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やっぱすき、奥田さんの描く世界。白野真澄という同姓同名のそれぞれの物語。どの話も好きなんだけど、表題でもある白野真澄だからしょうがないっていう、名前がこうだからしょうがないっていうネガティブなイメージを持たれそうなのに前向きな様が好き。どれも一筋縄にいかなくていい具合にひねくれてて、好きです。
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「白野真澄」という同じ名前を持つ5人の物語たち。
同姓同名って、姓名占いだと同じ運勢になるはずなのだけどね。ここにいる5人は5人とも全く重なるところのない人生のようで。同じ漢字の名前を持っていたとしても、別に同じ運命になるとは限らないということだろう。
名前の字面を見ると、清楚な少女のイメージ。白くて清潔で澄みわたる水のようなヒト。
けど、名前なんて、結局親(的な存在)が勝手に決めるもので、本人にとってそれは人生最初のプレゼントであるとともにある意味足かせにもなりうる。名前負け、とか、イメージと正反対な本人、とか。
名前って、なんなんだろう。ほかの人と区別するものであり、自分を特定するものであり、そして、自分というものを入れる箱でもあり。でも、名前によって「決められた」人生って、結局その通りには行かないもの。
自分の人生は、自分で作っていく。そういうこと。だって、「白野真澄」じゃしょうがないんだから。
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白野真澄という名前を持つ色々な人の短編集。それぞれの立場、名前に対して思い入れ、当たり前だけどそれぞれ違い面白かった。どの話も、ちくっとトゲがあり、じわじわと心に刺さる気がする
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頼れる助産師の「白野真澄」には、美しい妹・佳織がいる。仲の良い姉妹で、東京でモデルをしている佳織は真澄の誇りだったが、真澄にはその妹にも言えない秘密があった…。駆け出しイラストレーター、夫に合わせて生きてきた主婦、二人の男性の間で揺れる女子大生、繊細な小学四年生。同姓同名の「白野真澄」の五者五様のわだかまりと秘密を描く。この世界に同じ名前を持つ人はたくさんいるけれど、どれひとつとして同じ悩みはない。少し頑固で、生きることに不器用な人たちを優しい眼差しで掬いあげる傑作短編集。
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年齢も性別も立場も住んでいる場所も、何もかも違う五人の白野真澄の物語である。面白い切り取り方である。同じ名前であっても、当然それぞれが抱える問題はそれぞれに異なっており、自分の名前に対する思い入れもそれぞれなのだが、なんとはなしに、名前の印象による周りの反応には似通ったものがあるような気がするのである。「白野真澄」でなければ成り立たない物語なのだとも思われて、いささか不思議な納得感があったりもする。どの白野真澄さんも幸せになってほしいなと、つい願ってしまう一冊でもある。
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初読みでしたがすっごい良かった。
装丁の軽い感じとは違って
一つ一つのエピソードが
とっても深い短編集。
年齢性別の違う白野真澄さんたちの葛藤が
どれも切実でまた、全員愛おしい。
著者の今後の作品が楽しみ。
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5人の白野真澄の、それぞれの悩みが語られる短編集。それぞれにちゃんと落としどころがあって、モヤモヤしたままは終わらなかった。
けれど、爽快感!というほどスッキリしなかったのはなんでだろうか。悩みに共感できなかったから、なのか、共感できすぎて自分を責められるようで嫌だったからか。
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「両性花の咲くところ」がとても、とてもすき。すてきな一家。泣きたいくらい。
これ単品なら五つ星(分散してしまった)。
辿り着いた安寧の地で、(あるいは、今はもう、)世を拗ねずに
相手のことが心底好きで仲良くいちゃつく両親、なんて
かわいくて眩しくてとても楽園。身をもって幸福が実在することを教えてくれる。
表題作は安易に触れられない。
嫌いじゃない。
……下克上する話は、同じ穴のむじなっぽいから、あまりすきでない。
それでも、ということにしても、母親の選択の結果にしても、しょんぼりしちゃう。
