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読むのにかなりエネルギーが必要。
ある二人の男が始めた、詐欺同然の宗教事業の盛衰の話ですが、本当の宗教心とは何たるかを考えさせる何とも劇的かつ静謐な結末です。
キャラクターから展開から何から何まで、うまい、の一言。
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ビジネスとして立ち上げた新興宗教。あくまでも虚実でしかなかったはずのそれが、底なし沼のように主人公を呑み込んでいく。
主人公は一般人としての常識や良心、倫理観を持ったまま、宗教の狂気をまざまざと見せ付けられる。
宗教とは、救いとは何なのか。
傑作。
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上巻は社会に振り回され、失業者となった2人の男がビジネスとして始めた宗教、それが上手く行きとんとん拍子に大きくなっていく様子が喜劇として描かれています。
しかし下巻ではこの宗教があっという間に崩壊していく様子が、並のホラーでは太刀打ち出来ないような情景で展開され、物語は悲劇で終わります。
でも最後には本当の宗教って何だろう?という答えが少しだけ見えたような気持ちになる長編でした。
しかし読み終えるのにこんなにパワーを使った長編小説は久しぶり。。。
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すさまじい話だ。
苦しんだ心と心が反応して思いもよらない意識世界をつくりだしてしまった。
信じる者の強さ、怖さ。
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恐ろしいホラーでした。やっぱり人の信じる心は紙一重で、精神的に不安定な人と関わる時は余程の覚悟が必要だなと思わされました。。。恐ろしや。
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起承転結、転の巻き。但、転機ではなく転落。上巻末で登場した怪人物はその悪業を暴かれあっさりと舞台から姿を消すが聖泉真法会への世間の疑惑を招く契機となる。社会的異端者を排除しようとする世間、言論、公権力からの波状攻撃を受け教団は一気に崩壊の縁へと追いやられる。迫害に耐える哀れな信徒と思いきや似非教祖の統制を離れ信仰を深化、激化、狂化させて行く。行きつく先に一人の男の死。そして関係者の逮捕・審判・懲役。最後に結としての転生。マイナス札を全て集めるとプラスに転ずる札遊びの様に真の教祖誕生を思わせる後日談にて了。
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失業男がビジネスのために始めたエセ宗教。一時は多くの企業などとも関係を持ち、大成功するが、下巻では、エセ宗教に飲み込まれた信者と共に、転落の一途を辿る教団の姿が描かれる。
しかし、何かを信仰するパワーって凄いな。改めて、宗教が怖くなる作品。
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夢物語に終わったファンタジーゲームブックで創作した秘法が、宗教という衣をまとってまたたくまに拡がった・・・と思ったら、予想通り、本下巻は転落の道。しかも転落の道を引っ張るのは、予想外の敵ばかり。自業自得と言ってしまっては気の毒というくらいに、だんだん教祖に同情というか共感じみた感情も芽生えてくる。
現代のモンスター、「宗教」の虚実・・・という売り文句でしたが、最近は「洗脳」というくくりでしょうかね。
(2012/5/9)
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信者の家族、マスコミ、国家権力によって追い詰められた聖泉真法会は次第に瓦解、暴走してゆく。様々な追及、いやがらせによって教祖と信者たちは狂気にむかってゆく。そして、あまりにもおぞましい事件が起こる…。
この小説を読んでいて、登場人物に共感出来たことがなかった。あまりにも恐ろしく、醜く、そして弱かった。しかし、彼らは決して珍しい人たちではないと思った。このレビューを書いている俺も、聖泉真法会の教祖や信者、彼らを追い詰める独善的で残忍な人たちと同じ要素を持っているのかも知れない。彼らは少し前まで、「普通の人たち」だったのだから。宗教というのは、それに関わる人の運命を多かれ少なかれ変えてしまうものだと思った。
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上巻では、トントン拍子に成長していく教団の姿が書かれていましたが、下巻では一転。ドンドン転落していきます。
適当にでっち上げた宗教。
それが次第に一人歩きし始め、そして教祖・慧海の手には負えなくなって行く様子が見事ですね~。
宗教って、信仰って何なんだろう?と考えさせられます。
教祖以上に教えを信じ込む女性信者たち・・・
信じる者は強く・恐ろしい。
とにかく下巻は圧巻でした。
暴走する信者・それを客観的に眺める教祖・世間からはカルト教団の烙印を押され弾圧される・押しかける信者の関係者。
