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文書が読みやすく、話の進め方のテンポも良いので、どんどんページをめくりたくなります。
椎名少年と周囲の情景、空気といったものを、その時代を体験していない私でも、ありありと想像することができる巧みな表現力が素晴らしいです。
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椎名誠が小学生から中学生になる頃の家族のお話。あとがきに「本当の話を書いていく。できるだけ、誇張も矮小化もせずに、記憶や記録や身内の誰かの話を聞きながら書いていく」と書かれているように、私小説。場所は、千葉の湾岸地域、今はディズニーランドや大きな会議場のある場所になっているが、時は1950年代、戦後の復興期で戦争の傷跡が残る。家族は大家族だが、家族の誰かは戦死しており、戦争で傷ついた人や戦争未亡人も多い。TVはまだ限られたところにしかなく、プロレスの力道山の活躍に拍手をおくった日々。まだ何もない海辺の町のお話。嘘偽りない私小説だからこそ、そこには哀しい話も多い。ユーモアと笑いにあふれた椎名ワールドとはやや違う世界。椎名誠も後期高齢者、良きにつけ悪しきにつけ「老い」を感じさせる掌編。物悲しくも、ほんのりやさしさが感じられる。椎名誠が、最期に語り、残したいものは?
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シーナ少年のその後を描いた第2弾。本書では中学生になった彼と、周囲の人々やその暮らしが語られる。椎名さんの著作を追っていけば、どのような人生をたどってきたかだいたいのところはわかるのだが、少年時代のことをまとめて書かれたものは初めて読むので新鮮だった。もっと暴力的な姿を想像していたので、意外とおとなしめでビックリ。本を読むきっかけになった出来事などもあればうれしかった。愛犬ジョンの顚末には目を白黒させてしまった。
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自身の小学生の頃を題材とした私小説です。
とは、言いつつもフィクションは入ってい
ないとあとがきでも語っているので、本当
に子ども時代を回顧した思い出ばなしなの
でしょう。
今後は中学生、高校生と成長して、最後は
あの「哀愁の街に霧が降るのだ」の時代へ
とつながっていくのかな、と思ったのです
が違うらしいです。
さすがに多感な思春期を克明に描くのは気
遅れするのか、この物語はこれで終わりの
ようです。
あとがきで自身の家族と一緒にニューヨー
クで過ごす夜が出て来ます。
「人生の中で今夜はかなりいい夜なんだろ
うな。これこそ私小説の個人的なクライマ
ックスなのだろうな」と感じたそうです。
そんな風に思える人生は素晴らしいです。
しみじみと家族のことを考えるきっかけと
なる一冊です。
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岳物語を勧めてくれたのは父だった。そもそも椎名誠を教えてくれたのは父だった。小学生の頃の記憶はあるけど、こうやって詳細に書き出す事は無いし、そもそも思い出そうとしていない。ただ、12月になると、この時期に夭折した幼馴染を思い出す。
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椎名さんの暴露本、続が出ておりました。
前回はどういうところで終わっていたのか記憶にありませんが、マコト少年は中学生になり、父親は亡くなっていて、お母さんと、長兄と弟と暮らしていて、離れのようなところに叔父さんとその息子が住んでいるので家族同然にみんなで暮らしています。
長兄は父親の仕事を継いで(会計士?)あまり家にいなくて母は、部屋を改築して、日本舞踊を教えています。
マコト少年は鶏を飼ったり、愛犬や愛猫と戯れたり、友達と無茶な遊びに高じていて、勉強はあまり好きではないみたい。
話に時々出てくるもう一人の兄が後半ちょっといろいろあって母の心配の種になるけれど、マコト少年にはまだそのあたりは詳しく知らされず、まあ活発で腕白な中学生活を過ごすのであります。
まだ思春期というところまでは行きません。愛犬を失ったことが人生で一番つらい出来事であります。
まぁ人生はいろいろなことが起こるよマコト少年。
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思わず「イキオイヨク」「フハフハ」「タノシミ」「ヨロコビ」などが頭の中で飛び跳ねてしまう。
そーゆーの好きだけど。
読み終えたとき、ついつい自分の子ども時代、昭和の風景、家族や親せき、近所の人たちのことをしみじみと考えたくなった。
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久々の椎名誠。
私小説の中で、この作品は椎名さんの家族を知るのに貴重な本。
今回は、後半涙が出てきた。
愛犬ジョンが行方不明になって、椎名少年が一人で一生懸命に探すところが
愛犬への愛情がにじみ出てきて、椎名少年の純粋な心が58歳の自分に伝わってきた。
そのほか、あとがきに書いていたことは初めて知った。
『予知夢』の事が書いてある。
ある日、長いこと合っていなかった母親が自分の腕で苦しんでいて、今にも
死にそうな場面の夢を観た。
その朝、早くに兄弟に電話して実家に向かう。
そのあとに母親の訃報の連絡が入った。
こんな事って現実にあるんですねえ。
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椎名さんの小学校高学年から中学時代をモデルにした私小説。父親が亡くなり、踊りの教室を始めた母親と年の離れた長兄、叔父さんとその息子、弟、そして愛犬ジョンと猫のハチ。昭和の千葉の海沿いの町の少年時代を描く。
まるで兄弟のようだった愛犬のジョンの最後がすごすぎて、唖然としてしまう。すごい母親だ。
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シーナさんの豊かな少年時代の話。もちろん悲しい出来事や複雑な出来事も起こります。読んでいると、大人のシーナさんのイメージ通りの「自然に親しみ、遊びをどんどん作り出す子供時代」を送ったのだなと納得するのですが、あとがきには「書いていて気持ちが暗くなってしまった」と書かれていました。
『僕は眠れない』にしてもシーナさんのタフでワイルドなイメージとは違う一面を見せてくれるところも魅力だと思います。