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2020/08/30 読了。
鹿の王…続くならヴァンの話かなと思っていたけれども、
ホッサルの話。
あとがきにもあったけど、
書きたいと思えるものが…ということで。
医術の話だけど、政治と人間と、多角的に話が進んでいって、きちんとまとまって本当にすごいなぁ…と。
各々が信念をもって一生懸命に生きていく姿が本当にかっこいいのだ。
ミラルさんの幸せを願いたく!
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ホッサル、ヴァンを中心に黒狼熱の真相が明らかになった後の世界の話。医術のあり方、為政のあり方、そして家族のあり方などさまざまなテーマにおいて、異なるバックグラウンドをもつ登場人物たちの常識や考えがぶつかりつつも、共存していく様はとても読み応えがあった。みんな違ってみんないい、と言っては単純だけど、一つの状況を多角的に見れる作品は改めてとても貴重だと思った。
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「鹿の王」の続編として出版された「水底の橋」。
続編は、ヴァンとユナのその後が描かれると思っていたので、ホッサル主役の物語であることに驚いた。
清心教医術の歴史が紐解かれ、ミラルと共にホッサルが病と医術に対する考えに新しい視点が生まれていくストーリー。
それを取り巻く主線の物語は手が込んだ構成で引き込まれてつつ、伏線の一つであるオタワル貴人のホッサルの恋愛観も楽しめた。シリーズを読んでいない人も楽しめると思うが、やっぱりここまで読んできたからこそ味わえる感慨がある。
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2つの異なる医術。
互いに異なる視点を持ち続ける方が、ずっと意味がある…。
違うものを持っていればこそ、いつか助け合えるかもしれない。いつの時代も、なんでも、そうなんだろうなぁ。
医学でも医療でもなく、医術。日本語って面白い。
海の向こうに新しい医術をもとめて旅に出るホッサルを見てみたい。
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黒狼熱事件のあとのホッサルとミラルの物語。
仕事でも生活でも対等のふたりだが身分差がある。
ホッサルは天才的な医師というだけでなく国を亡くした民族の次期頭領としての立場がある。
東乎瑠帝国の勢力図が変われば、オタワル医療の存続にまで及ぶ可能性があり、自ずと政治的な争いに巻き込まれることになる。
その中で巡ってきた東乎瑠帝国の清心教医術の源流を知る旅。医療の在り方と心の救いの関係。平民ゆえに距離を取ろうとするミラルとの関係。
彼らのその後も気になっていたので未来が見られてよかった。
どうでもいいけど「気ぶっせい」という言葉を初めて知った。東京の方言らしい。
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「鹿の王」の、その先を描いた物語。
黒狼熱大流行の危機が去り、東乎瑠帝国では次期皇帝争いが水面下で勃発。
同じ時期、ホッサルは祭司医・真那の招きに応じて、ミラルとともに清心教医術の発祥の地・安房那領へと向かう。
そこでホッサルは清心教医術に秘められた驚くべき歴史を知るが、思いがけぬ成り行きで次期皇帝争いに巻き込まれていき…!?という筋立て。
オタワルと東乎瑠の医療についての考え方と方法論の違い、その源となる医術の秘められた歴史に、次期皇帝と宮廷祭司医長の座を巡る政争を加えて、そこにホッサルの血筋が絡む。
承前ではありながら、人や国の名前・属性、関係性を覚えるのに、実は最後まで手間取ったのだが、単純なオタワルvs東乎瑠の話ではなく、それぞれの中にも考え方や立場の違いがあって、登場人物それぞれの思惑が入り乱れ、多様な対立軸が見え隠れする話を、作者は巧いことまとめていくものだ。
比羅宇侯を感服させたミラルの言葉には、人の命を救う医療という前作から描かれてきた、その1点の信念を言い表されて、読んでいるこちらも感じ入った。
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清心教のように宗教と医術が交わることは現実にもあると思うが、ホッサルが言うように救える患者を神を理由に救わないのは邪教だと思う。ただ、水底の橋を読み終えて、清心教の考えも分からなくもないと思えてきた。どちらも人の救済が目的の根底にあるのは間違いないと思うので。
今回の物語は、上橋先生も語ってましたが医術がメインの小説だと思います。でも、個人的にはミステリーとしても爽快で楽しく読めました!てっきり、また裏でリムエッルが糸を引いてると思っていたら、予想外の結末にまとまったのでとてもスッキリしました。最後は安房那候の本当の思いも聞けて満足です。
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人を救うべき医術が、政治や思惑によって歪められてしまうことが、今の世の中に何か通ずる気がする。いろんな思惑やしがらみで行動が変わってしまうことが多いけれど、ホッサルとミラルの様にひたむきに命を救おうとするような生き方をしたいと思う。
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医療とは何か?
病気を治すだけが医療なのか?
物語と共に考えさせられる本です。
このように記述すると、堅苦しく読みにくいように見えますが、そこは上橋先生!
テンポのよいストーリーで、どんどん読み進められます!!
