投稿元:
レビューを見る
村上春樹氏の作品が大好きで全て網羅している。
今作品は、一人称回帰。
村上春樹氏の一人称と言えば「僕」だけど、初めて「私」という一人称。
それだけをとっても、時は着実に流れており、村上春樹氏は70歳になり、私は42歳になり、お互いに生きて成長しているのだという実感が湧いた。
10代、20代はリアルタイムで「僕」で読めたこと、40代になった今「私」で読めること。
今の私には「僕」より「私」のほうがしっくりくる。
出版順とともに成長するように、リアルタイムで読めることが本当に嬉しい。
年齢は違えど、同じ時代を生きて、同じ母国語で訳を介さず村上作品を読めることは、私の人生にとって、とても貴重である。(「顕れる」「遷る」など漢字に意味を持つ日本語で読めること)
年齢を重ねたからなのか、今作品は独特の言い回しやクセのようなものが、削ぎ落とされた気がする。
私も歳を取ったからなのか、以前のように、心打たれるような文章や、書き留めておきたいような文言は見当たらない。
でも、文章を読んでいるだけで、一瞬でどこか別の場所に連れてってくれる特別な力を持つのは変わらない。
文章がメロディーになり映像になる。
村上作品に共通して言えるのは、人間の形成に大きく影響するであろう幼少の家庭環境や実の両親の存在がほとんど登場しないことであった。
だから、ある意味自分の忘れたいリアルな現実から遠ざかり、安心して読めた。
今回は、生き別れた妹が出てきたことに少しびっくりした。
そして今までは、あらすじのない物語で、地図もなく、どこに辿り着いてしまうのかわからないまま進んでいく、まるで夢の中のようなストーリーだったけれど、今回はあらかじめ設定されているようなストーリーの枠みたいなものが感じられて、それも新鮮だった。
そもそも、村上作品に映画やドラマのようなストーリー的起承転結を求めていない。
どちらかというと音楽を聴くのに似ている。
村上春樹氏の描く文章によって、一時的に現実から離れ、彩のある鮮明な夢を見させてくれる。
他の作家の小説は、何かしらのストーリーが始まり終わる。読者の私は夢中になったり感動したとしても、ただ通り過ぎるだけで、いつしか内容も結末も忘れてしまう。
村上作品は、私に吸収されて含まれていく。まるで実際に体感したかのように。
今までたくさんの作品を読んできたけれど、ありありと「心の情景(自分だけの映像)」として記憶が残っているのは、村上作品だけである。
ある物事や感情を音楽として残したり、絵画として残したり、文章として残したり、「人に伝えること」は、誰にでも成せることではない。
才能を持った限られた人にしかできない技。
今回、いつもの風景描写や時間描写だけでなく、絵画描写を文章として残したり、性的描写もいかに文章だけで生々しく映像化し正確に真髄を伝えられるかに力を注いでて、ただただすごいなと。
誰にでも成せる技ではない。
冒頭の舞台は「グレート・キャッツビー」、リアルと非現実の感覚的な感じが「不���議の国のアリス」を想起させられた。
物語とは直接関係ないが、平成最後の夜に第一部が読み終わり、令和初日に第二部が始まるという、村上春樹氏で時代を跨いだことが、私的に妙に気持ちよかった。
私にとって村上春樹氏と共に同じ時代を生きていることは、とても重要なことである。
(第二部に続く)
投稿元:
レビューを見る
村上春樹さんの小説を全て読んだ訳ではありませんが、今回の主人公には少しだけ執着心というものを感じます。
これまで私の読んだ本の主人公達からは、物への執着、他人や恋人への執着、自分の境遇や未来への欲の様なものが無く、無くなっても何も感じず得ても何も思わない人達だった様な気がします。
しかし今回の主人公は別れた妻への執着が感じられます。
だから何だと言うところではありますが、読み終わって思った事を書いてみたくなりました。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹さん『騎士団長殺し』下巻はこちら!
この続きにあたる第2部上下巻は3/28発売予定です。
なお文庫化記念特集に高橋一生さんのレビューが!?
