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「アンダーグランド」以来、変わったと言われる春樹だが、本当に変わった。何かしら、神戸の地震にかかわりがある短編集なんだけど、粗筋を言うと普通。ひねりもなにもない。が、この空虚さは何なのだろう。
帯に、「人々の抱える廃墟が静かに共振を始める」ってあったけど、まさに共振させられてしまう。
「からっぽ」の自分を抱え、「この人となら一緒に生きてはいけなけれど死ぬことはできる」と思う人。「生と死は同等の存在なのだ」と語る人。人は何かしらの、空虚を抱いて生きてるものだけど、それに気づいてしまった時、いや、それに囚われて生きていけるものなのだろうか? 多分、提言しているのはそんなことなのかもしれない。
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阪神大震災を背景にしてますが登場人物たちは直接ではなく間接的に関与しています。最終話「蜂蜜パイ」は唯一の書き下ろしで、一番未来のあるラストだと。
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この作品では、震災の直接的な被災者ではなく、直接的な被害を受けなかった人々の心が傷つき、損なわれていく様子が描かれます。その有り様は、直接的な叫びがない分、深くそして暗いです。特に印象的なのは、テレビの震災報道番組を見続けることで心を損なっていく二人の登場人物。連日の報道で発せられる原発の恐怖と被災者の痛切な叫びによって、ネガティブな感情が頭をもたげかけた私にとっても、他人事とは思えませんでした。親をはじめとした周囲の人々の強い影響下にあり、自主的に客観的な情報を収集することが難しい子供にとっては非常に深刻な問題だと感じます。
現代社会には自然災害以外にも無慈悲な闇は数多く、それによって失われてしまった物や心は元の形に戻すことはできません。ただ、『蜂蜜パイ』の淳平のように、正しい時に強い心をもって行動することで、かけがえのない人が闇に引きずりこまれる事態は防ぐことは可能です。
失う物の大きさは失ってからしか分かりません。いつ来るかわからない事態に後悔することのないよう、自分自身の研鑽は常に怠らないようにしなければならないと強く思う次第です
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それまでの作品であった比喩的な表現はほとんどなく文体が変わった感じの小説。それでいてやはり村上春樹的世界なんですよねえ。
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ラストの「蜜蜂パイ」が最高。阪神大震災をバックグラウンドにしていると知って、一瞬、読むのをためらいましたが(経験者なので)、こんな描かれ方ならむしろ嬉しかった。
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今年で阪神淡路大震災から10年。あの震災は日本人の中に今でも一つの傷として残っているのかもしれない。震災とどこかでリンクする人々のそれぞれの物語。
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村上春樹っぽさが濃縮された短編集です。寂寥感を堪能してください。お薦めは、『かえるくん、東京を救う』。(改稿予定)
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阪神大震災のあとに書かれた短編集。
どの作品にも地震というモチーフが含まれている。
これまでの村上春樹の作品では描かれてこなかった家族愛が描かれた「蜂蜜パイ」が好き。
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レビューはブログにて。
http://tempo.seesaa.net/article/5369904.html
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考えてみれば、彼の小説を読むのは本当に久し振りである。わずかの短編を除けば、10年ぶり以上かもしれない。エッセイの方は好きで読みあさっていると言ってもいい位なので、しかもこの人は押しも押されもせぬ小説家なので、なんだか妙である。
ともあれふとしたきっかけで手に取った短編集だが、読んでいる時はとっても楽しく、またしみじみと考えさせられたりもした。
だが、これは恥ずかしい事なのかもしれないのだが、「なぜそこで小説が終わるのかさっぱりわからない」ものがいくつかあった。ページをめくって、このエピソードの結末が出てこないのが納得できないのだ。
「かえるくん、東京を救う」や「蜂蜜パイ」などはいいのだが、何よりも困ったのは最初の「UFOが釧路に降りる」である。僕はこれがいたく気に入って、登場人物に感情移入もし、とてもすてきな読書体験だったわけなのだが、だから短編集を最後まで読み終わった時に、せめてエピソードとして後日談がある事を期待し、呆然として最後のページを読み終えたのである。
これって、もしかしたらこのところミステリばかり読んでいる弊害なのかもしれない。
2005/8/2
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実は、村上春樹はじめて読みました。すごいですね…。独特の世界観。引き込まれました。かえるくんの話が一番印象に残りました。
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今までの春樹短編とは一線を画する雰囲気。彼にとって、阪神大震災がいかに大事件だったかが窺い知れます。
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~内容(「BOOK」データベースより)~
1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる…。大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていた―。深い闇の中に光を放つ6つの黙示録。
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阪神大震災後のお話。「かえるくん、東京を救う」が一番のお気に入り。ぎりぎり日常な象徴で、現代の人の心をじょうずにじょうずに描き出しているので、ついついひきこまれてしまう。あえて神を出したところに「アンダーグラウンド」と通じるところも感じる。
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村上氏は阪神大震災で何か感じるところがあって書いたらしいが、言いたいことがあまりよく分からなかった…。地震でなくても別にいいんじゃないの?という感じ。うーん。