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ジュニア新書とは思えない詳細さ。寿命の存在をプログラム仮説とエラー蓄積仮説に基づいて解説する。プログラム仮説はテロメアに代表される遺伝しない、細胞内の時限爆弾により事前に寿命が決まっている。エラー蓄積では、主にDNAのコピーの際のエラーが蓄積される事で機能が衰えてくる。また、修復機能やそれを支える複雑な機構が徐々に弱ってくることで、癌の可能性が増える。
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知的好奇心旺盛な中高生を対象として、不老不死をとっかかりにして寿命に関するDNAや遺伝子の話を順を追って説明している。説明は平易で親しみやすく、著者の豊富な識見と編集者の努力を感じる。若い人が丁寧に読めば、生物化学の入門にもなり得るのではないか。
生物化学の素養のない中高年にとっては、中盤以降の遺伝子の話はさすがにレベルが高すぎて手に負えないところではあるが、終章の「寿命はなぜ決まっているのか」は、本書の白眉であり、社会学的側面も含め、著者の思いが詰まっているので、途中で挫折しそうになってもぜひ読んでいただきたい。
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寿命に関わる要素が何であるかについて、読みやすい筆致で深く解説されている一冊です。
長生きのために必要な要因は遺伝子や環境であることを、現代人は何となく理解し直感もしていると思います。
寿命の研究は古より続いてきましたが、不老と不死のいずれも実現できていない点から難題であることも明白ですね。
本書を読了することで、逃れることのできない老いと死についての仕組みを知ることができます。
DNA修復の章から少しずつ専門的な内容となりますが、特にアンチエイジングや長寿に興味がある方は頑張って読み進めてほしいと思います。
寿命というものが組み込まれている我々の体は設計が間違っているのでしょうか、必要もしくはあった方が良いメカニズムなのでしょうか。
現代人の多くはいつまでも若く健康でいたいと考えていますが、永遠に生き続けられる時代の人類は同じことを願うのでしょうか。
夢であり悪夢でもあるように思えるこの手の問題は科学であり哲学でもあり、個々人が考えなくてはならないことです。
読了後に是非じっくりと考えてみてください。