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紙の本
「現代アートが殺されないために」とは言っていない
2021/01/22 00:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コピーマスター - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作の『現代アートとは何か』が素晴らしかったのと、炎上したあいちトリエンナーレの件と表紙の黄金の便器の行方が気になって購入。
読んだのは2021年になってからだが、今回も興味深く一気に読んでしまった。
ただし今回は前作と比べるとかなり著者の主張が強い。吐いている毒も強い。テーマがラディカルなだけにハードコアな内容だということを覚悟してかかる必要がある。
読んでいてしばしば驚かされるのは、小崎氏ときたらキュレーションの最終的なアウトプットである展示内容に疑問をもったら百年目、館長からキュレーター、アーティストまで当事者たちにそれぞれメールをぶっ飛ばして経緯や動機を質し、返って来た答えに満足できなければさらに食い下がっていくというまさに「粘着」ともいえる取材スタイルである。しかもどうにもオフレコらしい回答メールを地の文のまま活字で晒されるのだからたまったものではない。また、ひとたび背景説明が必要だと思えば、戦中戦後の天皇、安倍政権、感染症の歴史を蘊蓄も交えて延々と語り続けるまことに厄介な御仁である。
ところで本書の白眉は、コロナの現代アートに与える影響を考察した部分であろう。ペスト、結核、「スペイン」風邪、AIDSに至るまでそれらが文化に与えた影響についての分析は、なるほどと唸らされるものがあった。
だが本書の主要なテーマはやはり現代アートに忍び寄るソフトな検閲についてである。ここで注目すべきはタイトルは「現代アートが殺されないために」ではなく「現代アートを殺さないために」であること。権力を批判さえすれば終わるという単純なナオミ・クライン流の話ではないのである。読書の楽しみを削ぐことになるので詳述は避けるが、興味のある方は鮮度のあるうちに読むことをお勧めしたい。
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