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三人の女友達。
それぞれの暮らしがパラレルに描かれていく。
それぞれの今を重ね続ける中、三人が顔を合わせる機会はほとんどない。三人の時間は重なることもなければ見えないところで関わったりすることもほぼないに等しい。
抱えるものも異なるし、互いのことを思いやり心配するほどの濃密な繋がりもあるわけではない。
誰の日常にもあり得るくらいのトラブルや小さな変化を経験しながら、それぞれが過ごす一年。
現実世界を切り取って、そのリアリティを保ちながら描かれていく叙事詩のような作品だと感じた。そう、時系列で静かに重ねられていく三人の女性の日常は平坦で抑揚はなく、気づけば逆にそれが詩的だなあ、と思った。
美しいものが一つも描かれず、三人の人生は平凡で、そこに織りなされる新たな世界観…など皆無なのに。
この作品は美しい。そう思う。
リアリティの清々しさ、潔さのようなものを、初めて小説から感じとった。
美しくないのに、美しい。キラキラしている。
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女の子3人。イラストレーターの子の描写が素直で良いなぁ。
自分がそこに入っててもおかしくないくらい、すぐそばのお話。
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これもよかった。
先週はおじさんの書いた本ばかりで疲れちゃったので好きなのばかり読んだ今週。
そうそう、あーそうやんなー、みたいなあいづちうちながら読み終えました。
わたしも本ばかり読んでる場合じゃないな、自分でそろそろ決めないと。
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つかめないけど妙にリアルで面白かったな~
働く女たちは、自分たちの年齢に自覚のないまま
いつになったら大人にカウントされるのかな~って
ふわっと思いながらだるっと毎日を生きている気がする。
わたしは奈良でぼちぼち生きたいわ。って、そんな都合のいい仕事ないねんけどな。そこそこで生きていくことがなんでこんなに難しいんかなあ。普通ってほんまにすごい大変なことみたいな気がしてきた、最近。
ほんま、そう思うわ。普通って難しい。
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すべてはタイミングなのかな。恋愛のあれこれも仕事のあれこれも。2年後に私はどんな気持ちで読むのだろう
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自分のすぐそばのお話だった。
どの登場人物の気持ちもとてもとてもよくわかる。
いつになったら大人になるんでしょうね。
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そうか、こんなもんなのか。なにかを実行ふると、なにかが変わる。いい方向なのかどうかは、わからないけど。とりあえず、お母さんに無理しなくていいって言わないと。
もし、だめだったら、悲しめばいいんだ。きっと、それでいい。
*・*・*・*・
30代女子三人の一年。
なんかよかったなー。
だめもとでりゅうさんにぶつかっていこうと思っちゃった。
親にも話そう。
いつか家を出る決心もついちゃった。
やってみて、だめだったら、その時だ。
なんも全力でやってない、ふつうの女の人が、ただ仕事をしているだけで、ただ恋愛をしているだけで、ただ親と話しているだけで、励まされる時もある。
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高校や大学で同級生だった3人の女性が、そのうちひとりの雑貨屋の開店祝いに訪れることから始まり、それから1年間が切り取られる。
柴崎さんの小説を読むときは毎回、長く続く前後の中で「そこだけ切り取られて渡された」という感覚があるが、本書は構成からしてすでにそうだ。
だらだら続く人生は、切り取られる前にもあったし、切り取られた後にも続く。
ライフ・ゴーズ・オン、の正しい作品化と言えるのかもしれない。
他の作品と違うのは、語り手の頻繁なスイッチング。
2行明けをきっかけに視点人物は3人に割り振られていく。
ただし3人だけとは限らず、彼女らに交わる人物の内面にもゆるーくスイッチングされ、この「ゆる逸脱」も面白い。
「ゆるポリフォニック」だ。
柴崎さんの小説に事件は取り上げられない、と思いがちだが、意外とそうでもない。
特に本作では、読者にとっては大したことはなくても、彼女たちにとっては「生活に地続き」な変化が起こる。
自分の店を持つ。職場の同僚の身の置き方の変化。幼馴染の引っ越し。異性との出会いと深まり。などなど。
