紙の本
プーチン
2020/11/09 12:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロシアのプーチン大統領の凄さがよくわかり、興味深く読むことができました。ロシア帝国が、夢物語ではなさそうです。
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2012/2/12 Amazonより届く。
2016/4/11〜4/23
ソ連崩壊とロシア共和国成立の裏側を描く、佐藤氏の洞察は鋭い。国を思う若者がいれば、国は再生する、というあとがきの言葉は重いなぁ。佐藤氏も書いているように、今の日本の大学生達にこの本を読んでもらいたい。
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これは筆者が旧ソ連のモスクワ大学で教鞭をとっていた頃とソ連科学アカデミーに出入りしていた頃の記録です。『ソ連崩壊』を歴史、神学、思想の面から考察されていて非常に面白かったです。彼らの事を知る為の一冊。
これは、『外務省のラスプーチン』こと現在は作家の佐藤優氏が外務省入省後、旧ソ連のモスクワ大学哲学部で教鞭をとっていた頃と、ソ連科学アカデミー民俗学研究所に出入りしていた頃の記録です。『ソ連崩壊』を歴史、神学、思想の面から考察されていて、非常におもしろかったです。筆者はこれを日本の大学生に読んでほしいと書いておりますが、個人的な見解だとこの本を読みこなせる日本の大学生はいいところ5%いるかいないかではないかと思っております。その理由としてはやっぱり難しい。特に民族問題にかかわる箇所は単行本の『甦る怪物(リヴィアタン)』だったときも含めて今回で3回目になりますが、いまだに理解できないものがありますし、大学生は恋愛なども含めて楽しいものや出来事がいっぱい回りに溢れておりますから…。
それはさておき、最近、プーチン氏が大統領に再選され、原油や天然ガスの高騰を背景として定刻として復活を遂げ、不気味な存在感が増してきたロシアですが、この本に出てくるモスクワ大学の学生は現在、国家の中枢として屋台骨を支えているという現実から考えてみても、彼らのことを知るための一冊として、是非オススメしたいと思います。
今回、新装版として文庫に書き下ろしで収録されてある『文庫版あとがき』は非常に濃ゆいもので、彼がロシアの地で明日のエリートを担う学生たちと真摯に向き合ってきたことを読みながら連想してしまいました。そのときのことが筆者のの専攻であるプロテスタント神学を機軸としてモスクワ大学の彼が教えた学生たちとの対話が描かれる前半部、最初に描かれるのはアフガンからの帰還兵あるベルトとその婚約者のレーナ。彼が筆者に告白する自身のアフガンでの体験は漫画『憂国のラスプーチン』に描かれてもいるのですが、よくあれを漫画化したもんだなと読んだときは度肝を抜かれ、アルベルトが『佐藤先生、僕は救われたいんです』という言葉がいかに切実なものであるかが本当によくわかりました。
閉鎖極秘都市出身の学生であるナターシャは成績優秀な学生で、将来有望な研究者となるはずでしたが、ソ連崩壊の混乱から彼女が選んだ選択肢も、また僕の心の中に重いものを残してくれました。
さらに筆者は『ソ連科学アカデミー民俗学研究所』に『院生』として出入りすることになります。ここは旧ソ連の超エリート期間で、後半部に延々とユーラシア大陸の複雑な宗教や民族問題がつづられ、セリョージャやチシュコフ、アルチューノフなどのまさに『精鋭』とも呼ぶべき『頭脳』との対話は非常にスリリングなものでありました。
『バクー事件』では「民族問題を力で解決した」ということで、ここからソ連は崩壊への坂を転げ落ちていくことを暗示し、『主権宣言』では宗教とマルクスと民族・領土問題をハイレベルな意見交換をセリョージャと交換し、彼から筆者は『境界線上の人間』といわれ、これが筆者の今後の作家活動の『��点』につながっていくのだな、ということを感じました。
ゴルバチョフ大統領がクーデターがおき『ぎっくり腰』で政権が取れないという騒ぎになっていたころに筆者はマルクスへ立ち返ることの必要性と意味を問い直すところで単行本では終わっておりました。しかし、あとがきとして追加収録されてある『プーチン論』ではふー鎮台跳梁が2012年に大統領に再選され、『甦る怪物』として21世紀に強大な『帝国主義国家』として存在感を増しつつあるロシアとプーチンとを、彼がかつて教えていたモスクワ大学の学生や政治家のゲンナジー・ブルブリス氏との対話を基に考察されていて、そのあまりのディープな世界にのけぞりつつも、これを読み解くことが重要なことだなと思って、ここに紹介する次第です。
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知の怪物、佐藤優。
知の巨人、松岡正剛、立花隆の次の世代は佐藤優に間違いない。
この人の知性の高さには恐れ入る。
