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『地獄を縫い取る』という短編が良かった。性欲の吐口のための人工知能を作るみたいな話で、ぞっとするものがあった。
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*
感応グラン=ギニョル
地獄を縫い取る
メタモルフォシスの龍
徒花物語
Rampo Sicks
SFともホラーともミステリーとも言える様で、
でも、そのどれでもない様な不思議な話でした。
古典を連想させる言葉や漢字が全体的に使われ、
時代設定や科学や技術、美醜や価値観にも
新しものと古いものがあり、それは常に
表裏一体だと示された気がしました。
オドロオドロしい部分とグロテスクで惨たらしく
目を背けたくなる様な凄惨な部分もあって
好みが分かれる小説だと思います。
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耽美で残酷で痛くて難解で。
読了まで時間がかかりました、が読んでよかったと満足感を得られました。
吉屋信子の花物語を連想させる徒花物語がお気に入り。
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p.102
"モノが、私に、逆らうな。"
p.142
"一目惚れは交通事故みたいなこと"
お気に入りの部分
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タイトルと装丁に惹かれて手に取りました。表題作他、「地獄を縫い取る」「メタモルフォシスの龍」「徒花物語」「Rampo Sicks」収録。どの物語も耽美でありながらグロテスク、スチームパンクを思わせる世界観、文章共々とても好みでした。お気に入りは見世物小屋を舞台にした「感応グラン=ギニョル」、吉屋信子の「花物語」を猟奇的に仕上げたような作風の「徒花物語」、乱歩のパロディが炸裂する「Rampo Sicks 」。これから追いかけて行きたい作家さんです。
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創元日本SF叢書なので、SFだと思って敬遠していたのは大失敗でした。SFといえばたしかにSFでもありますが。これはむしろ幻想、少しホラーといってもいいかも。どれもが絶妙に歪んでいて、実に美しい作品ばかりでした。
お気に入りは「メタモルフォシスの龍」。恋をしてそれに破れたときに変化し、お互いを喰らい喰らわれる存在になってしまう男女。それを防ぐために恋愛を禁止し人との接触を失くした世界で、それでも恋に落ち変化してしまった人たち。彼女たちの切なくしかし執念に燃える物語にはぞくぞくさせられながらも、しかしどこかしら温かなものを感じました。げに恋は恐ろしき、なのですが。そこまで排除してしまう世界というものもまた恐ろしい気がします。
「徒花物語」もかなり好き。少し読めばわかりますが、有り体に言えばゾンビとなってゆく少女たちの物語。でもそれを「花屍」と言い換え、彼女たちの間で結ばれるのは「Zの契り」であったりと、どこまでも美麗な印象です。彼女たちの変化の過程すら、あまりに優雅でした。
そしてやっぱり「Rampo Sicks」がとても素敵。乱歩のあれやこれやのエッセンスを取り込んでこんな物語ができるとは。
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表題作や地獄を縫い取るは面白かった。一方、自分の創造力が足りないせいか、メタモルフォシスの龍や徒花物語はその特異な世界観が頭の中で絵としてイメージしにくく、物語の世界に入っていけなかった。
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世界に対する満腔の呪詛。
生そのものと分かちがたく結びついた痛み。
全身に刻み込まれた無数の瑕(きず)。
畸型(フリークス)と虐待(アビューズ)。
怨嗟と絶望。
……
サディスティックな描写もさることながら、この奇怪な小説は読者に高みの見物を許さない。「お前も所詮、加害者のひとりだ」と指を突きつけて糾弾してくる。正直、読むのがしんどい本である。にもかかわらず、一旦読み始めると頁を繰る手が止まらない。
本書は空木春宵さんの初めての作品集。表題作『感応グラン=ギニョル』の他、『地獄を縫い取る』『メタモルフォシスの龍』『徒花物語』『Rampo Sicks』が収録されている。
変幻自在な文体、時空を跳躍する奇想、計算された緻密なプロットなど、長所をあげれば枚挙にいとまがない。☆ひとつ減らしたのは、私がエログロ表現が苦手だということと、それ以上に、この小説を手放しで賞賛できるほど自分は無垢ではないと思うから。作品ではなく私の方の問題である。
個別の内容はネタバレになるので避けるけれども、繰り返し語られるのは「踏みにじられた者の怒り」だ。世界に蹂躙された者たちが、自らの尊厳を賭けて世界と刺し違える物語だ。その果てに待っているのは破滅しかないが、それは解放と同義でもある。虐げられた彼女らに唯一可能な抵抗(レジスタンス)は、ただ滅び方を選ぶことだけだから。
そしてもうひとつは主客の転倒。この物語には無数の転倒があるが、ヒロインたちが砕け散るとき、わたしはJ.Dであり同時にまたクロエである。他人の痛みを憐れみつつ、愛してやまない嗜虐者である。そこまで計算したかのように、ヒロインたちは嘲りの笑みを浮かべ「わたし達を憐れむな(そんな権利も資格もお前にはない)」と吐き捨ててゆく。喉元に、切っ先を突きつけるようにして。
もはや嬲られているのが誰なのかも判然としない。ただ、せめて自分の加虐性や被虐性には自覚的でありたいと思う。なんで娯楽小説を読んでこんな自己批判をしなければいけないのか謎だが、そういう奇怪なパワーを持った作風だということだ。有毒性の物語が好きな人にのみオススメの本である。
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ダメだった
既読作品があったので、色彩は想像できていたのだが、やはりその色な馴染めないままエンディング。
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5編から成る短篇集
恐らく好き嫌いが分かれる,刺さる人にはぶっ刺さる本ではあろうが,個人的には結構好き.