そんな中で徐々に、母、祖母、との関係に重点が移っていく。
さらに周囲からは結婚や出産やといった「追い立て」がある。
「制限時間」がある中で自分がどういう選択をしていくのか……。
これはリアルに直面せざるをえない「事件」だろう。
女性にとっては30歳40歳に来るが、われら男性にとってはとりもなおさず「死」……女性はそれを数十年前に先取りしているのかな、とも考えを飛躍させたりもした。
とことで「ちゃんとした大人になること」を3人は考えたり、生きたりするが、これって実は、思春期よりもやっかいな問題なのかもしれない。
だって、どんな生活をしていても物足りないものがある、という感覚は思春期と共通したまま、
生活や環境や責任や将来や制限時間や死やを考えなければならない。
思春期のようにいざとなれば死んじゃえばいいんだ(オール・オア・ナッシング)という思い切りはもはや失われ、できることできないこと妥協と引き延ばしと誤魔化しと無視と挫折と敗北感と空しさと卑怯と諦めと身体的条件と……おお。
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特に何か起こるわけでもなく、3人の女性のそれぞれの日常の物語だけど、ちょっとした出来事とか登場人物の気持ちの表現が絶妙で、ずっと読んでたいなと思った
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三人称多元視点の小説であることの仕組みと効果は本文庫の解説に述べられていて、割合と正当な批評ができるていると思ったから、その事に関しては特に言うべき事がない。相変わらず本作も技巧は冴えているように読めた。
日常を書いた小説、と誰もが雁首揃えて言うのだけど、日常の描き方にも種類がある。ただただ波風が立たなくて退屈しそうなくらいで、だけど平和で幸福な日々を淡々と書く作家に第三の新人にカテゴライズされる庄野潤三という大物がいるが、柴崎友香はそれと正反対だ。波風が立ちまくりである。
事件というほどでないが、比較的平穏な描写から急にシリアスな緊張感の支配するシーンになる、ということが本当によく起こる。そうした日々の暮らしの中で避けて通れない嫌な出来事を書かせたら、たぶん近代以降、柴崎友香より右に出る者はないのではなかろうか。普段の日常を無条件に賛美するではなく、厳しい側面が絶妙なスパイスとなっている。
あと、本作では自身が大人か否か、その自覚がテーマになっている、というのは指摘するまでもないけれど、その悩ましさもうまく書けていると思う。読んでいる最中は「あの頃の未来に 僕らは立っているのかな/すべてが思うほど うまくはいかないみたいだ」という歌詞がある昔のヒットソングがあって、その曲がわたしの頭の中でかかりっぱなしだった。彼女たちは30歳という老いてはいないが、もう若くもない年齢だけども、たぶん、彼女たちが十年前の二十歳の大学生だった時に想像した、あるいは夢想した将来にはきっと立ててはいないのだろう。けれども前を向いて歩く事をやめるわけにはいかない、夜空の向こうにはもう明日が待っているから。それは珠子もかおりも夏美にも等しく訪れる明日でもある。
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20歳前から付き合いが始まった30歳の3人の女性たち(かおり、珠子、夏美)。かおりと珠子は大学同級生。かおりと夏美は高校の同級生。そして夏美と珠子はかおりを通して出会った。既婚は雑貨店主の夏美のみ、学校職員のかおりは若い男の子・準之助との同居生活、珠子はイラストレーターで以前にふられた男性との再会。3人の周りの家族(親・兄弟・夫・子ども)や職場の同僚、同棲中の若者などの人間模様が描かれている。大きな事件があるわけではなく、それぞれの世界が入れ替わりに短文で描かれて、3人が集合する場面は少ない。どこにでもいそうな人たちは正に現代の縮図を見る思いがする。
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3人称多元視点、という技法で書かれている独特の文体は、高頻度で語り手が変わるので、慣れるまで違和感があった。でも、慣れるとよりリアルな人間模様が伝わってきて、一気に読み終えた。
大きな事件が起きるわけではないけれど、30歳の女性たちの生き様が、読者に共感と勇気を与えてくれる。
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ひとはいつ「大人」になるのか。いつの間に「大人」と呼ばれる年齢になった今、ピッタリな作品だった。主人公の3人の女性が三者三様の生活を送っていく物語。平凡だけど、日常にある浮き沈みを進んでいく主人公たちに共感しながら読み進めた。
いつかちゃんとしたらとか考えてたら、なんにもできないのかもしれない
っていうかおりの台詞がその通りすぎて、印象に残った。