投稿元:
レビューを見る
些細なことがらを本当に細かく描写して、ときになにかに喩えたりしながら進んでいきます。そういう装飾を取り除いてしまったら、この作品の旨味成分は、きっとそっくりなくなってしまうんでしょうね。
投稿元:
レビューを見る
まず思ったのが、騎士団長が出てくるところ、そしてタイトルのついた章があるところが、1Q84的な感じがするということ。
それまではリトルピープルやら騎士団長やら、そういうものが出てくるファンタジー的要素(と言っていいのか分からないけど)はなかったと思う。
早く先を読みたいがために、章のタイトルをすっ飛ばしてしまったとこもあるので、それは2回目にとっておこう。
そして免色さん、現実にいたら相当やばめな人ではないか!?観察したいってちょっと…
でも、自分の子かどうか確かめた後、どのような結果にせよ失望するってのは一理ある
免色さんが、自分を律することに云々かんぬんって言ってたのは、そういうやばめな一面があるからなのかな、と
でも、当の本人はそこまでやばいとは思ってなさそうなところが、さらにやばさを醸し出している気がする。
ドイツの事件と騎士団長殺しの絵の共通点(謎)について
気付かれないために和紙に包んで隠した…雨田具彦にとって、その絵と想いはとてもとても大切で、自分だけのものだったんだろうな。
免色から語られるドイツでの事件と騎士団長殺しの絵が重なるところは、「ふぉぉぉー」とつい興奮してしまった。
相変わらずの性描写だけど、そこはまぁフィクションだし、村上春樹作品とは切っても切れないものなので…ということで。
投稿元:
レビューを見る
第1巻で、これからきっといつもの村上春樹のように非現実的に展開していくんだろうな、と予想したところが意外と現実的な展開を見せた第2巻。
ファンタジー要素はあるけれど、不気味さを漂わせながらまだ地に足が着いているという感じ。
免色という人物は、ごく普通の人間なのかもしれないと思い始めた。
このまま現実的な方向性で行くのかもしれないと思いつつ、さらなる飛躍した展開を期待。
投稿元:
レビューを見る
「騎士団長殺し」の世界観が、大きく広がった巻だった。
題名通り「イデア」が「顕れ」、免色の胸の内が垣間見えた。絵は描き進められ、妻との関係が再定義されていく。
劇的な転換はなく、上巻の延長線上にあった。しかし、それでも展開していく物語により引き込まれていった。
投稿元:
レビューを見る
不思議な出来事が徐々に目に見えてくる巻。
騎士団長や白いスバル・フォレスターの男など、主人公と明確な関係性を説明できない登場人物(?)が増えてくる。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹作品の主人公(大抵の場合、僕)は大体同じようなキャラクター(クラシックやジャズが好き、料理が好き、読書が好き、色んな女を抱く、などなど)だなと思っていて、恐らく村上春樹本人(あるいは村上春樹にとっての理想像)がモデルだろうと勝手に思っていて、今回もそんなキャラクターだった。というところから考えて、ひょっとして絵を描くことと小説を書くことというのは似てるのかなと。
例によってちょいファンタジー要素もあり、ちょいミステリー要素(いつも通り解決しない謎多数)もあり、最近の村上春樹っぽい長編作品でした。
投稿元:
レビューを見る
展開が早く感じるも、まだ半分。
ワクワク。
騎士団長の存在をどう捉えるかで好みが分かれる?
私はあり。
「ねじまき鳥クロニクル」の雰囲気を感じる。
さあ、後半へ。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹「騎士団長殺し 第1部(下)」読了。主人公「私」の几帳面さがとても心地良かった。規則正しい生活。音楽を楽しみ、簡素な服装を好み、手際よく料理する。これは、村上ワールドの必須条件かな。
投稿元:
レビューを見る
徐々に動き出したかなというストーリー。免色の絵が完成し夕食会に招待される。突然現れるイデアの化身である騎士団長。雨田具彦の過去と『騎士団長殺し』に暗示されたものや免色の娘と思われる少女の肖像画、スバルフォレスターの男、元嫁のユズ、12歳で亡くなった妹。色々な要素が準備された巻に思える。
免色の依頼を中心にサイドのストーリーが絡んで交わっていく感じ。いつもの村上春樹だ。難しい解釈を考えるのは他の人に任せて、物語の展開や登場人物の雰囲気をたっぷりじっくり味わっていきたい。
個人的には元嫁のユズとの関係性の復活を願いたい。
投稿元:
レビューを見る
2~3冊目は話がどこに向かって進んでいるのかがわからなかったせいか、中だるみ感があったが、4冊目で話が急に展開して、楽しくなった。
投稿元:
レビューを見る
全4巻のうちの2巻目。やっと半分。
・1巻で気になった謎は、まだ明らかにされない。より広がっていく感じがする。
・免色のミステリアスな雰囲気が楽しめる。きちんと実体を持った人間のはずなのに、底が見えない独特なキャラクター。『夕食にミイラは招かないのですか?』という不可解な問いに、免色はなぜ平然と話を合わせられるのか。
・この免色の豪邸に招待されるくだりは面白かった。バラライカを飲んでみたい。
・「60cmほどの騎士団長」が現れる。騎士団長の姿かたちをとったイデアを解き放ってしまった。
イデアとは何か? 大学時代の講義で出てきた気がするけど忘れてしまった。「青空が美しいのは、青空が美のイデアを含んでいるためである。」
イデア界から形体化した騎士団長?
・富士の風穴での妹との会話。自ら石塚の下の穴に篭った免色。暗闇での体験が印象に残る。そういえば、主人公は閉所恐怖症だ。
村上春樹の作品では、よく井戸が登場する。光の差さない真っ暗な空間に一人取り残されるようなイメージ。怖いけれども、非日常に惹かれるところがある。
・クロッキーとデッサンの違い。
・ファミレスで一人食事をしているところに現れた女性、その時に見た中年男。どんな意味があるのか?
・秋川まりえとの会話。中学生とは思えない会話。それに淡々と答える主人公とのやりとり。
・絵を描くとはどういうことか?色んなところで、主人公の絵を描くということへのこだわりが描写される。再読することがあれば、それに注目して読んでみたい。
・現実と非現実が妙な具合に入り混じっている。これは主人公の夢なのかも、とか考えたりして境目がわからなくなる。読んでいると、そんな奇妙な感覚が味わえる。
投稿元:
レビューを見る
図書館再開٩̋(ˊ•͈ ꇴ •͈ˋ)و やっと続きが読める
‥と、思ったら
また閉館だけど借りてて良かった
免色さんとのちょっと不思議な関係
色んなパーツが出現したものの
この後どんな風に結びついていくのか(˘̩̩̩ε˘̩ƪ)
気になるけど再開は5/6‥
また手持ちの本でやり過ごします