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図書館で借りたもの。
「白野真澄」という同じ名前を持つ者の、五者五様のわだかまりと秘密。生きることに少し不器用で頑固な5人を、優しい眼差しで掬い上げる短編集。表題作ほか4編。
特に良かったのは「ラストシューズ」、「両性花の咲くところ」と「白野真澄はしょうがない」も良かった。
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5人の「白野真澄」にまつわるお話。
同じ名前でも当たり前に周りの環境や抱えてる悩みは違って、その人それぞれが大切にしていることがあるのだなと思いました。
名前がテーマになってて、自分の先入観はよくないなぁと思わされました。
特に2つ目の話を読み始めたときに、あ!そういうことなのか!と驚いた時に感じました。
ほっこり、優しい気持ちに、そして大切なことを思い出させてくれる一冊です。
方言も心地よく、ほっこりしながら読めました。
「完璧な名前げな、たぶんこの世になかですよ。名前をつける側にできるのは、これでいくと覚悟を決めることくらいじゃなかとですか?でも、その覚悟こそが、愛情なんですよ」
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表紙に惹かれて購入。様々な性別、年齢のそれぞれの白野真澄のちょっとした生きづらさをテーマにした短編集。
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頼れる助産師の「白野真澄」には、美しい妹・佳織がいる。仲の良い姉妹で、東京でモデルをしている佳織は真澄の誇りだったが、真澄にはその妹にも言えない秘密があった…。駆け出しイラストレーター、夫に合わせて生きてきた主婦、二人の男性の間で揺れる女子大生、繊細な小学四年生。同姓同名の「白野真澄」の五者五様のわだかまりと秘密を描く。この世界に同じ名前を持つ人はたくさんいるけれど、どれひとつとして同じ悩みはない。少し頑固で、生きることに不器用な人たちを優しい眼差しで掬いあげる傑作短編集。
素敵なお話だったな。頼れる助産師の真澄は、妊婦や新米ママにいろんなアドバイスをし、本当に頼りになる人。だけど、誰にも言えないことがある。んー確かに、この悩みはタイミングだとかそういうのだよな。
「両性花の咲く頃」の真澄は、イラストレーターでバイトのしながらやってる。このお話は、本当に「両性花」だった。あーそう言うことねって。真澄と妹の悠希が親を名前で呼ぶ意味とかがなるほどねとなった。
「ラストシューズ」の真澄の決意。なんとなく最初から薄々気が付いていたが、それを真澄の母親に取られる。でも、母親は明るく元気でお友達との交流に忙しい。かたや残された父親の末路。もう自業自得だよね。そして、そんな父親に自分の夫を見てしまった真澄。まぁ、真澄の夫もけっこうモラハラチックなとこはあったよね。
「砂に、足あと」は、中学の時からの彼氏とイケメンでセレブなセフレとの間で揺れ動く女子大生の真澄。彼氏もいい人なんだろうけど、どこか刺激がない。セフレは優しくてカッコよくてお金持ちだけど遊びだって分かる。でも、まぁそうなるよねって。
「白野真澄はしょうがない」は、繊細な小学生のお話。嬉しいことも怖いことも苦手。色が混ざったご飯は食べれない。本当に繊細でガラスみたいな子が、転校生とその子の兄と知り合って少しずつ変わっていく。名前づけ辞典で見た真澄の名前の意味で、こんなに繊細なのは名前が「白野真澄」だから仕方ないで済ませて、当の真澄の心も軽くさせるの良かった。ただ、転校生兄がやったことは、いけないことだけど、彼にまだ中学2年生。寂しかったのかな。
さまざまな地域にいる同姓同名の白野真澄。本当にひとつとして同じ悩みも人生もない。目の付け所がすごいなと思ったお話だった。
2022.8.6 読了
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様々な「白野真澄」がおくる人生を描いた短編集。
助産婦の白野真澄は31歳で処女。イラストレーターの白野真澄はアルバイト先の書店で正社員にならないかと言われる。主婦や大学生、小学生など男女問わずの白野真澄たちが毎日を色々な思いで過ごしている。連作ものではないけど、共通して登場するのが赤ちゃんの名付け本。なぜ彼ら彼女らが真澄という名前になったのかも語られていて、名前の持つ意味がテーマ、なのかな。
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「名前をつけてやる」「両性花の咲くところ」「ラストシューズ」
「砂に、足跡」「白野真澄はしょうがない」
5話収録の短編集。
『白野真澄』という同じ名前を持つ5人の人生の一部を丁寧に切り取った物語はバラエティに富んでいてどれも良い。
妹に、夫に、恋人に感情を揺さぶられる人達、仕事や生き辛さに苦悩する人達、悩みは人それぞれだけれど、その不器用さが自分と重なる所もあって、共感したり応援したりしながら読み進めた。
潔い結末あり、痛快な結末あり、感動の結末ありとラストも色々。
多様性を尊重する包容力と優しさを感じ温かな読後感。
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はじめての作家さんの短編集。
テーマと描きかたと構成のうまさが、朝比奈あすかさんの「憧れの女の子」とか山内マリコさんの「さみしくなったら名前を読んで」に近い感じがした。
色んな「白野真澄」が悩みとかモヤモヤを抱えながら生きていて、それぞれがそれぞれの方法で乗り越えていく話。シンプルに元気がもらえる感じ。
優しいやわらかな文体と、確かにえぐってくる強さ、いろんな意味で思い当たる節のあるストーリー、どれをとっても女の人っぽくて良かった。(私はなぜか、「どうしても女性の文章を読みたい!」となるときがある)
「ラストシューズ」と表題作の「白野真澄はしょうがない」が全体的に好きだった。ラストシューズ、強い。自分の辛さをどうやって相手に分かってもらうか、の発想が素晴らしい。白野真澄はしょうがないって良い言葉。生きづらさを前向きな「しょうがない」で受け止めてもらえたら、強みになる。
「名前をつけてやる」はどっちにも共感できなかったな~!!気持ちはわかるけど。めちゃくちゃリアリティあったな。同世代の女子に読んでもらいたい。笑