投稿元:
レビューを見る
新型コロナウイルス(COVID-19)が世間を賑わしている今、図書館で目にしたので、借りて読んでみました。
著者は歴史学者なので、歴史的な観点が強く、科学的な観点からはあまり語られていない本ではありますが、感染症と人類の歴史についての外観を知るにはよい本だと思います。
ちなみにこの本、感染症に関する歴史が専門ではない歴史学者が、感染症に関する過去の文献にあたりつつ、著者自身も勉強しながら書き進めたそうです。
それゆえ、どうしても、あまり深いところには踏み込めなかったのだと思われますが、それはそれで悪くない本だと思います。
また、著者が勉強に使ったと思われる参考文献もいっぱい紹介されていますので、そちらにも可能な範囲であたってみようと思います。
投稿元:
レビューを見る
過去に起こった感染症がどの様に起こり、世界がどう変わってきたかをまとめた本。
感染症の専門家では無い経済学研究科教授が、歴史学者としてまとめ上げた本。
感染症の歴史を理解するには良いと思う。
投稿元:
レビューを見る
感染症が歴史に与えた影響を記述した書だが、かなり物足りない。著者自身もこのコロナ禍で勉強して書いたと記しているのでまあ潔いとは思うが、上梓するレベルの本ではないと思った。
投稿元:
レビューを見る
スペイン風邪がやはりいちばん興味深かった。
過去の感染症は、それぞれの時代の社会と深くつながって今があることがよく分かった。
数年先にどんな時代になっているのか、その先の歴史が作られる中に自分がいるのだと実感する。
この感染症の歴史があっても、結局は見えない敵と同じことを繰り返し、そして忘れて、また新たなウィルスや細菌がやってくる。
投稿元:
レビューを見る
コロナの影響によりこの1年で世の中は変わってしまった。マスクをつけて外出し、食事の団らんはなくなり、友人との集まりは避けられるように。人間らしい活動が制限されているのだ。
本書では、これまでの歴史における感染症をペスト、天然痘、コレラ、インフルと追いながら、当時の人々の生活や社会の変遷が描かれている。歴史的な民族移動や戦争も大きく関係するようだ。
終盤は抗菌剤の開発やエイズ、エボラなど最近話題の感染症も話題としながら、では感染症は本当に社会を変えるのかとも考察している。どのみち我々は未来に進むのだと。
投稿元:
レビューを見る
いろいろな感染症についてさらりと学ぶにはよいかも。
社会にパンデミックがどのように影響を与えたのか、その影響はパンデミック後の社会を変えたのか?いくつかの事例があっておもしろい。
投稿元:
レビューを見る
【琉球大学附属図書館OPACリンク】
https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC01340895
投稿元:
レビューを見る
感染症と人類の歩みを知る 社会を進歩させる契機にも
2021/10/30付日本経済新聞 朝刊
新型コロナウイルス感染症が日本で確認されて1年10カ月、人々は感染防止のためにウイルスの知識を身につけてきた。関心が高まったこの機を逃すまいと、人類と感染症の歴史を紹介する本の出版が続いている。
ウイルスへの関心の高まりを受け、人類と感染症の歴史をまとめた本の刊行が相次いでいる
ペストのパンデミック(世界的大流行)はモンゴル軍による広大な地域の支配が引き金となり、14世紀の欧州での流行時にはデマによりユダヤ人の大虐殺が起こった。幕末の日本では黒船来襲後にコレラが流行し、国民の心情は攘夷に傾いた。『世界史を変えたパンデミック』(小長谷正明著、幻冬舎新書)はこんな事例を紹介し、感染症が歴史をどう動かしてきたのかをまとめている。
後半は人類と感染症の闘いを医学者の視点で記した。例えば、天然痘で娘を亡くしたスペイン国王カルロス4世は19世紀初め、ジェンナーが開発した種痘を植民地の人々に無償で施す使節団を派遣した。痘苗として数十人の孤児を連れた使節団はアメリカ大陸からアジアへ渡り、最終的に世界を一周した。旧大陸の感染症を新大陸に持ち込み、多くの人命を奪った欧州のもう一つの顔だ。
社会経済史の観点で人類への影響をまとめたのが『感染症はぼくらの社会をいかに変えてきたのか』(小田中直樹著、日経BP)。例えば、14世紀の欧州ではペストの流行で多くの農奴が死亡し、人手不足が農民の社会的地位を上げていった。19世紀には結核が流行する原因が工場での劣悪な環境にあるとして労働条件の改善が進んだ。英仏では児童労働が禁止され、子どもは工場労働力から学校で教育を受ける存在に変わっていった。
8月に出版された『時を漂う感染症』(新垣修著、慶応義塾大学出版会)の副題は「国際法とグローバル・イシューの系譜」。感染症が国際協調にどんな影響を与えてきたのかを振り返る。1851年にパリで第1回国際衛生会議が開催されて以降、主要国は貿易・交通の阻害要因を最小化する目的で検疫など感染症の拡大を防ぐ国際規範をつくった。1980年代以降に健康や命の保護という使命が加わり安全保障や人権保護の視点も含むグローバル・ガバナンス化に向かい始めた。
パンデミックは多くの悲劇を生む。一方で歴史を振り返ると、社会をよい方向に進歩させる大きなきっかけになった例も少なくない。新型コロナが自国優先主義の台頭などで世界に分断と混乱をもたらすのか。それとも人類は新たな進歩を手にするのか。答えはまだみえない。
(編集委員 柳瀬和央)