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「なまえじてん〜子どもの幸せな未来のために〜」という本が登場する連作集。読後感は悪くなかったが玉石混交な印象だった。
最終話以外、どの話も主人公が似ていると思った。相手から常に距離を置いた人間関係を築き、「この人はこういう人」と決めるとその枠から評価を動かさない。相手に飛び込んで相手を変えようとすることも、自分が変わろうとすることもしない。ある意味「冷めている」人格。著者の性格が反映されているだけなのか、同じ名前だとそうなると言いたいのか、わからない。
題材はネット恋愛だったり、性同一性障害だったり発達障害だったりと割と今の世の中にキャッチーなものから、熟年離婚やセフレといったちょっと前に使い古されたものまで、野次馬的に飽きずに読めた。
3話目の「ラストシューズ」がいただけなかった。あんな風に夫に「意地悪」をすることに何の意味があるのだろう?長年の恨みを晴らすのにあんなやり方ってある?あれでは単に旦那さんの恨みを買って終わりであろう。あそこで主人公の思う通りになって、それで何か良いことがあるのだろうか?それまでの描写がリアルだっただけに、あの終わり方がとても残念だった。もうちょっと練ってもらって、同じ境遇にいる読み手みんながスッキリするようなお話だったら良かったのになあと思った。個人的な希望。
表題作の「白野真澄はしょうがない」は面白かった。子どもの世界の切なさも、ある特性を持つ子の感じ方も、この名前が持つ強さも、共感が持てた。この最後の話を読んで、これまでに登場した白野真澄さん全員に「頑張ってね。」とエールを送る気持ちになれた。
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狙ったわけじゃないが、先日の『同姓同名』に続いて同姓同名の話。本作は一同に会するのではなく、別々の短編集。「両性花の咲くところ」とタイトル作が良かった。
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同姓同名5人の白野真澄が主人公の物語。「なまえじてん」繋がりの構成や名古屋、福岡、大阪の方言が飛び交うなど楽しく読めた。共感することが多々あり、装丁もかわいらしくて親しみを感じた。
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短編集5編
それぞれの主人公が白野真澄という名前つながり。助産師、イラストレーター、靴好きのおばあちゃんなど年齢も性ももちろん職業も何一つ同じものはない。だけどこの名前からそこはかとなく立ち上ってくる雰囲気に、似通ったところもある。名前の造る人格ももしかするとあるのかもしれない。
私は小学4年生を主人公にした表題作が良かった。
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同じ白野真澄という名前の人の、それぞれのエピソードが五篇入っている。
それぞれ違う趣の話で楽しく読めます。
僕は「砂に、足跡」が好きでした。若い時の焦りというか視野の狭さというか、後から思えば「何で」って思うような感情がよく分かって楽しかったです。
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同じ「白野真澄」だけど、
それぞれ違う人生を歩んでいる。
何でこんな設定の本を書こうと思ったのか。
作家さんの発想ってすごいなあ。
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同姓同名の白野真澄たちがそれぞれ悩みを抱えながら生きていく姿が描かれている。
年齢も性格も境遇も全員違っているのにもれなく全員応援したくなるのが不思議だ。
大切な家族や友人が道を間違えないようにそっと見守っているような優しい気持ちに包まれた。
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白野真澄は、から始まる同姓同名5人を描いた短編。所々繋がっていて、同じ本や前作の白野真澄がサラッと名前だけ登場したり。設定は面白いが、文章を読んでいて、心が動くような内容ではなかった。単純に作者の方が、こんな設定の物語書きたいなーて書き上げた内容かな?と思うような、自己満的な完結が多いような気がしました。個人的には読んでいる私の気持ちを置いてビュンビュン場面や時間が変わっていったり、気持ちが揺れ動くような深掘りしてほしい場面も、スッと一文で終わられてたりで、惜しいなと。奥田亜希子の他作品も読んでみて、良さを発見してみようと思います。