするところはひしひしと感じられた。
しかし、くじ運最悪の日本が少子化加速させて国滅びる、の設定は面白すぎて笑ったけれど同時に鳥肌も。
松田青子、すごい!
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文学的な強度を持つ共感とは、ある社会構造の中で理解できない深淵に落ちた人間の生身の叫びによって生じるものだと思う。本書はその点で共感を回収しやすくするよう、虐げられた若い女性に読み手を限定しすぎないで、前半は女性としてのジェンダーを持つ立場で体験したことを淡々と書こうとしており、しなやかな知性と筆の柔軟さが伺える。反面、共感を訴える読者の閉鎖的な連帯感によってそうしたバランス感覚が薄れてしまうような脆弱さもあると思う。多様な読者の心を震わし蒙を啓くだけの文学的な立体感、視野の広さを持つには、こういうものなんだ、と1人で開き直る豪胆さが欠けているのではないか?
罪を暴く、勧善懲悪の陳腐なテロップに頼る小説は得てして、画一的な読書感想を堅固にした、いわゆる信者の中でもてはやされる作品になりがちだが、本書が読書感想の中で後発的にそのような価値付けに貶められないかが一点のしみとなって残る。
本書の感想は控えたい。
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すごい勢いで読んだ。おじさんを排除する、おじさんに勝つ話。でもおじさんは単におじさんだけじゃなくて、おじさん的な価値観を持つ人はみんなおじさん。男性的価値観の中で生きる私はおじさんに近いんだろうな、反省。でも結局おじさんって、おじさんに反して生きるってなんなんだろう。とりあえず、流されながらニコニコしながら生きていくのはやめたいな〜っておもった。
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「おじさん」から少女たちが見えなくなった──という書き出しで始まる衝撃の書。なにが起きたのかわからぬまま読み進めるが、女性目線で捉えた現代社会の様々な害悪が語られる。そのすべてはおじさん(年齢による総称ではない)がもたらしたものらしい。そして“笑わないアイドル”の登場。どうやら現実の存在らしいのだが、アイドルにまったく興味のないぼくにはこのあたりからついていけない領域になってきた。そして驚きの真相が明かされ、なるほどと腑に落ちた。でもまあ、生きづらいのはおっさんも同じだよと言っておきたい。
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この国から「おじさん」が消える――女性アイドルに恋する三十女の熱情が、日本の絶望を粉砕!著者初長篇にして最強レジスタンス小説