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すごいすごい感動した感動したこんなにも心震えた物語はないです。ロードノベルミステリー読み終わってもう一度読み返したくなってしまいました。回想を先に読んで次に第一章から読むと別の物語に
感じてしまうでしょう。ラスト近くの殺人の真相は思いもよらない展開に、こんなにも思い入れの深い物語は今までになかった。出てくる登場人物皆好きだよ。皆長く生きてほしかった。あなたも読んで興奮して下さい。涙して下さい。感動して下さい。
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遠田さんの作品はいつもページをめくる手が止まらない。
現在進行している話の途中に過去の話に遡るのだが、
過去の出来事を明らかにしていく匙加減が絶妙なのだ。
一体過去に何があったのだろうと思い、途中で本を置けなくなる。
たまにこの先の展開が何となく読めてしまうことがあったとしても、圧倒的な筆力でラストはただただ感動させられる。
登場人物がどんなに不幸な生い立ちだろうと、辛すぎる出来事があろうと必ず読後は爽やかな気持ちになる。それが単純なご都合主義ではないところが遠田さんの凄いところだと思う。
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三宅紘二郎74歳はカレー屋を独りで、40年間営んでいましたが、とある決心をします。
紘二郎の実家は医院を開業してして父も兄も医者でした。
父は戦争を経験していて、戦地で世話になった草野一等兵に恩があり、半身不随の体になった草野の娘と自分の息子を許嫁として結婚させる約束をしました。
そして、父は草野の娘の睦子には5歳年上の紘二郎の兄であり医者を目指している征太郎をと決めていて、睦子と同い年の紘二郎は無視されました。
しかし、初めて睦子と顔合わせをした日、睦子と本当に惹かれ合ったのは紘二郎でした。
睦子と紘二郎は父が亡くなったのをきっかけに二人の本当の気持ちを家族に打ち明けますが、聞き入れられず睦子と征太郎の結婚式の日に二人で駆け落ちをし、二人で働きながら幸福な二年間を過ごし、二人が二十歳になった時婚姻届けを出しますが、そこから足が付き、征太郎が睦子を奪い返しに来ます。
征太郎は母が首を吊り、草野が重篤だといいます。
それを聞いた睦子はショックで戻ると言い出します。
しかし五年後、征太郎が、睦子と五歳の娘桃子、義父の草野を殺して無理心中を図りますが、自分だけ死にきれず、20年間服役します。
紘二郎は40年後の今、征二郎からと思われる葉書を受け取り決意をします。
「兄さん、今からあんたを殺しに行くよ」
睦子を迎えに行こうと思っていたワインレッドのコンテッサに乗って。
コンテッサを売った青年リュウと紘二郎は知り合い、とあることからリュウと二人で車を運転しながら大阪から九州まで旅に出た六日間。
リュウも重大な事情を抱えていました。
以下ネタバレです。お気をつけください。
最後は意外な人物が登場してきてキーマンとなり事件は終焉を迎えることができます。
リュウはこれから先が大変ですが、きっと紘二郎と出会ったことにより、少しでも事態がよいものになってくれるのを祈るしかありません。
最初は一体どんな修羅場が起こるのかと思った物語ですが、深い緑色の表紙の色のように静かに終わってくれてよかったです。
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ずっと疎遠だった兄から一枚の絵葉書が届き、主人公•三宅紘二郎は兄への復讐の為、今の生活全てを捨てて兄の住む大分へ向かう。思い出の車•コンテッサで大分へ向かおうとしていた紘二郎だが、その車がニコイチという接合車だと購入先の元店長•蓬莱リュウがやってくる。紘二郎を止めるリュウだが兄を殺そうという決意の固い紘二郎は聞かない。結局お互い引かずリュウをドライバーとして一緒に旅することに…
兄の婚約者•睦子を好きになり、紘二郎は彼女と駆け落ち、だが居場所を知られ、わずか2年で連れ戻され、離れ離れに…だが兄は睦子と娘、義父の3人を殺してしまう。以後、生きる意味を失い大事な人の死を受け入れられず70を過ぎた老人の紘二郎、なのに一枚の絵葉書がきっかけで兄への殺意が再燃。睦子との思い出の地を巡り、彼女からの手紙を目にし、兄への憎しみを増す紘二郎。目的の大分に着いたが兄はすでに亡くなっており、遺されてた再婚相手は紘二郎の幼なじみの姉佳代で、50年前の真実を知る。さらにリュウが末期の肺がんだと告白したり、ラストは大渋滞状態。それぞれの人生が絡み合いもつれてしまったため起きた悲劇。全体的に過去の事件やリュウの生い立ちなど暗い内容の話だが、生きる意味を失っていた紘二郎がリュウによって生きる目的を得る、そんなラストがせめてもの救いだ。
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面白かった!