これから読むのが楽しみである。
追記
ふう、やっと読み終わった。。
佐藤優の本はサクサクと読み進めることができない。
内容としては「自壊する帝国」とかぶる部分が多いと感じた。
図書館から借りて読んだ、「自壊する帝国」「国家の罠」「功利主義者の読書術」「日本国家の神髄」「獄中記」「交渉術」「日米開戦の真実」もリアル本棚に並べたくなった。まず第一に、大川周明の「米英東亜侵略史」を読み解く試みをした、「日米開戦の真実」あたりから揃えていこう。
読むのに時間かかるだろうなぁ~。
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著者の佐藤優氏は、2002年の鈴木宗男氏の事件に連座する形で現場を追われるまで、ロシア外交のキーパーソンの一人として活躍されていた方です。一線を退いてからは、ご自身の経験やインテリジェンスをベースに魅力的で読み応えのある著作(『国家の罠』や『自壊する帝国』、『日米開戦の真実』etc)を精力的に出されています。
本書では、その佐藤氏がソ連崩壊後の1992年9月から、日本の外交官として初めてモスクワ大学で教鞭をとられた時の経験を横糸に、崩壊前後にまたがって人脈のあったソ連科学アカデミー民俗学研究所との政治思想についての議論を縦糸に、ロシアが近代国家として甦っていく過程の要素が綴られています。文中からは、大学生などのこれから日本を背負っていくであろう若い世代に向けたメッセージを強く感じました。
- ロシア人の祖国、学問、さらに超越性に対する真摯な姿勢から学んで欲しい。
そこから日本の復興を、類比の方法を用いて学んで欲しいのである。
こう呼びかけているのは、氏が20年前にモスクワ大学で出会った学生達が、復活した今のロシアを支えていると、強く感じているからではないでしょうか。
氏の担当講座はプロテスタント神学のため、それをベースとした論旨の展開は神学的素養を持たない身としては観念的についていけずに、正直難しい部分も多くありました。それでも、一つの国家が壊れていく過程とその結果、その後の復活の萌芽が連綿と綴られていく様子に、今の日本では失われてしまった「古き良き価値観」をも感じ、非常に興味深く読み入ることができました。当時、崩壊直後で国家として混乱の極みにあったにも関わらず、次のような資質の強さ、恐ろしさは、、
- モスクワ大学の学生たちは、エリートとしての自負を強くもっていた。
そして、自らの能力を、自己の栄達のためだけでなく、
世のため、人のために使いたいという意欲を強くもっていた。
現在、プーチン氏の下で一つの結果、ナショナリズムの煮詰まった「エトノクラチヤ」として実っているようにも見てとれます。
これだけだと旧来の帝国主義国家としての復興ともとれますが、個人的に興味深く感じたのは、
- ファシズムに対する耐性をつけるためには知的訓練が必要だ。
その意味でマルクスの知的遺産が重要だ
この観点が氏の講義の軸にあったとの点です。ここ数年、エネルギー危機や経済危機などで揺れている世界状況は、先の第二次大戦前夜に非常に似て、混沌としてきています。その過去と同じ穴にハマらないためにも、内部的にその相克はどうなっていったのか、超克出来たのかどうかを、丁寧に読み解いていく必要があると感じました、日本を甦らせるための一助としていくためにも。
本書は、文庫版帯の「日本の大学生に是非読んでもらいたい。」との言葉が示す大学生だけではなく、佐藤氏のロシアへの思いの強さを差し引いても、今現在中核世代である(はずの)30-40代にも響く内容だと、そんな風に感じた一冊です。
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五歳のときに、私は父から地球儀をもらった。誕生日プレゼントではなかったはずなので、1991年のことであるのは間違えないが、何月なのかはわからない。いまでも自宅でほこりをかぶっているその地球儀には、緑色で塗られた広大な「ソビエト連邦」がある。現在のロシア連邦も広いが、カザフスタン、ウクライナといった単体でも十分大きな面積を持つ国家が集合していたソビエトは、ただただ広い。後年、母が「お父さんでもソ連が崩壊するとは思ってなかったんだから」言っていた言葉が非常に印象に残っている。 父はテレビ局で報道番組を制作しており、当然国際情勢には明るかったはずであり、また大学の卒論はマルクスと共産主義に関するものだったから情勢を注視していたはずだ。「地球儀を買ってやろう。ドイツは統一したが、さすがにソ連はまだ残るだろう」と思っていたのだろうか。
著者は1988年から1995年までモスクワの日本大使館に勤務しつつ、モスクワ大学で講師として神学の教鞭をとりながら、ソビエトの崩壊からロシア成立以後を最前線で見つめてきた。本書では著書がモスクワ大学で教鞭をとっていた際の生徒や、政府高官、民族学研究所の研究者たちなど、多彩な知識人が登場し、著書と議論を重ねながら、彼らが崩壊へ向かうソ連をどう捉えていたかについて克明に記されている。しかし、興味深いことに登場する一流のインテリゲンチュア達は、皆ソビエトの崩壊を予測できていなかった。それほどまでソビエト崩壊というのは前代未聞の事件だったのだろう。