脱構築的なものを感じなくもない.(自他,性,自己と環境,美醜etc.)
特に徒花物語は,鬱屈として退廃的で耽美的で小さな希望があって心地良かった.
あと笹川真央にテーマ曲書いてほしい.
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自分より劣るものを見ることで安心感を得る、あるいは憐憫の情を抱く傍観者に対し、痛みを見せ、感じさせ、当事者たる少女たちの憎悪を、あるいは絶望を教え、闇に引き摺り込む物語構成は圧巻の一言。全5作からなるSF短編集ですが、いずれも幻想的かつ耽美的な唯一無二の世界観を構成しており最高の読書体験でした。表紙のデザインも表題作にリンクしており、非常に素晴らしいですね。
特に好みだったのは「地獄を縫い取る」と「徒花物語」。特に徒花物語は、非常に完成度の高い百合作品であることはもちろんのこと、「自分の痛みは自分のもの。決して手放さない」という決意の元に主人公が解放されていく過程が非常に美しく、圧倒されました。
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時間も空間も即ち時空を自由に飛び回り、時に浪漫、時に退廃、時に曼荼羅、時にSF。分離された世界かと思いきや接触しあう筋立て…なんという着想、なんという創造力、なんという文章の組み立て。
誉めまくっているのに星が3つなのは、読者たる俺の嗜好の問題。俺は痛い辛い表現が苦手なのだ。そういう目にあう登場人物が出てくる小説は、その登場人物がベタに救われないとイヤなのだ。
さらに言えば、痛みや傷や絶望が人の救いとなるような展開に我慢できないのだ。
だから、俺はこの1冊を正当に評価できない。読みたい人がこの本をきちんと評価してくれるだろう。
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なんと美しい文章と世界観…߹ㅁ߹)♡
昭和レトロで耽美でSFとは…大好きです♡
空木春宵(うつぎしゅんしょう)さん。
初読みの作家さんです。
短編集一作目の『感応グラン=ギニョル』のページを捲るともうチャカポコ聞こえてきそうな文章…(≧∀≦)
芝居小屋、劇の開幕シーン、時代背景が昭和初期なので、もう頭の中は『ドグラ・マグラ』や乱歩の世界…♡
何より美しいのは文章表現…。
読んでいて気持ちいいです.☆.。.:*・°
「美」が『美』にグレードアップしました(分かりにくい笑)
私、百合小説は苦手なのですが、そこがメインではないのでさほど気になりませんでした。
どの話も斬新でしたが、特に『感応グラン=ギニョル』と『Ranpo Sicks』が凄くいい⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝
読んでいる途中、どうなるのか予測つかない所もまた素晴らしい…。
怪奇ゴシック
レトロ
SF
百合
ホラー…も少し
で、痛み(-_-;)
が融合したSF小説です。
美しい装画からは想像付かない…。
一見ホラーミステリかと思いますよね(^▽^;)
【感応グラン=ギニョル】
芝居小屋で見せ物とされる見た目の酷い少女達…。
その中に美しい少女が加わる。
相応しくない少女に欠落しているのは、心。
彼女の不思議な力により、新しい世界の幕が上がる…。
いやぁ〜耽美な世界…。
劇団『浅草グラン゠ギニョル』の看板は、
「きれいはきたない、きたないはきれい」
興味本位で演劇を観にくる客達。
彼女達は「見せ物」なのです。
この話の「感応」が強く伝わるのは「読み手も一員である」というところ。
劇団員達の「苦痛」を読者も味わう事になります。
そして結末では頂点に達します。
満員御礼なハズですよ…。
【地獄を縫い取る】
近未来SF。
