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アイヌのクマハンター、姉崎氏の語る「自然」「クマとは」「クマと人間の関係とは」。
元の単行本が2002年刊というのを頭に置いて読まなければならないが65年にわたり山に入りクマを獲ってきたきた姉崎氏の言葉は重い。
クマの気持ちになって山を歩くという。そうすればクマがどのように行動するかが読める。そこで先回りできる、と。クマは非常に頭の良い動物で追われていると思えば「止め足」をして人間をやり過ごし、後ろから襲うことは朝飯前。
ただし、クマは昔はアイヌの毒矢、今は銃を持っている動物という事で人間を恐れている。人間がいると思えば「来るな」という意味でわざと荒い息の音を立てたり、地面をドン!と叩いたりして存在を知らせる。
アイヌの時代から「人間の味を覚え襲うことをためらわくなったクマは駆除するしかない」とする。アイヌの間でも普通はカムイ(神)として敬意を集める対象であるクマも人を襲ったクマは「悪いもの」として駆除しその肉や皮は絶対家の中に入れない、と。
今の山は針葉樹の植林が進みクマのエサを提供する広葉樹が減っている。日差しが遮られ下草が生えない。そこでもクマのエサが不足する。
エサがないからクマは人間の居住域に降りてくる。特に2-3歳の若いクマはまだ子供で山のことをよくわかっていないということもあり居住域近くで農作物の味を覚えると山には戻れない。
※書名が…もったいない。クマに出会ったらどうする?というところだけ、バラエティー番組風に取り上げていうるような印象を与える。実際は、中身の濃い、「クマと人間」論なのに。
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本屋に置いてあったのをなんとなく…取って読んだ感じだった。
普段ビジネス書を読むように心がけている中で、すごく面白かった。
アイヌも含め、自然との共生って難しいことではなくて
この本に書いてある通り、昔からやってきた人為をそのまま受け継いでいくことが大切だと感じる。
SDGsが広く知れ渡った価値観となり、アウトドアが楽しみの一つとして若い世代にも受け入れられるようになった。
確かにそれは"人間の都合良く修正された自然"かもしれない。
それでも自然を残し、楽しむスタイルがこれからも広まっていけば良いと思う。それだけでもこの本が出版された15年前以上に比べたら大きな進歩なんじゃないかな。
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前半は繰り返しもあり少しダレてしまったが、後半のクマに会ったらどうするかあたりからは、とても興味深かった。
登山をするのでその上でも少しでもクマを理解したくてこの本を手に取った。
ヒグマには数十メートルの距離で何度か遭遇しているが(知床、十勝)、その時は相手の雰囲気から危険を感じることはなかった。
この本に書かれているように、本来ヒグマは臆病で、そのヒグマと共存するためにはヒグマの生息域に足を踏み入れる人間がきちんとルールを守らなければいけないということを再認識した。
単に"クマは怖い"と思っている人に読んで欲しい。
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クマが怖すぎて、手に取っただけだったけど、
クマの生態、姉崎さんのクマに対する思い。
感動したし、おもしろかったー
人間とクマ、関係ないと思ってたけど
人間のしたことで森に食べ物がなくなって
自然に生きていた動物がいなくなって、、。。
それがいつか人間にも返ってくるってことだよね。。
「この世に無駄なものは1つもない」
自分だけが生きようしてちゃだめだなー
姉崎さん、同じ人間とは思えないすごい人生だなー
熊はまだ怖いけど、、よそよそしい感じの距離感で、うまく共存できるようにまたなることは難しいんだろーか
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北海道の熊狩り名人が語る自身の生い立ちと、熊との長年に渡る付き合いの中、獲得した熊知識を詰め込んだ作品。
自分自身熊との遭遇は一度も経験したことがないが、遭遇したとき果たして冷静なまま対処できるのか、何かしらのヒントが欲しかった。
熊と遭遇したときの対処方は、熊の目をじっと見続け、その壮絶な睨み合いを制することで大抵解決するらしいが、人を1度でも殺めてしまった熊には効果はないとのこと。
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北海道で登山をしているので、もしヒグマに会ったら怖いなぁと思ってこの本を読み始めました。
しかし読み進めてみると熊の生態や熊とアイヌの関係へ大半のページが割かれており、大変勉強になった。そして熊に対する理解が深まるごとに熊への恐怖もなくなっていきました。ヒグマに関しては恐ろしい事件ばかりが目立っていて、本当のヒグマというをもの知らなさすぎたのだなぁ、と。
最近は市街地にもヒグマの出没が増えているが、元々里に下りる原因を作ったのは人間側なのだから、簡単には駆除して欲しくないなぁと思わずにはいられない。姉崎さんが言っていた、仮に規制を設けたとして、クマの方はルールを守っても人間は守らないだろうと言う言葉が痛い。
北海道に住む人にはぜひ読んでもらいたい。あと、この本を読んだ後に漫画のゴールデンカムイを読んだらこの本で既出のエピソードや姉崎さんと同じ名前の猟犬が出てきたりと更に楽しめた。
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ほぼ全編にわたってインタビュー形式という、珍しい本だった。
が、著者と、アイヌ最後の熊猟師姉崎さんとの、熊に対する真剣な思いがひしひしと伝わり、案外読みやすかった。
「自然との共存」などと、安っぽい言葉では括れない良本。
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かわいい表紙に似合わず、語り手の姉崎さんは熟練の猟師のお爺さんだ。クマ狩りだけでなくアイヌの血統でアイヌの文化に詳しいことや生きた時代からもマンガ『ゴールデンカムイ』のアシリパのモデルになっているのではないかなと感じた。
クマの歩く音は季節によって違うこと。(夏のクマの音はサワ、サワ 青草が伸びきっている中をクマが歩く音。秋のクマの音はガサ、ガサ 落ち葉を踏む音?)
