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誰かのやりたいことをやっていたり、
誰かのやりたくないことをやったり。
誰かの幸せを紡いだり、悲しみに寄り添ったり。
そっと浮いたり、ふっと沈んだりしながら、
人生はメリーゴーラウンドのように、
日々を何度も回っていく。
色とりどりの想いを乗せて、
優しく、どこか物哀しいような景色を巡らす。
人と人との繋がり、そこから生まれるあたたかさ。
凝り固まった心を溶かす、
そんな優しさが織り成された素敵な作品でした。
込み上げる想いや感動の波に揺られ、
微笑みと涙が同時に湧き上がる時は、
目の前のすべてが愛でふくらむ。
人生がぐっと愛おしくなる。
夢の国へ行くとか、そんな大それたことじゃなく、
ちょっぴり現実から離れるとか、
生きてくためのご飯じゃなくて、
お腹よりも心を満たすお菓子のような、
そんな生活に彩りを与えてくれるもの。
「ほたるいしマジカルランド」も、この作品もきっと、そんな豊かさを与えてくれるささやかな魔法なのかも。
そんなふうに思いました。
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6冊目になる寺地はるなさん。装画も装丁もとっても素敵ですよね。先日やぁっと図書館に入ったので早速借りて読みました〜。
大阪の北部に位置する蛍石市にある遊園地「ほたるいしマジカルランド」…ここで働く人々、6人の視点から1週間を描いた連作短編集です。
「もしかしたらそれは劇的な事件ではなく、一緒にいた人間も気づかないぐらいの、ほんのささいな出来事がきっかけだったのかもしれない。」(254頁)
とあるように、6人それぞれがそれまで悩んでいたことから前向きに変わるきっかけとなった、ほんのささいな出来事を描いています。
寺地さんはこういう「人が前向きに変わるほんのささいな出来事」を描くのが本当に上手いですよね。今作もとても良かったです、好きです。
そして、世の中の人の上に立つ立場の方たち全員が、このほたるいしマジカルランドの社長のような人だったら良いのに…と切に思います。
木村幹がメインのお話も読んでみたかったですね。
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遊園地で働く人々、笑顔でがんばる裏にはたくさんの人生と苦労や悩みがある
当たり前のことなのだけれど気づかされることがあった
複雑な家族の物語が多く、特に八重子さん…息子との別れがつらい
元夫は何年経っても変わらないんだなと残念、でも再婚相手は素晴らしい方のよう(離婚理由が不妊なので自分もつらい思いをしたのかな)
息子との一瞬の邂逅にはうるっとしてしまった
佑や幹を掘り下げた物語も読んでみたかったな
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地方のテーマパークで働く人々の短編連作。普通の人だけど、みんないろいろ考えてたり、抱えてたり、そういう物語を書くのが上手な作家さん。
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遊園地のスタッフの話し。
月曜日から日曜日にかけて各曜日毎に違うスタッフの話が展開する。
佑みたいに飄々とした生き様に憧れる。
淡々としているようで、ジンワリ暖かくなった。
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大阪にある遊園地「ほたるいしマジカルランド」を舞台に、名物社長や、幾人かの従業員それぞれの視点で話が描かれている物語。
それぞれの思いは千差万別で、とても日常的で、身近な事として描かれている感じで、そこがこの作品の良さなんだろうけど、私個人的には全体的にちょっとつまらなくて退屈だった。
でも、そういった日常的に訪れる毎日にも些細な変化があり、豊かさがある。自分は自分。どんな人にだって大小抱えているものがある。そういう忘れてしまいがちな当たり前の事に気づく、小さな物語の集まりが、大きな1つの物語になっているような一冊に感じました。
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良い社長の教科書のようだ。
皆で手と手を取り合って協力し合うには無理がある。
向かう場所は違っても一人一人のやる気が集まって組織が成長していく方が自然だ。
ほたるいしマジカルランドの社長はそのことを分かっている。
従業員たちに目を向けそれぞれの気持ちに気付き見守る姿がお母さんのようでなんて温かい会社何だろうかと羨ましくなった。
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遊園地で働く人達の短編集。
自己肯定感が低い人達が多いけどでも、各々幸せになれるお話しでした。
読みやすいし頭の中でイメージが湧いてくる作品。
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巷で流行りの異世界への転生が我が身に起きるのなら、イケメン騎士に見初められたり勇者になって戦うより、わたしは寺地はるなさんの物語の登場人物になりたい。