すごく怖いです。
やはり下手なホラーよりも一番怖いのは人間だ、と再認識させられる怖さ。
そして暴走する信者とは逆に、最後まで悪党にはなれない教祖・正彦と矢口。金儲けの為に2人で始めたビジネスとしての宗教。
でもこの2人には「お金の為」と簡単には割り切れないほどの良心・常識がありすぎたのです。そこがリアリティを持ってありありと感じられて、ものすごく惹きつけられました。
段々と自分の思惑とははずれた「教祖」になってしまった常識人の正彦。
もう自分の手に負えない。放棄したい。
でも逃げる事も許させず、教祖を降りる事も許されない。
ラストがまた素晴らしかったです。
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上巻では新興宗教を立ち上げて、順調に信者数を増やし、収入も増え、起業スポンサーもつくなど順調に経営をしていた。
が、下巻に入り、所詮思いつきで教義をつくり、その辺にあるものを材料に仏像などを作ってきたため、だんだん化けの皮が剥がれ、今度は負のスパイラルに巻き込まれていく。
嘘が当初うまくいき、それがいつの日か逆回転し始めるという意味で、著者の「ロズウェルなんか知らない」にパターンが似ている。
小説を面白くするには主人公におきてほしくない事をどんどんおこすのが必要らしいが、よくここまでおきてほしくない事が思い浮かぶとおもう。
本著で著者の現在長編で文庫になっているものは読み終わった。
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自分で作ったインチキ宗教に、教祖自身が飲み込まれていく過程は圧巻の一言。
にしても、世の中寂しいが充満しとるんやな~。宗教が流行るわけや。
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この本は鏡リュウジ (占星術研究家)さんが推薦していた本なのですが、下巻を読むと「なるほどなぁ」と納得します。
一つの歯車が狂い出すと、やがて全ての機能が狂い出していく・・。
なのにその動きは停止することなく、最初に動かした者も手には負えない。
それは読者にも想像できそうにない、あらぬ方向へ暴走し始めていく・・。
虚業、ゲーム本から作り上げられた宗教ビジネスが、似非教祖の手の及ばないところにまで変貌し、制御不可能になって怖れをなした教祖自身がその中にズブズブと飲み込まれてゆく・・逃げることも許されず。
とても怖いですし、異質なものが一旦社会で採り上げられてしまうと、もう社会(マスコミ)・市民運動・政治的圧力などと言う外部からの攻撃を受け、しかも内部からも醜く崩れていく・・。
その中で、教祖桐生と矢口の奇妙な連帯感とお互いを自身の半身のように必要とし、頼り、嫌悪し、愛する(?)・・心の変化。
知的でプライドの高い桐生よりも、笑みを絶やさず、愚かで素直ですぐ騙されやすい矢口の方が、最後には本当に仏の境地に至ったのではないかと思えるぐらい崇高に見えました。
信者の心の闇も一筋縄ではいかなくて、彼らの「生き辛さ」に半ば嫌悪感を持つ桐生と、骨身を削ろうとする矢口。
救われたと思ったら、次にはもっとどす黒い闇がまたたちこめて来る。
ホント、怖いです・・これ。
桐生にも矢口にも、本当の悪党になるほどの勇気もなく(?)
良心が時折顔を出してしまうのが、人間らしいというか、こんな結果になった原因なのかもと・・。
甘くないんですよね、宗教をビジネスにしようなんて。
(「千石イエス」になりたくない)と思う桐生は、それよりも過酷な運命を辿ることになりました。
ラストでは、嵐が去った後のような不思議な感覚を得ます。
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上巻はトントン拍子に教団が大きくなり、普通はこんな簡単にできひんよな〜と感じるところもあったんやけど、下巻のあれよあれよという間にガンガン転落いく様はさらにリアリティを感じて、ああ〜もうこれ以上落ちていって欲しくないなあとだんだん読むのが苦しくなってくるんやけど、ほぼよどむことなく一気に最後まで読めました。
でも一気に読めるんやけど、これは相当体力がいります。
こんなに骨太の小説を読むのは久しぶりかもです。
読み終わったあとはぼーっとして、頭のなかがぐるぐる回って、現実世界に帰るまでにものすごい時間がかかりました。
仮想儀礼を読む前までは、新興宗教とか占いとかうさんくさいな〜、なんか信者のひとってだまされてる感があって気の毒〜、とか思っておったのですが、今となってはこの小説みたいなことってホンマにあるのかも。と感じております。それくらい、後半はすごくリアルに感じました。
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金目当てでエセ宗教を立ち上げる二人の男のいわば栄枯盛衰。世の中をこういうアングルから見た事はなかったので新鮮、かつ、宗教というものが一部の人間の心の闇に巣食う過程が実にリアルで恐ろしい。
ある意味ミイラ取りがミイラになる・・・最後まで緻密で読ませる怖いサスペンス。主人公が最後まで「普通の人間」であり続けるのが救いか。