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うーん
新幹線で読んでいて泣いてしまった「64」クラスを期待していたので。タウトもいいけど、ちょっと冗長すぎと感じた。後半1/4でテンポが上がり、面白くなったので3点まで挽回。
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たぶん初めての横山秀夫作品。
ミステリーだけど、結局悪い人はいなかった。それぞれがよかれと思って行動した結果、謎ができてしまった。美しい謎ってそういうことか。
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文庫化を今か今かと待っていた一冊が年末に登場。正月休みに読むつもりで仕事帰りに購入。数ページを車中で読み出したら止まらず、500ページ超えの大部を一気読み。
上質な大人のミステリーというより、僕は〈気障〉を抜き、〈ほろ苦さ〉をまぶしたハードボイルド小説として読んだ。
◉さわり…
施主の吉野より自邸設計の依頼を受けた主人公 建築家の青瀬。与えられたテーマは『あなた自身が住みたいと思う家を建ててください』という、たった一点。かつてない好条件に青瀬はかねてより頭にあった、北の方角から柔らかな光が差し込む〈ノースライト〉の家を設計する。無事引き渡しをすませ、青瀬の手を離れる。
しばらくして、施主家族はそこに住んだ形跡もなく、姿をくらます。その不可解な失踪を確認すべく吉野邸に乗り込む。そこに残されたのはノースライトの暖かい光の下にたたずむブルーノ・タウト作と思われる椅子一脚。失踪した施主は?家族は?青瀬は打合せ時に見せた吉野夫婦や子どもたちの様子を思い出しながら残された椅子に微かなメッセージを嗅ぎ取り、足取りを追う…。
◉短評…
本書は建築家がやむを得ずにわか探偵となり、失踪家族を探すといった、そんな柔なストーリーではない。青瀬の離婚した妻・娘との関係、生まれ育った環境、落ちぶれていた青瀬に手を差し伸べてくれた設計会社社長 岡嶋への感謝をしつつも割り切れない思い…等の濃厚な人間ドラマの要素が加わり、佳境に近づくにつれ『あれが伏線だったのね…』と唸らせるストーリー展開となっている。
まぁ、そんなことは手練の著者にとってはお手のもの。そこに、もうひとつの軸〈ある公共施設の大きなコンペ案件〉が加わる。ストーリーは俄然白熱を帯びコンペ作品を生み出していく様子があたかも現場実況よろしく詳述される。業界は違えど競合プレゼンが目前に迫る際の特有の高揚感を肌身で知る者としてその怒涛のクライマックスは爽快感と同時に失踪の謎が明かされ、ふぅ〜と安堵する。
最後にもうひとつの魅力は、建築設計業界に籍を置いていたかのような著者の碩学ぶりとその描写力。文章は一次元。にもかかわらず、三次元の建築意匠を筆一本で描き、読者には眼前にその意匠が明確に浮かび上がる。凄絶な筆力。それだけでも一読の価値あり。
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すーっと引き込まれて、後半は手が止まらない。気づいたら読了。描写が細かくて頭で映像を想像しながら読めた!今まで読んだミステリーとジャンルが違った。
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北からの光線が射しこむ信濃追分のY邸。建築士・青瀬稔の最高傑作である。通じぬ電話に不審を抱き、この邸宅を訪れた青瀬は衝撃を受けた。引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないのだ。消息を絶った施主吉野の痕跡を追ううちに、日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がってくる。ぶつかりあう魂。ふたつの悲劇。過去からの呼び声。横山秀夫作品史上、最も美しい謎。
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中身が濃く、内容も長く、
コンペの話と施主の行方不明の話とブルーノタウトの椅子についてと主人公の家族の話(現在と過去)が入り混じるので
あ、そういえば施主行方不明で探してるんだった!
