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太陽の無い極夜
2022/09/19 19:19
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
実は、読むまで、自分は極夜というのは知らなかったのです……。(スミマセン)その極夜の様子や、過ごし方などなど……。コレ、体験しようとしたら、死を覚悟しないとできないんでは……と、はっきり言って、怖くなりました。
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【第1回ヤフーニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞作】太陽が昇らない冬の北極。極夜という暗闇に閉ざされた未知の空間では想定外のことばかり。一頭の犬と命がけで旅をした探検家の記録。
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白夜は聞いたことがあるけど、極夜は知らなかった。極地圏で起きる太陽が地平線の上に姿を見せない現象、数ヶ月も続くという。
極夜をひとり、旅したとして、どういう文章にまとめるか、想像してみる。こんな風にまとめられる?!
冒険の熱量を保ちつつも、日常の延長線上として極地での日々を書く。読ませるー
氷床も定着氷も麝香牛も分からないので、想像で読み進み、それはもうSF読んでるのと同じなんだけど、ノンフィクションらしい細部に圧倒される。
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子供の出産はしたことが無いけれど命懸けだと言うのは伝わってきた
それぞれの人間、育った環境によって太陽がどう見えるか変わるだろう
でも、変わらなくもある
そんなふうに読み取れる
闇は人を不安にさせて光は人に希望を与える
太陽の光は義務感を生じさせる
朝だ朝ごはん
昼だ昼ごはん
夜だ夜ごはん
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彼の最高傑作との評価を踏まえて読み、最高傑作かどうかについては判断を留保するものの、彼の良さが出ているとても素晴らしいノンフィクション作品だと思った。何よりその表現自体が僕の感性にとちもフィットしてとてもわかり易く感じる。その上、その冒険自体の困難さや不安な心情、生きる上での覚悟がとても強く伝わって来た。これほどの旅を構成をしっかり整理して表現する事の困難さはある意味冒険以上の難しさのように感じるほどとても良くまとまっていると感心した。誰かが叙情的表現と言っていた気がするが、小説的でもあり、優れたノンフィクションライターだと思う。まあ、僕が評価しなくても各種の主要な賞を総ナメしている訳なので充分凄いのはわかると思うけど。
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大変面白かった。
これからの冒険というのは脱システムであるという考え方に、冒険家というものが転換期にあることを強く感じさせられた。
ただ、脱システムでありながら途中衛星電話を使うなど、自分の命を守るためにはシステムから完全に抜け出せない点に現代の冒険家のジレンマを強く感じさせられた。
作者の特性もあるだろけれども、これからの冒険家はバカではできないんだなと強く感じた。
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久々に角幡さんの本を読んだら、文章に人間味が増してて非常に読みやすくなっていた。
さておき、極夜がどうとかもおいとおて、人間、大きな仕事(冒険?)を成し遂げるのは35-40というのはいい得て妙な話で、果たして自分はどうだったんだろうなと身につまされる思いだった。
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飼い犬に肛門を舐められて喜ぶ40歳の探検記。極寒の地グリーンランドにて太陽の光がまったく差さない極夜の中を、40日以上にわたり一匹の犬と進んで行く。「GPSなどの現代的なシステムには頼らず、人間が持つ本来の野生の力を最大限使いたい」と言う割には衛星電話を極秘に携帯していた。それはいいのかと思わずツッコんでしまう。暗闇と極寒の中での狩りや、嵐を耐え忍ぶシーンでは多少ドキドキしたが、「エンデュアランス号漂流(船が氷に砕かれ沈没し、氷海の中で遭難するノンフィクション・1915年)」を過去に読んでしまっているため、申し訳ないがどうしてもそちらと比べてしまう。本書では防寒具やコンロ、猟銃、GPSなど現代のテクノロジーを駆使した生きるための準備が万端。そのため著者の探検は「家族の待つあたたかな日常生活から離れて刺激を求め、自ら厳しい境地へおもむいて苦しむという貴族の道楽」としか思えず、一歩引いた気持ちで読んでしまった。内容的に通常の感覚では理解しがたい点も多い。しかし、一般人の枠からはみ出すような人でないと、そもそもこのような探検には繰り出さないだろう。犬を食べずにすんでよかったことが唯一の幸い。
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極地を極夜に探検する。しかもGPS無しで。
システムにがんじがらめにされた現代社会にあっては、システムの外に出ることが探検だ、というのが角幡さんの持論。単なる光源・エネルギー源として矮小化された一恒星としてではなく、生命の根源としての太陽、本物の原始太陽を拝みにいくことが旅の目的だという。