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2021.1.2読了。医療小説だ!医療小説読んだ事ないけど、これは間違いなく医療小説だ!そう思った。津雅那の五十代が「若い」と表されてるのはいかにも医学分野らしいと感じた。ヤキモチ焼くホッサルは後から改めて読み返してみると可愛く見える。逆にミラル側のそれは切ないものがある。ミラルの方がその件に関してはもとから覚悟してるからかな。花部への道で馬じゃなくロバでの移動は作者の経験や調査からきてるのかな。そういや山津波の怖さを私は知らないな。山は土砂崩れ、川は洪水のイメージがあったけど両方あったらそりゃ両方合わさった災害が来るよな。真那は災難だし可哀想だな。信じていたものの根底が覆されるしホッサルの乎来那ノ大樹に対する怒りの八つ当たり先にされるし土毒に当たるし。彼氏(ホッサル)と彼女の父親(ラハル)のシーンはどっちに寄ってもドッキドキだな。「良い言い訳が見つかると〜言い訳を鉄壁の理屈に祭り上げちまう」ハッとするような耳が痛いような。心を突かれた言葉だと思った。
ホッサルは男性らしい女々しさがあって、逆にミラルには女性らしい男らしさがあるから2人のバランスがいい。思想とか考え方とか視点の面でもそれぞれらしいなと思う。ホッサルが色々諦めたくない反面、ミラルは俯瞰的な視点から受け入れられてしまうあたりもらしいと思う。ホッサルが梨穂宇の縁談を受ける気ないのは意外だった。腹括らずにまだ別の道探るのか〜。
「香酢魚」の次の章題が「発症」なんだもん。魚食べた人絶対なんか発症してるじゃん…。比羅宇侯が他に惑わされず、自分の疑問を疑問として保つことができるという部分を読んで幼い頃の前天皇様が大人に囲まれた中震えながら何かを問うたみたいな話を思い出した。上に立つ人は勿論、象徴に成る人にはそういう資質が必須なのではないかと思う。まさかミラルが安房那侯の養女になるとは。これは思いもよらなかった。決して楽な道ではないだろうけど、それでも思い浮かんだのは風になびかないほどの短髪に書物を小脇に抱え輝かしい光に向かう彼女の後ろ姿だった。シンデレラガール…。身分の差も一っ飛びというよりむしろ飛び越えてる?上橋さんの描く女性はいつもかっこいいなぁ!二つの医術を統合する必要はない。医術に限らずあらゆるものがそうであると思う。両方を双方で保ったまま交流した方が発見や活性化があると思う。読んで改めて気づいた事だけどこの考えは忘れずにいたい。解説で今までに〜冷酷な現実を知るとは思わなかった。とあったが本当にその通りでまさに真実は小説より奇なりだ。「鹿の王」は人から人ではないものの感染症の話だ。アニメ映画化の話を楽しみにしていたけどこのご時世で頓挫していないだろうか…?帯に書いてあるから大丈夫かな?表紙絵はミラルとホッサルかな。静かだけど深そうな水面に浮かぶ船に2人が乗ってて緩やかに流されてるように見える。逃げられない状況、見えないところに潜む陰謀、色々暗示してるように見える素敵な表紙だと思う。そして水底をいつも「すいてい」と読んでしまう。
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『鹿の王』シリーズのその後。皇帝継承権を巡る争いを軸に「医療はどうあるべきか?」を鋭く問う作品。個人的にはミラルが不幸にならなくて良かった。
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前作で主人公の一人だった医師のホッサルを主人公にした続編。
今回も医療の問題と共に国の行く末に関わる陰謀が絡んでなかなか骨太な物語になっていて読み応えがあった。
ただホッサルはまあ医療に掛ける意志も強さもあるのだけど、物語を引っ張っていくタイプではないなあ。
キャラとしてはミラルさんが良いね。
女性としてではなく一人の人間として立っている感じがすごくステキだ。
こう言う尊敬できる人は僕のタイプだ^^
彼女が二つの医療を両方学び、二つの医療の家を結ぶ架け橋になるのだろうなあ。
そんな続編がまた読めたらいいなと思ってしまう。
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上橋さんの本を読んでいると、文字から絵が浮き上がってくる。繊細な情景描写にリアル感を感じる。医術の本当に大事なことがスッと入ってくる。それぞれのキャラクターに愛着が湧くし、それぞれが身近な感情を持っていることにも気づける。ラストは怒涛の伏線回収に時間を忘れて読んでしまう。これからも上橋さんの作品を読んでいきたい。
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「鹿の王」のその後の話。オタワル医術と清心教医術、どちらが正しいかと問われれば現代日本の価値観では前者なんだろうけど、宗教や文化、死生観が違えばただ治すだけが患者の心に寄り添った方法ではない。そこに政治や覇権争いなんかの思惑が暗躍して、ぶつかってたはずが対話を通じて少しづつ理解していくのは感動的でした。真の黒幕は誰なのか、何を考えてるのかをミステリとして見ても一級です。
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またこの世界に浸れる時間は
とてもわくわくしました
医療に携わる者として
はっとするような言葉が所々にありました
病んだ人を救うためにできることなど、
ごくごくわずかしかないことを
身に沁みて知っている。
ただただ見守るしかない虚しさを知っている。
とてもとても心に沁みました
ふふっと笑みが漏れる最後でした