だったりそういやコンペが不穏だったんだなと思い出すような不思議な読書体験だった
それぞれ内容が濃いのでターンごとに読み込んでしまい背景を忘れてしまうというのが原因かなと思った
恥ずかしいことに建築関係はからきしなのでブルーノタウトの話もこの本で初めて知った
軽井沢と熱海に行きたくなってしまった
最後の謎解きは途中からそうなんだろうな〜と思っていたので驚くことはなく
両者に悔恨がほとんど残らないようで良かった
最後の終わり方がまた最高で、岡嶋さんの作品がこの世に残るといいなと思った
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北からの光線が射し込む信濃追分のY邸。建築士・青瀬の最高傑作である。引き渡し後、消息を絶った施主・吉野はどこへ消えたのか。横山秀夫作品史上、最も美しい謎。
傑作「64」以来の横山作品。ちょっと大人のミステリーとハードボイルドを意識しすぎた感があって、期待したテイストとは異なった。
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これはミステリなのかな。横山秀夫さんの作品はほとんど読んでいますが、これは今までの作品の中では異彩を放つものだと思います。
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よくできたお話
どうやってこういう小説を書くことができるのか感心する。
参考文献の数が物語っている。
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ミステリーというよりかは建築学と経営学。ただ人間ドラマが面白く、涙するところもあり。美しい物語だった。
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○前半のドキドキ弱め
○思い入れの強い建築物、とはいえ、なぜそんなに居住者にこだわるのか、感情移入し辛かった
○最後はまとめてきたが、過去の横山先生作品と比べるとスケール感など劣ってた印象
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ミステリーとしては珍しい内容な気がする。
「家がもし、人を幸せにしたり不幸にしたりするのだとしたら、建築家は、神にも悪魔にもなれるということだ」
という一文が頭を離れない…
登場人物が一人一人すごくリアルで、全てのことがありありと想像できた。
読み応えがあって、少し読むのに時間がかかってしまったけど…綺麗なミステリーだったと思います。
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去年5月に横山秀夫の著作を20年ぶりに再読した時に、最近描けていないのはネタ元が尽きたからだという意味のことを書いた。全く失礼なことを書いた。横山秀夫は新たなステージに登った。
久しぶりの新作がやっと文庫化した。勇躍して紐解くと、その新しいテーマ、その瑞々しさ、隅々まで絞り込んだ表現、それなのに変わらないスタンスに驚愕した。誤解を恐れず言えば、女流作家には描けない、ぶざまにも美しい「男の矜持」が、全篇にわたって描かれていた。
建築を設計し建てることは、小説を書くことに似ている。青瀬の〈Y邸〉は、横山秀夫にとっては、辿り着いた最高傑作に似ているのだろう。かつて横山秀夫は、新聞記者時代に培ったサツ回りの経験を膨らませて10数年を突っ走った。今回それを総て捨てている。捨ててどうしたかというと、おそらく子供時代から培ってきた「感性」を、この作品に注ぎ込んだ。
じぶんの原点は何かを問い直し、
それに沿って一から創り上げた。
まるで、青瀬が〈あなた自身が住みたい家を建ててください〉という言葉に救われたように、
まるで、岡嶋が〈足りないものを埋めること、埋めても埋めても足りないものを、ただひたすら埋めること〉という言葉で救われたように
おそらく横山秀夫が描きたかったものは
「巧い、暗い、恐い、そして美しい」ナニカなんだったのだと思う。
上質のミステリとして巧く
緊密で硬質な文体は暗く
時折見せる心理描写は恐く
そしてすべてが美しい
ずっと積読状態だった「日本美の再発見」(ブルーノ・タウト)は、今年は紐解こうと決心した。
kinya3898さんのレビューで文庫化を知った。
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「横山ミステリー史上最も美しい謎」
待望の長編、本当に読み応えがありました。
特に終盤は物語が大きく動いて怒涛の展開を見せて、ページを捲る手が止まらず。
さすが、素晴らしいと思いました。
ただ個人的には横山秀夫さんの警察小説が好みだったので、今作はかなりイメージが違う印象でした。
ミステリーというよりも、ヒューマン寄りというか…
家族、仕事、家、人生。
色々なテーマが描かれていて、何とも味わい深い作品だなと思いました。
建築業界についても興味深い内容で、勉強になりました。
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【映像化に期待】
横山秀夫でイメージする作品の中でも
家族に重きを置いた一冊
建築の知識が全然ないので
Y邸、映像で見てみたいなぁ