50年前、愛した女性とその娘と父が、兄に惨殺されるという、なんとも凄惨な過去を持つ主人公の物語だなぁ・・・と思いながら読み進めていたけれど、いろんな事がわかってくるに連れ重たさがとれていき、最後はタイトルのような、緑の深い、新たな気持ちになれるような、そんな物語でした。
50年たって兄を殺しに行くと、大阪から大分までコンテッサで向かおうとする主人公の紘二郎が、孫ほど年の離れたリュウと出会い、ひょんなことから二人で向かうことに。リュウと出会った事によって、事件以来、人と境界をなし、未来のない紘二郎が、人間らしさを取り戻し未来を得る姿、明らかになる過去、またリュウの正体、そしてリュウが持つ過去が、ロードノベルと相乗し、早く速く進みたくて、後半は一気読み。凄く面白かったです。
先日、同じ著者である遠田潤子さんの「紅蓮の雪」も拝読しましたが、こちらも心が震える作品でした。
遠田さんの小説は既に4冊目ですが、遡って他の作品も読んでみたいなと思いました。
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暗い気持ちに寄り添うようなストーリー
「人生に後悔している老人」と「軽薄そうな若者」一見相性が悪そうな組み合わせだけど
本のページを読み進めていくのと同じように二人の関係も淡々と、時にビシッと進んでく
初めから終わりまでずっと暗い気持ちで読んだ
晴れる気持ちが少しもなく、誰にも救いがないように思えたけど、人生ってそんなもんかしらね
読み手の人生に、老人と若者がすっと入ってきて一瞬で去っていったそんな感覚
読み終えた今では二人のことをもう他人とは思えない
そんな一冊です
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かつて病院だった実家で、カレー屋を営んでいる絃二郎。ある日、郵便受けを見てみると、そこには漢詩で書かれた絵葉書が。それを読んだ瞬間、昔の記憶が呼び覚まされた。それは50年前、兄が、兄の妻と子供、妻の父親を殺害したのである。妻はかつて愛した人であり、兄が出所したのを知った絃二郎は、復讐するべく、葉書の住所・大分へ向かう。
復讐をしに旅をする老人と若者のロードムービーでしたが、徐々に明らかになっていく真実に胸が苦しい思いでした。
遠田さんは、犯した「罪」のその後の生活を描いている作品が印象的です。また、犯した本人だけでなく、その関係者が、どう向き合っていくのか、複雑な心境ながらも、重々しくない雰囲気を醸しています。
今回は、加害者の弟の立場から、犯罪に対する復讐心や一途な愛なのに不条理に壊れていく様、はたまた若者と出会ったことで、人を思いやる気持ちが成長していく様が見られます。
現在進行しているストーリーにちょこちょこ過去に何が起きたのか小出しする形で進行するので、ついつい全容が気になり、目が離せませんでした。
親達の一方的な方法により、兄と愛する人が結婚することが決まっていたのですが、それでも絃二郎は愛し続け、愛する人も弟である絃二郎を愛します。
互いに愛して合っているのに…親達の身勝手な方法には嫌気がさす思いでしたが、それでも貫き通そうとする2人の情熱には「愛」を感じました。
しかし、その後の人生では、お互いの苦悩が見ていられませんでした。そして、起きた殺人事件。
なぜ、殺人は起きてしまったのか?後々明らかになっていく知られざる真実に思わずため息が出てしまいました。辛すぎなと思ってしまいました。
現在パートのストーリーですが、ひょんな事から一緒に共にする若者の裏表の「顔」に意外性を感じました。ひょろっとしているイメージだったので、昔の性格を知った瞬間、ちょっと驚きでした。
現在パートでも、読み進めていくうちに意外な事実が明らかになっていきます。なぜ、兄は手紙を出したのか?兄側の葛藤も知れば知るほど苦しい思いがあって、言葉ではいい表せないくらい複雑さが混じっていました。
決して、嬉しい事実ばかりではなかったのですが、最後の方では「人を生かす」ことに重点を置いています。それまでは、「人を落とす」ことに重点を置いていた分、心が救われたように感じましたし、清々しい気持ちにもなりました。
わかったところで、現実は何も変わりませんが、何かに直面した時に気持ちはどうなり、どう向き合っていくのか、色々と考えさせられました。