野ネズミいっぴきのためにヘリコプターから毒物を撒くと森が死ぬ。キツネ、タヌキなど肉食動物や虫や植物、水も変わってしまう。
『沈黙の春』と同じことを言っている。
山でたくさんの時間を過ごした姉崎さんも自然はそのものだけで存在しているのではなくて、周りのあらゆるものが影響しあって存在しているということをよく感じている。
相互忌避=相互の尊重ということ。
同じ空間によそよそしくすることこそお互いを邪魔しないということなのは目から鱗だった。
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クマの気持ちになってみる‥本を読みながらなんとなくクマの気持ちになれた笑
最強で最悪の生物って人間なんだなと思った。
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素晴らしい! インタビュー形式がほとんどで、少し苦手な文体が星5つでなく4つです。
本自体というよりアイヌ民族としての姉崎さんに対する深い尊敬の念を抱かされた。よくもこれだけクマのことを知り尽くすことができたことに驚かされる。
クマの住む真っ暗な闇の山の中に入ってキノコ狩りをするなどということは度胸となにか信念のようなものを持っていないとできることではない。そう言った様々な体験からクマのことを決して危険な生き物ではないと知る。クマは人間を恐れ、じっと人間を観察しながら距離をとって接触を避けているらしい。クマと長年接して山で生きてきた人のみ得られたクマと野生哲学だろう。
山登りをしていると常に野生動物の息吹みたいなものを感じる。クマが出てきたらどうしようということはずっと考えてもいる。そうした不安にこの本はかなりのヒントと対処を与えてくれた。
文中に紹介された星野道夫の「アラスカにクマがいなければ安心して山を歩き、野営し、自然を観察することができる。しかし、そうなるとアラスカは緊張感のないなんともつまらないところになるだろう」という文言が印象に残っている。
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アイヌの猟師の方に聞き取りをするという形で書かれた本だった。
自分も登山をするのでクマへの対処という部分を特に集中して読んだ。この本によるとクマに対しては堂々としていたずらに怯えないで対処するのが良いという結論だった。
夏山の時期にまた読み返したい。
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名著。感情論でない現場主義のヒグマ論。生き残るための知恵もあれば、クマへの深い愛もある。その奥深さに刮目せよ。
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図書館で借りた読みかけの本が何冊もあったのに、本屋で偶然パラ見したこの本があまりに面白くて勢い購入、読破しました。タイトルは「クマにあったらどうするか」で、実際クマとエンカウントした場合の対処法も書かれていますが、地球で人間が他の生物と共存していくにはどうすればいいのかという大問題にも示唆を与えてくれます。
昨今のクマ問題に関して、自分自身の中で「処分すべきか共存すべきか」の答えが出ていなかったのですが、結論が出ました。読んで良かった、ありがとうございました。
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人間にとって悪い部分があったとしても、人間に役に立っていることもある。人間本位の生活でなく、熊との共存を考えさせられました。
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kumaにあったらどうするか?
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クマにあったらどうするか?
帯に「あなたがクマにあったらどうしますか?」と質問していて4択になっている。「本書を読む前にお答えください」と書いているので、とりあえず答えておいて本書を読み始めた。以下の四つである。
①死んだフリをする
②木に登る
③リュックを置いて逃げる
④腰を抜かす
私は引っ掛けだと思っているから、巷に言われている①は選ばない。③を選んだ。
で、本書後半に、答が一応わかるのですが、ちょっと驚愕です。
アイヌ民族最後のクマ撃ち猟師である姉崎等さんは、2013年に亡くなった。90歳だった。本書はアイヌ研究のスペシャリストで、映像ディレクターの片山龍峯さんという最高の聴き手を迎えて、約330ページに渡ってその経験と知恵を余すことなく記した本である。おそらく、ヒグマ撃ち猟師の中で、この本を読んでいない者はいないだろう。それだけ説得力と具体性に富んだ本だった。
また、姉崎さんは、近代的な武器(銃)や装備を使ってクマ追いをしているけれども、それでも原始の縄文人がどのように猟を行ったか、いろいろと想像出来る語りになっていた。ほとんど自然と一体になった、その行動のひとつひとつ、とっても参考になった。
昨今のクマの里山出没、人喰いクマの出現で、都会の人間は「クマって怖いなぁ」と思っているかもしれない。「クマが怖い」という言葉が怖い。と、姉崎さんは言っている。これを読んで私は、「少し環境が変わっただけなんだ、クマは昔から怖かったし、怖くなかったんだ、今もそうだ」と思った。
温暖化の影響、長い間の里山開発、等々の理由があるとは言え、昨今の熊の大量里山出没を、姉崎さんならばどう思うだろうか?どのように対処の提言を示すだろうか?ホントに「クマの気持ちがわかる」姉崎さんの意見を、是非とも聞きたい。