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織田信長と明智光秀が、それぞれ同じ事件や光景を見て独白する形式で書かれた本です。信長のような主観性の強い天才の思いと行動を解き明かすために、信長自身に語らせ、それを批判する記述を補うために、光秀の当時の常識豊かな口述を借りるという、画期的な本です。
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信長の余りにも抜きん出た独創性と、光秀の哀れなまでの凡人さが鮮やかに対比された秀作。お互いに配慮しているのに、それぞれの個性がすれ違わせているのがなんとも哀しい。
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天下を治めるのは、方破りな行動を引き起こす「覇気」と「気迫」か?それとも、感情を抑え、礼式を尊び、格式を重んじる「品格」か?歴史上の謀反事件として最も名高い「本能寺の変」に題材をとった、この小説は、個々の事件における信長と光秀両者の内面を浮き彫りにし、主従の心の葛藤を鮮やかに描き出した。なぜ、忠臣は天才的主君を討ったのか。初の独白形式で迫る歴史巨編!
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この本は、上・下巻の二冊で一作品です。
歴史小説の中でも異色の作品。
信長と光秀の独白が、交互に現れ、物語を構成します。
同じ場面を、信長が見た場合と光秀が見た場合を巧みに対比させ、両者の違いを浮き彫りにします。
時代の先駆者たる信長が光秀をどう見たのか、そして、信長の生き方を光秀はどう感じたのか?
光秀人間である私には、深く頷く場面がしきりです。
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世の中の常識や既成概念を打ち壊し、
神仏をも恐れない信長。
自らを「第六天魔王」と名乗り
光秀はその毒牙にかかってしまいます。
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トクマガ Vol.22で紹介
おはようございます。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」(ビスマルクの言葉)
お説ごもっとも。
経験だけから学んでも、一人の人生、ちっちゃいじゃないですか。
歴史から学ぶ。
つまり他人の体験から学ぶこと。
これこそ、「本」ならではです。
読んで、
歴史に名を残す英雄になりきることもできれば、
歴史から消えた英雄たちが、何を誤ったのかを経験することもできます。
経営は戦争に例えられます。
戦略、戦術、作戦、ロジスティックス(兵站)などがその例。
その意味で、中間さんが紹介した「孫子の兵法」は、最も優れた経営書の古典です。
また「クラウゼビッツの戦争論」や
戦争そのものではないですか「マキアヴェリの君主論」、
「ランチェスター理論」などもマーケターとして必読書です。
これらの本は、「よくわかる~」シリーズなどでも出ているので、
理解しやすいものを選んで読んでもいいと思います。
それから歴史と言えば、歴史小説です。
池波正太郎さんも藤沢周平さんも宮部みゆきさんも好きですが、
私は司馬遼太郎さんを圧倒的に押します。
ただ、東京支社内にも司馬遼ファンがいますので、
ここで張り合うのはやめて、(張り合う必要はないのですが)
今回は堺屋太一さんの「鬼と人と」を紹介します。
堺屋太一さんは、元通産官僚であの大阪万博のプロデューサーでした。
小渕内閣、森内閣では民間から起用された経済企画庁長官として政治家も経験されていますが、
やっぱりこの人は作家としての功績が大きいでしょう。
よく私たちが使う「団塊の世代」という言葉は、堺屋さんの書いた同名小説(1976年)で使われたのが初めて。
つまり[団塊の世代の名付け親]です。
「鬼と人と」という歴史小説。副題が信長と光秀。
もうわかりますよね。
鬼=織田信長
人=明智光秀
この小説の面白いのは、光秀が信長に仕えてから、本能寺の変までを
信長の独白と、光秀の独白、2人の独白で物語るという構成です。
同じ場面を、二人の視点で見ることができるのです。
読み進めていくうちに、
鬼=リーダー(経営者)
人=ナンバー2
とか、
鬼=上司
人=部下(私)
とか
鬼=大所高所から見通せる人
人=視点の低い平凡な人(私)
というように、置き換えられることがわかってきます。
つまり、これほどに人の心は、伝わらないものなのか。
親の心子知らず、とはこのことか、と実感します。
信長が見えているものが光秀には見えない。
信長の親心が光秀にはわからない。
信長がなぜ光秀に厳しいのか。
それは期待の証であり、愛情であり、将来を託しているから。
でも光秀は、ふてくされたり、うらんだり、悩んだり・・・。
まさに組織の縮図。
上司部下の縮図。
得意先と私たちの縮図。
信長にも言い方、接し方があったはず。
光秀も、���っと相手の立場になって考えれば・・・。
そういうことなんですよ。
人が2人集まれば、相手の立場・視点も考えないと、
ちょっとした誤解が大きな悲劇を生むこともあるんです。
堺屋太一さんは、「組織の盛衰」(PHP)という組織論についてのすばらしい著書があるので、
当然この「鬼と人と」という異色の歴史小説でも、組織運営の難しさを書き表しているのだと思います。
それにしても、小説としても最高に面白い!