殊に、本作を読んでそう思う。
わたしもほたるいしマジカルランドの従業員になりたいし、いやむしろ、ここに通う常連客のモブキャラでいいから転生したい。
自分の生きる世界とは決して遠くない、でも少しだけ現実より優しくなれそうなこの世界で、生きてみたいと強く思うのです。
紗英ちゃんと焼き鳥食べに行きたいし村瀬がメリーゴウランド眺めてる姿を盗み見してみたいし、八重子さんと同じ定食屋の別の席でお昼ごはん食べたいし山田さんには奥さんと一緒にサイリウムぶんぶん振りたい。左門の肩をそっと叩きたいし三沢におまえなぁとうざい感じで声をかけたい。
この世界で息をして、生きてみたい。
なんのためにはならないけれど、豊かなもの。
帯の言葉はまさにそれで、この世界には確かに豊かなものがある。
豊かなものはなにも特別でキラキラと輝くものではなくあたりまえのようにそこにあるもの。
それを恩着せがましくなくさりげなく気づかせてくれる寺地はるなさんこそ、豊かな作家なのだと思います。
彼女に命を与えられる人たちが羨ましい。
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遊園地のお仕事小説。
アトラクションやインフォメーション担当、清掃スタッフ、花や植物の管理担当。
仕事内容も年齢、性別も様々なスタッフが働く遊園地の毎日。働く理由はそれぞれ。そしてそこには一人一人の悲喜こもごもがある。
「日曜日 すべての働くひと」が特に良かった。
ガーデナーの山田さんの奥さんが最高!
篠塚さんの息子さんとのシーンはグッときました。
悩む姿の人間臭さが愛しくて、人の温かさも感じられる作品。面白かったです♪
『たいていの人生は、ドラマチックではない。でも小さく変化する瞬間はきっといくつもあるのだ。ちょっとしたことをきっかけに、自分の中のなにかが変化する』
『「あたりまえ」は変わるんや。変わっていく。なんとなく自然に変わっていったわけではなくて「あたりまえ」を変えようと行動してくれた誰かがおったはず』
『なんのためにもならないものが、ごくあたりまえに存在する。存在することを許されている。それこそが豊かさだ。』
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自分の居るべき場所とか、自分がどう思われているのか、つい考えがち。そして、考えても答えはいつも出てこない。
なのにふとしたことで、自分の考えが覆えったり世界が広がったりする。そして、いくら考えても出なかった答えが見つかったような気さえする。
マジカルランドの人々の人生を覗き見して、目の前のことをしっかりやって、好きなことを大切にしなきゃと教えてもらった。
マジカルランドに行って2階建メリーゴーラウンド、いやフローライトスターダストの一角獣に乗りたいな。
のがみの話、もう少し聞きたかったなー。
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大阪の遊園地・ほたるいしマジカルランドで働く人々を描く連作短編です。
登場人物はみんなどこかに小さな瑕疵を抱えています。自信が無かったり、高慢だったり、かつて酒で失敗したり。一方でそれぞれが良い所も持っていて、それらが組み合わさって、あえてテーマパークを名乗らない老舗の遊園地を支え、自分達も成長して行きます。
いかにも寺地さんらしい、あたたかなお仕事小説です。
ただね~、ちょっと人物が多すぎ、伏線も張りすぎで、スッと読み切れず、全体の印象がぼんやりしています。ちょっと消化不良。もう少し枝葉を切り落とし、そのぶん深く描いた方が良かったように思えます。
人気が出て来た寺地さん、エライ勢いで新刊が出てますが、薄まらなければいいですがね。
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蛍石市にある遊園地「ほたるいしマジカルランド」で働く人達を主人公にしたお仕事小説。月曜日から土曜日まで、1人ずつが主人公となる連作形式で、日曜日は全員が顔を揃える。従業員はそれぞれなにかしらの問題を抱えているものの生死に関わるような深刻なものではなく、仕事の内容も基本的に接客なのでさほどの興味ももてない。つまらなくはないが得るものはなかった。信頼の寺地作品なのでちょっと残念だ。
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遊園地で働く人たちのお話。優しいテイストで読みやすく、癒し効果をもたらす。ハラハラドキドキは無いけれど、こういう小説もアリだなと思った。
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お仕事小説ですが、人生に通じることがたくさん描かれていて、とても良かったです。
寺地さんの本は、表面的なストーリーではなく人の心に一歩入り込むような文章や台詞が多いのでとても好きです。
題名に惑わされず、たくさんの人に手に取ってほしい一冊です。