なんだかとても崇高な、哲学的な感じのするテーマだなぁ、朝日新聞のインタビューでもかっこいいこと言ってるしなぁ、と思って本を開いたら、のっけからなぜか分娩の話で笑かされる。いや、たしかに陣痛促進剤入れられたら(入れられる前も)修羅場だけど、20時間超えたあたりから記憶は飛ぶけど、時空が歪むって、何だそりゃ。お産の現場って極地の爆裂ブリザードに喩えられるくらい、男性には衝撃なんですか、そうですか。
初出が文春オンラインだからなのか、読者へのサービス精神溢れる筆致で、ぐいぐい読まされる。けれど、内容は決して軽い訳ではない。生態系に組み込まれた生き物としての人間の姿が透けて見えてくる冒険行であることに、私は本書を読む意義を感じた。目の前の生き物がすべて食糧として捉えられる世界、人間の排泄物が他の生き物の食糧となる世界、人間もまた他の生き物からは食糧と見られている世界。システムの外にあるのは、生き物としての人間が生きている世界らしい。
システム、って、言葉を変えれば文明なのだろうけれど、何のための文明かと言えば、生物としては脆弱すぎるヒトという種が繁栄するためにあるわけで、その外には当然、身包み剥がれた毛のないサルがいることになる。単独行動する手ぶらのサルに生き延びるチャンスは、万に一つもない。どこまでを「システム」と考えて、どこからを生物としての必然と考えるかはけっこう恣意的な線引きになるけれど、解説の山極寿一先生によれば「おうちに帰るまでが探検」らしいので、そこを基準にふるいにかける感じなのかなぁ。
『空白の5マイル』など、角幡さんの他の著書も読んでみたくなった。
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一日中、太陽が昇らない極夜、犬をパートナーとして探検した記録。度重なるブリザードやデポ荒らしなど全く計画通りにいかないが、まぁこの本書いてるんだから死なないんでしょ・・ということで安心して読めます。いや、それにしても犬は従順だ。腹をすかせた犬に食われなくて良かったね、角幡さん。
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死ぬかも。
死ぬでしょ。
アウトでしょ。
ピンチという言葉が軽く感じる、人智の及ばぬ世界で生命の危機を次々と迎えた時に、何を考え、どう判断して、決断し、行動するのか。闇の中に身を置き、光と出会えた時に、人は何を思うのか。
自分が絶対に経験することのない大冒険を追体験させてくれる、角幡さんの極地旅行記。
これほどの過酷さはなくても、誰しも人生には絶望的どと思える出来事があり、その処し方を思い出し、がんばったなあ自分、と労うことができるのもこの本のいいところ。
かけがえのないパートナーの犬のウヤミリックを殺して食べるのか食べずに済むのか。どうか無事にと願いつつ読んだ。
空白の五マイルとともに、読めてよかった。
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冒険ものはあまり好きではない私が、夢中になって読めた。筆者の人柄が滲み出ている文体に一緒に冒険しているように感じたからだ。一言、面白かった。
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出産と自分の境遇を重ねるなど、一部、それは無理矢理では…という表現もあったが、筆者にして書けない探検記録として面白かった。
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社会システムから脱出し、一日中日が昇らない「極夜」を一匹の犬と一緒に冒険する話。暗闇を数ヶ月旅した後に見る太陽に人は何を思うのか確かめるという。
暗闇や酷寒、ブリザードに加えて、日が昇らないことによる気分の落ち込みや不安。GPS代わりの天測器は早々になくなり、あらかじめ苦労して道中に残した食料は荒される。想定を超える苦境に立たされた著者の心象が丁寧に書かれる。
というか、真っ暗闇で方角も今いる正確な場所も分からず旅するなんて普通、無理でしょう。GoogleMapやコンビニのありがたみを感じる一方、人が本来持つ力がどれだけ失われているのか考えさせられました。
同行する犬への視線など傲慢に思える姿勢が気になる時もありますが、そうした点も含めて、現代社会のシステムから抜け出した人間の本質的なところを垣間見れる気がします。
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極限の状況での心理描写をこんなにも情熱的でありながら、美しくできる人は角幡唯介以外にいないだろう。
極夜の中を歩き、そこでの出来事や心理変化を見事に文章に落とし込んでいるため、最初から最後まで面白かった。
決して私はこんな探検は出来ないし、やろうとすら思わない。
だから、擬似的にも体験させてくれた角幡唯介には頭が上がらない。
『極夜行』に星座に関する挿話があった。
それは星空以外何もない状況下では星座を擬人化して捉えてしまうというものだ。
角幡唯介は極夜を歩いているうちに、星座の性格を見出した。
この経験から、過去の人達も同じように星座に対してストーリーを加えたのではないかという気付いたらしい。
角幡唯介にとっての物語では、ベガは織姫みたいな奥ゆかしい女ではなく、もっとエキセントリックな恐女として描かれている。
今度、私は山行をするのだが、星座を観察し自分なりの物語を作ってみたいと思わせる力がこの本にはあった。
『世界最悪の旅』という本の内容をこの本で紹介されたいるのだが、角幡唯介は死を当たり前として捉え始めた隊員に対して恐怖を抱いたらしい。
しかし、『極夜行』でも死を当たり前として捉えているような表現があり、私も恐怖した。
特に、犬が食べるものがなく自身が出した吐瀉物を再び食すシーンは鳥肌がたった。
極夜を歩く中で生まれるような精神の美を私は体験できるのか全くわからないが、なるべく見つけようと思う。