歴史の中でも一番わくわくする時代。
多くの個性的なキャラが輩出された戦国時代の
その中でも代表的なキャラの話ですから
おもしろくないわけがない。
戦争はよくない。
これは世界共通の認識だと思います。
でも、戦争という生きるか死ぬかの極限状況の中で、
新しい技術が生み出され、
多くの知恵が体系的に残され、
個性的で魅力的な人格が形成される。
これも事実です。
戦争での良い上官(上司)とは誰か。
生きて連れ帰ってくれる人、だと言います。
頭のいい人でも、勲章をたくさん取った人でも、
やさしい人でも、人格者でもない。
これも、私たちビジネスに置き換えることができる言葉ですね。
できれば戦争なんかしないほうがいい。
生きるか死ぬかの経験なんて、しないほうがいい。
でも、その究極の経験から生まれた知恵や人格を、
私たちは本を通して経験できます。
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織田信長と明智光秀、相対するふたりの思考や心理描写が上手く表現された小説です。特に信長の描写はお見事!人間味を残しつつ、彼の個性が上手く書かれていると思います。
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天下を治めるのは、型破りな行動を引き起こす覇気と気迫か。それとも、感情を抑え、礼式を尊び、格式を重んじる品位か。歴史上の謀反事件として最も名高い本能寺の変を題材にとったこの小説は、個々の事件における信長と光秀両者の内面を浮き彫りにし、主従の心の葛藤を鮮やかに描き出した。初の独白形式で迫る歴史巨編小説。
この小説では、信長と光秀が、同じ事件、同じ光景を互いに独白するというユニークな形式となっている。物語は、天正10年3月14日信濃浪合にて、武田勝頼の首を確認するところから始まる。以後、過去を回想しながら、本能寺の変、山崎の戦いまで進む。
単行本は1989年の刊行ということもあり、部分的に古い部分(桶狭間の戦いや長篠の戦い、斎藤道三など)もあるが、武田信玄について、本書の信長の見方として大局を読めない田舎大名としており面白い。(逆に光秀の見方としては、従来どおり高評価をしている。)
残念なのは、小説とはいえ、参考文献が明示されていないところである。通説とは異なった部分も多々あるので、何を参考にしたのか興味深いところである。
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戦国時代の覇者、信長。古き慣習に縛られず、中世から近世へと日本を導いた男。
古き慣習側の代表として明智光秀の独白と新しき時代の担い手としての織田信長の独白を交互に交えていく形が面白いです。
信長の論理を理解できない光秀、光秀の論理を理解できない信長。
二者の掛け合いが絶妙です!