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本作も心を揺さぶられる内容で良かった。
キャラの設定がいいしラストの
微かな救いもいい。
著者の作品は今のところ当たりばかり。
今後も単行本での購入継続。
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「兄さん、今からあんたを殺しに行くよ」憎悪に燃えるロードノベル。50年ほど前、かつての恋人睦子を殺害した兄。70歳になった紘二郎は改めて復讐を誓う。大阪から大分まで旧式の中古車コンテッサで向かうことにするが、その道中ひょんなことから金髪の若者リュウが同行することになる。..何と切ない物語。展開的に先が読めたところもあったので驚きはそれほどなかったが、終盤は喉がつかえてくるくらい重かった。もう私の中で主役は紘二郎ではなくリュウだ。メロドラマ調だがチープにはならない遠田節、これからも定期的に読みたくなりそう。
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実の兄を殺す──。その目的のためだけに50年前に発売された車・日野コンテッサを手に入れ、大阪から大分県日田市に向かう老人と、成り行きで行動を共にする若者のロードノベル。偏屈な老人と金髪でヘラヘラした若者の凸凹コンビがいい。2人の過去は道行きと共に徐々に明かされるが、なんともやりきれない話である。最近はまっとうな(失礼)作品が多かった遠田さんの久々の重暗話だが、その割にはなぜか読後感がよかった。ぼくの今年のベスト本候補入り決定だ。
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久々に心に響く小説を読めた。
コンテッサ、ネットで調べたら今でも通じる素敵なデザインの車。1960年台はさぞかし憧れの対象であったろう。
そのコンテッサを巡って知り合った二人の旅。それぞれの過去が少しずつ明かされていく。実は昔ちょっとした接触があったり、あまりに悲しい過去が明かされて、それがお互いの共通の悲哀になっていく。
登場人物それぞれの心情が細かく描かれていて心を打つ。
主人公は目的を達することは出来ないが、現実は思っていたこことではなく、解決できない過去に呻吟しつつ。最後は寂しいハッピーエンドか。
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50年前、大切な人の命を兄に奪われた事件。紘二郎は70歳を超え兄への復讐を誓い、兄の元へ。その途中で出会った金髪の若者との旅路。その交流の中で知る若者リョウの人生。復讐を果たそうとする重い空気とリョウとの時間のどこか温かみのある空気。今を生きることを諦め過去に生きていた紘二郎がまた今を見つめ始め生と死を感じるラストがとても良い。
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06月-09。4.0点。
カレー屋を営む主人公。兄からの絵はがきを読み「兄を殺しに行く」と決断。中古車を購入し出発するが、中古車店の元店長が来て。。。
面白い。得意の愛憎劇かと思って読んだが、元店長との絡みや、明らかになる真実が良い具合に予想を裏切った。
哀しい真相の中に希望もあった。
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『あの日のあなた』はがっかり、ここ三冊は too match です。デビューから読み続けてきましたが、しばらくおやすみしようと思います。私には合わなくなったようです。
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70を過ぎ、探していた日野の自動車コンテッサが手に入った三宅は、カレー屋を閉店して九州へ兄を殺しに行く。しかしこのコンテッサは不良品だからと伝えに来た元中古車屋どの出会いがあったり、兄が三宅の好きだった女性を殺した過去が明らかになったりするロードノベル。
途中まではイマイチかなと思っていた。しかし、ほんの少しだけ似たテイストの松家仁之の「泡」と比べると、ずっと良かった。
過去にこだわり過ぎたり、逃れられないと起こる不幸の物語でもあり、また再生の物語でもあった。