著者は元外交官である故に当然その視線は鋭いが、本書の根幹をなしているのは著書がキリスト教の信徒であること、また神学という日本では稀有な学問的バックグランドである。もちろんキリスト教系の大学ではどこも神学を専門に扱っている学部・学科があるのだろうが、なかなか周りに「大学では神学を専攻していました」という人に出会える機会は少ないのではないだろうか。
共産主義の無神論と、正教が生活・習慣に根付いているロシアに暮らす人々、その狭間での悩みや思索はキリスト教についてはもちろん、マルクスや共産主義について全く無知な私には少々理解が難しかった。しかし知識人と呼ばれる人々が、危機的状況の国家を前にそれぞれの分野に立って故郷と家族、友人達の憂い、懸命に自らの考えをまとめ伝えようとする姿は、知識人とは如何にあるべきかを十二分に考えさせられる。
著者もあとがきで述べているが、是非大学生に読んでもらいたい。
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モスクワ大学で教えていた頃の教え子たちのエピソードは、当時の大学生の様子を垣間見れて興味深かったが、終わりの方の聖書やキリスト教的な説明の部分はちょっと難解であった。
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元外交官佐藤優がソ連で教鞭をとっていた頃の話。ちょうどソ連が崩壊し、ロシアになった激動の時代を綴っており、そこに生きる人々の顔を垣間見ることができる。
著者が、現実の世界を司る外交官であるのに、精神世界を司る神学者であることも興味深い。ロシアの指導者をキリストに例えてみたり、なかなかこの2つの世界を自由に行き来して論じることのできる人はいないのではないか。
政治、生活、思想、色々な場面からロシアを考察できる一冊。でも、キリスト教に馴染みの薄い私には、思想の箇所はちょこっと難しかった。
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「私のマルクス」の続編的自伝。ソ連崩壊前後にモスクワ大使館で勤務しながら、モスクワ大学で神学を講義しながら出会った学生や、民俗学研究所幹部との交流について。神学・哲学の知識をバックグラウンドにした、ソ連崩壊に関する議論は何とも理知的。自分の学生時代とは違いますね(笑)。
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元外交官、佐藤優氏がソ連崩壊直前、直後の混乱するロシアの状況について、著した本。
モスクワ大学でキリスト教神学について講義をした際の学生との交流。ソ連邦の民族問題に関する情報を得る目的で行った、ソ連科学アカデミー民族学研究所の研究者との接触と対話。ソ連崩壊の過程で吹き出していったソ連の民族問題と流血の事態などを中心にソ連崩壊からロシアへの激動を描いている。
ソ連崩壊の危機に際し、それまで抑圧されていた少数民族のナショナリズムが吹き出し、多数の人命が失われた。
この悲劇の原因を佐藤氏は、ソ連が民族問題をブレジネフ時代に解決し、終わった問題として取り扱い、事態の急変に適切に対処しなかった事に求めている。
排外的なナショナリズムの高揚と流血への距離は近い。
昨今の紛争や戦争の背景にあるのは、血と歴史に基づく民族と法的な主体である国家との関係である。
日本は島国である上、大和民族が主体となった事実上の単一民族国家である為、民族問題を理解し難い。
この本は多民族国家が抱えるジレンマをソ連崩壊という激動の時代を通じ、鮮やかに書いている。
普段、民族という概念を意識しない人に特に読んで欲しい本である。
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現在のロシア情勢を知る手がかりになるかと。
つい人は理性的に知性的にものごとを判断して行動するべきだと考えがちだが、それでは割り切れない感情的心理的理由で社会が動いて行く一面もあるのだと思わせてくれる内容。
思い込みを廃して読めば、理解出来る事がたくさんある本であるな。
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2012年刊行(初出2007~08年)。◆研究者にも関わらず、的確な文献引用をしない方々に読ませたい一書。ただの元外交官ですらここまでちゃんと書くのになぁ…。◆本書は、ソ連末期に三等外交官としてモスクワ等に赴任していた著者の、ソ連終末期の回顧録。モスクワ大学での授業模様や学生の優秀さ、神学(宗教学)に造詣の深い著者らしい丁寧なソ連分析(特に外交・民族宗教紛争の分析)のみならず、末期ソ連の生活ぶりも味読できる好著。何気に現在のウクライナ情勢の萌芽ともいうべき分析も書かれ「一書で幾粒も美味しい書」と言える。