この世界ではネット上の「蜘蛛の糸」という官能伝達デバイスによって、五感を感じる体験ができる。
エンパスという技術で感情も共有できる。
主人公はエンパスを使った、ネット上の小児愛者を捉えるためのAIを制作。
人間と区別のつかない精巧なAIを作り出す。
「感情の共有」が『感応グラン=ギニョル』と通じているところで、こちらも酷く痛いです…(^▽^;)
エンパスを繋ぐと、AIとまるで本物の人間と違わぬような性行為ができる。
ターゲットは小児愛者。
主人公のジェーンは、自分とそっくりのAIをつくる。
こんなんできたら、皆使いますよね…。
ジェーンは被害者のあらゆるデータを駆使してAIを作り出しているので…ものすごく痛い。
この話は、読んでて辛かったです。
【メタモルフォシスの龍】
これまたすごい世界観…。
失恋したら、女は蛇、男は蛙に変身してしまう世界。
なので、自治区では政府が恋愛禁止を命じる。
失恋した主人公は、愛する人を喰らうため、自治区を出る���
蛇だから、蛙を食べるんですね…。
振られた男は蛙に。食べられたくないので避難専用の島が存在します…(^▽^;)
いつの世も男は…笑
失恋で心が痛い話。
振られた女は恨みを募らせ体はどんどん蛇に…。
主人公テルミの世話をするルイは夜の仕事をする美しい女性。
彼女が日を追うごとに蛇化する姿を想像すると…むむむ…耽美かな…(-ω-;)
感覚バグってきそう…。
ラストは驚く展開です。
【徒花(あだばな)物語】
時代は戦争真っ只中。
戦禍により両足をなくした少女。
病気を発症し、ある女学校に収容される。
生徒達は、3年生になると「ゾンビ化」する。
またまたすごい世界観(何回言ってるんだ)
ゾンビ化の度合いも生徒によります。
ゾンビになる前に生徒同士で行う儀式のようなものがあるのですが、若干の百合要素ですかね。
教壇にいつの間にか置かれているノート。
そこに書かれた小説が、謎を解くキーとなります。
こういうの好き♡
どの作品通してみても、必ず最後に真相が明らかとなり、きちんとロジックが解明される。
空木春宵さん作品の魅力のひとつなのだろうと思います。
そこも凄く良いです!
【Rampo Sicks】
この話が1番好きです(〃´-`〃)♡
タイトルにもある、江戸川乱歩の世界。
と言っても、出てくるのは作品名のつけられた名前やモノ。
この世界では、美醜が逆です。
美しい人は狩られます。美醜探偵団によって。
『きれいはきたない、きたないはきれい』が箴言。
美醜探偵団に捕まると「美醜値が規定内に収まるまで其の容貌を損壊される。」そうです…(-_-;)
痛いよ…。
空木春宵さんの描く美女の表現……߹ㅁ߹)
ほぅ……と、酔いしれますよ…。
各作品の世界に必ず美醜が取り上げられていますが…拘りなのかな。
読んでいるうちに、醜が美に思えてくるから不思議……。
ディストピアのお話です。
はい。大好きです。
短編だからと、途中でやめずに最後まで読むことをおすすめします!!
純文学が好きでSFと融合しても抵抗ない方。
極度に現実離れした美しい世界観に浸りたい方。
おすすめです!!(*´艸`)♡
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なんて、なんて美しい「痛み」の物語群なんだ!
まさに作中で引用されてた「きれいはきたない、きたないはきれい」が全編に通奏低音として流れているような。
痛みに苛まれている側が主体性を獲得したり復讐者になる場面のカタルシスが最高すぎる。
可哀想と思うことを許さない、痛みを持つ者の気高さがそこにある。
1本目の表題作から既に世界観に引きずり込まれて、終盤「徒花物語」からの「Rampo Sicks」で締める構成がほんと完璧に美しい。
異形コレクションで空木先生の小説に惚れ込んではいたけれどやっぱり大好きだー!!!