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江戸も好き、絵も好きという私の好物、蔦重。
これは、のちに滝沢馬琴となる、さ吉、十返舎一九となる幾五郎、葛飾北斎となる鉄蔵のまだ未来が見えない時期のお話だ。登場人物はいっときだけ写楽として評判を取り、主人について国に帰った武士の能役者の斉藤藤十郎がからむ。
それぞれの人物が形成される背景も折り込み、読者にリアルにドラマの中にいるかのような臨場感をもたせ、その人物がそのセリフをいうであろうと納得のいく場面の一つ一つがますますのめり込ませる。
実に楽しい時間であった!
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江戸時代の出版社、蔦屋重三郎の「耕書堂」。
そこに集う、未来の絵師と戯作者。小間物屋の婿養子になったさ吉、大柄で図々しいところがある鉄蔵、機転がきいて人に合わせることに長けた幾五郎、武士でありながら役者の十郎兵衛。そして蔦谷重三郎、すでに絵師として美人画で売っていた北川歌麿、浮世絵と戯作の大家、山東京伝などが活躍している。
そこへ、事件が一つ絡んでくる。物語が進むにつれ、それぞれの登場人物の色が鮮やかに浮き上がってくる。
その姿に、誰が北斎となるのか、または写楽が現れるのかとワクワクしながら読むが、少しでも詳しい人には最初から見当がついてしまうのだろう。
楽しめた。
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江戸時代、今で言う凄腕プロデューサー蔦屋重三郎(通称蔦重、耕書堂店主)に集う昭和のトキワ荘から巣立つ若手漫画家に似た各方面に抜き出た4人の達人の生活を薬種問屋“黄林堂跡取り”の仁衛門恋愛沙汰事件に絡めて描く。又、その遠巻きの登場人物も凄い、その4人の達人達は最後に後の著名人である事が明かされる。
「主人公4人」
・幾五郎(戯作者希望):後の東海道中膝栗毛で名を残す十返舎一九
・鉄蔵(絵師):後の富嶽36景で名を残す葛飾北斎
・瑣吉(戯作者):後の里見八犬伝で名を残す滝沢馬琴
・藤十郎兵衛(能役者):後の歌舞伎絵で名を残す絵師東洲斎写楽
「遠巻き登場人物」
・京伝(戯作者)
・喜多川歌麿(絵師)
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始めて読む作者 矢野隆氏の本である。
最初から、武家奉公していた幾次郎が、野垂れ死になる一歩って前で、耕書堂の部屋で寝かされていた。
そこは、蔦屋重三郎の家であり、助けたのは鉄蔵という役者絵を描く絵師であったところから物語が、始まっていく。
読んでいて、居候になったりして、色町に行ったりと、芸の道を歩むのに、蔦重のようなパトロン的存在があり、若き戯作者や大絵師などに成長して行く若き日の姿が、描かれている。
このあらすじに、江戸時代のトキワ荘のような感じと、書かれていたのだが、・・・・
まさにその通りのような、感じで、自分の進むべき仕事に悩んだり、逃げ出したりと、若き4人が、励まし合ったり、妬んだり、誹ったりとして、切磋琢磨していく様子が、伺われる。
東洲斎写楽は、引っ越し魔という言われるぐらい引っ越しをしたらしいと、他の本で読んだけど、・・・
瑣吉は、滝沢馬琴にで、南総里見八犬伝を98巻作り上げ、鉄蔵は葛飾北斎で、富獄三十六景を描き、幾五郎は、十返舎一九として 東海道中膝栗毛を記した。
誰が、どのように成功していくのか、・・・・
この描いた時は、誰しもが未来を想像せずに、今の時間を大切に前に進んで行っている。
昭和の時代のトキワ荘でも、誰が、名を遺すほどの有名な漫画家になって行ったのかと同じ位の青春時代を描いているのと同様に、楽しませてもらった。
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2025年大河ドラマの予習として読みました
蔦重関係の本はこれで4作目なので登場人物が後の誰なのかは分かった上で読んでましたが、読みやすくて、それぞれの人柄なども分かりやすかった
江戸時代ではあるけどこれから夢をつかんでいく若者達の青春物語として現代でも共感できる部分もありそうだし、面白いエンタメ作品でした