本筋とは関係ないが、「複合アイデンティティ」(同胞殺害のソ連軍を憎む一方、世界初の有人飛行を成し遂げた国家を愛するという視点)、プーチンによる、ロシアを中核とするEU型貿易・関税・通貨同盟の提唱の事実、「扇動家」の定義(最もよく知られた実例・事実をもとに一つの主張を大衆に付与し、この憤激・不満を煽る。「イラ菅が首相になるようなシステムでいいのですか」などの根拠にもなりえないことを言うような人物のことかな?)は実に興味深い。
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『私のマルクス』(文春文庫)に続く、著者の思想的自叙伝です。ソ連で外交官として活動する中で見聞したさまざまな事実に絡めて、ソ連が崩壊するに至った原因についての考察が展開されています。
前半は、モスクワ国立大学でプロテスタント神学の講義をおこなったことが、学生たちとの交流を含めて語られています。そこでは、社会主義から資本主義へと方向展開しつつあるソ連の若きエリートたちが直面していた困難が印象的に綴られるとともに、資本主義の内在的論理を解明したマルクスの経済学の立場と、「わたしは自分の望む善は行わず、望まない悪を行っている」と述べたパウロの告白をみずからの問題として受け止めようとするキリスト教神学の立場をクロス・オーヴァーさせながら、学生たちに向き合ってきた著者の姿が描かれています。
後半は、ソ連科学アカデミー民俗学研究所を訪問し、副所長を務めるセルゲイ・チェシュコという人物と、ソ連の民族問題について語り合ったことが中心となっています。バルト三国の独立運動からゴルバチョフが軟禁されたクーデタを経てソ連の崩壊へ向かって進んでいく一連の動きが、民族政策の失敗という観点から明らかにされるとともに、現在のプーチン大統領によるロシアの「帝国主義」的な動きが、とくに「ユーラシア同盟」と関連づけながら予見されています。
これまで著者の本を読んでいて、文明論的な視点についていけないと感じることがあったのですが、著者がこうした視点から世界情勢を解釈するようになった理由が少し見えてきたような気がします。
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ソ連邦崩壊当時のリアルかつ信憑性の高いルポであるとともに、ロシアエリートの知的営為への誠実さを知ることができる。
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ソ連崩壊前後のロシア知識人層との対話談。前半はモスクワ大哲学部の学生との知的交流で、広範は民族学研究所でソ連と民族論について語る。最後のプーチン論は必読。当時はインフレで学生の生活が苦しく、著者は翻訳等の助手を頼んでいたそう。エリート層が外資の小間使いをしている様子が描かれていた。
ソ連崩壊については「最後の転落」と重なる部分が多い。遠隔地ナショナリズムは初出だったが、ソ連の周辺から崩壊していくというのは共通認識に思えた。トッドは衛星国だったが、本作は連邦内の共和国の民族問題だ。マルクスにはない(?)民族理論をスターリンが密かに導入し(回教)、普遍的な共産主義と調和するためインテルナツィオナリズム(ユダヤとツィガン以外の民族間友好主義)を推進した(民族籍の話や宗教問題はその典型?)。トッドが指摘したような理由でエトノクラチヤ(民族独裁主義・内向きの人種主義)が発展し、共産党エリート以外が立場を窺うようになった。
そんな中起きたナゴルノカラバフの紛争から、バクー事件・トビリシ事件を通じて問題がバルト三国に飛び火して主権宣言乱立を経てソ連崩壊へと繋がっていく。
結局、ソ連崩壊は民族問題だったと思う。普遍的な共産主義の全体主義体制を構築したのに、中途半端に全体主義を維持しようとしてペレストロイカを遂行した結果、ロシアならではの民族主義の復活を招いてしまったということ。でも自由化による資本主義の荒波を受けて国家機能強化が叫ばれているという。ロシアを中心とした地域経済圏を構成するユーラシア主義(ファシズム?)。ソ連も本質的にはユーラシア主義かもしれないと。共産主義という建前とユーラシア主義という本音で見ると面白いかも。共産主義というメッキが剥がれて軍事主体の帝国主義も経済主体の保護主義も同じで、外資に蹂躙されない強い国を取り戻すということだろう。著者はソ連が非共産帝国ロシアとして甦ったと表現している。ここで伏線回収!とても気持ちよかった。TPPも大東亜共栄圏と同じく地域ブロック経済圏と考えるのは当然といえば当然だが新鮮。
神学やマルクスについての話は知識が足りなかったので敬遠したが、教養が付けば再挑戦したい。外交官でなくても自国/世界の思想的素養は大事だということ
小説風だったので雑記が多かったが、エッセンスは抽出できたのではないかと思う。2021/9/20