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部長に『歴史好きなら』と勧められたので。同じ歴史を信長と光秀からこうも感じ方ちがう?てのがおもしろい。堺屋さんてこんなもん書けるのになんで、道頓堀にプールとか何で考えるのか。わからぬ。。
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もともと通じているようないないようなボスと右腕の関係が、些細な事から、または、単にごまかされて来たズレの表出により、急速に壊れていく。
やはりボスは開拓者、世界を創る人。
右腕は右腕、頭ではない。
開拓者になりたい。
なれたら、殺されないようにちょっと注意。
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信長と光秀がそれぞれ独白をしているという、珍しい小説。同じ出来事に対して、全く異なる見方、考え方をしている様は、人間がお互いを理解することは難しく、現代の人間関係にも大いに通じるなと、感慨深く思いました。
それぞれの正義、信念があるのに、どうしてそれを理解し合うことができないのか。信長、光秀に対し、もうちょっと別の言い方、やり方があるんじゃない?と言いたくなってしまいます。
下巻はどんな話になるのか、楽しみです。
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織田信長と明智光秀が主人公。それぞれの立場や考えを本人が独白するという珍しい形式の小説。読んでみると織田信長の独白は、『なるほど!』ということが多くて参考になった。対する明智光秀の葛藤なども分かりやすかった。たまたま、フジテレビの新しい月9ドラマで『信長協奏曲』が始まったので、ドラマと対比しながら下巻も読んでいきたい。楽しみです!
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1993年刊行。底本1989年刊行。
織田信長と明智光秀といえば、当然本能寺の変だが、ここに到るまでの二人の心の動きを、各々の独白形式という独特のスタイルで描く。
心の動きは、些か型通りという気がしないでもないが、本能寺の変の主役二人の心裏に迫ろうとする小説である。上巻。
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「鬼と人と(上巻)」堺屋太一著、PHP文庫、1993.05.20
254p ¥540 C0193 (2020.01.17読了)(2019.01.21購入)(1996.03.22/24刷)
【目次】
文庫版への序文
その一 首 (天正十年三月十四日、信濃浪合にて)
その二 謁 (天正十年三月二十日、信濃諏訪にて)
その三 賜 (天正十年三月二十八日、信濃諏訪にて)
その四 宴 (天正十年三月二十八日、信濃諏訪にて)
その五 怒 (天正十年三月二十八日、信濃諏訪にて)
その六 道 (天正十年四月二日、信濃諏訪より甲斐台原へ)
その七 罪 (天正十年四月二日、甲斐台原にて)
その八 山 (天正十年四月三日、甲斐府中にて)
その九 炎 (天正十年四月三日、甲斐府中にて)
その十 斬 (天正十年四月五日、甲斐府中にて)
☆関連図書(既読)
「巨いなる企て(上)」堺屋太一著、毎日新聞社、1980.09.20
「巨いなる企て(下)」堺屋太一著、毎日新聞社、1980.09.20
「峠の群像(一)」堺屋太一著、文春文庫、1986.12.10
「峠の群像(二)」堺屋太一著、文春文庫、1986.12.10
「峠の群像(三)」堺屋太一著、文春文庫、1987.01.10
「峠の群像(四)」堺屋太一著、文春文庫、1987.01.10
「豊臣秀長(上)」堺屋太一著、文春文庫、1993.04.10
「豊臣秀長(下)」堺屋太一著、文春文庫、1993.04.10
「秀吉(上)」堺屋太一著、日本放送出版協会、1995.12.21
「秀吉(中)」堺屋太一著、日本放送出版協会、1996.04.30
「秀吉(下)」堺屋太一著、日本放送出版協会、1996.10.12
「世界を創った男 チンギス・ハン」堺屋太一著・大沼映夫絵、日本経済新聞社・朝刊、2007.08.05
「体制維新-大阪都」橋下徹・堺屋太一著、文春新書、2011.10.31
内容紹介(amazon)
武田勝頼を破り、天下布武を目指す織田信長。
その凄まじいまでの気迫に吞まれ、各地を転戦する明智光秀だが、次第に自らの立場に違和感を覚え始める。
両雄二人の独白形式により、互いの心中が明らかになっていく歴史巨編。