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短編集。鎌倉幕府の中枢近くに位置した4人の人物を取り上げている。それぞれの人物像をうまく作り上げている。
この時代のメインでない人物の小説はなかなかなく、読み応えある。
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頼朝の死の真相や実朝暗殺の内幕などがミステリータッチで描かれ、気軽に読める6編。44年前の作品ながら、歴史ものなので古臭さも全く感じません。永井路子さんならではの視点で、女心の怖さもしっかり教えてもらいました。
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6篇の短編集。
●右京局小夜がたり…源実朝の御台所の乳母の視点からの語り。京都から鎌倉入りした乳母の実朝に対する視線がシビアで、実朝好きとしては読んでいて辛いが、こういう解釈があってもおかしくないか…
●土佐房昌俊…まさかの土佐房が主人公!義経と弁慶も出てきます。
●寂光院残照…建礼門院のもとへ後白河法皇が訪れて…。信西の娘の視点からの語り。←阿波の内侍(藤原信西の娘)のことか?
●ばくちこそ歩くなかれ…僧侶の賭けとは?義時晩年にかけての物語。主人公・尊長 は一条能保の子(母は不明)、彼の異母兄は一条信能(母は遊女)、異母弟の一条実雅(母は藤原有恒の娘)は伊賀の変での将軍候補&妻は北条義時の娘。※このあたりの関係を理解して読むともっと面白いと思う。
●頼朝の死…タイトルの通り
●后ふたたび…藤原頼長の養女・多子と周囲の公卿たちの攻防
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壇ノ浦で助けられて寂光院で余生を送った建礼門院のもとに後白河院が訪ねたという大原御幸。永井路子さんは杉本苑子さんとの対談本で大原御幸はなかったわよ、わはははと言っていた。無かったと言いつつどんな話を書いたのだろうと興味があった。
現実にはなかったと思いながら、もしそうだったら、どんな言葉を交わしただろうかと永井路子さんらしい話だと思った。無関心と無感覚な建礼門院は理解できるような気がした。
その他、実朝の御台所の乳母の視点で実朝落命までが描かれた右京局小夜がたりなど全6作の短編集。
頼朝の死では、いかにして噂が出来上がるか、真実かどうかはどちらでもよく、真実であって欲しいと思う人があると噂は生まれ、真実であって欲しいと思う人が多いほど、多くの人に伝えられていく。
まさに永井路子さんの「悪霊烈伝」に書かれてあることがそのままに小説になっていて面白い。
中傷とデマを永井路子さんらしく少し皮肉って書かれているが、中世だけの話ではなく、現代にもちょっとした隙間にデマが入り込むことを言われているのだろう。
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鎌倉は大好きな場所で鎌倉にまつわる歴史も大好き。
源頼朝や義経、後白河法皇、建礼門院、土佐房昌俊はじめ彼らにまつわる人々からみた権力の世界や駆け引きの様子がとてもおもしろいです。
題名にもなっているお話、寂光院に隠棲した建礼門院と後白河法皇とのやりとりが目に浮かぶようでじわっときました。
駆け引きや裏切り、人間模様、権力、人の心はいつの時代もおそろしい。