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巻末に「おまけ」としてつけられた10ページの小品「嫁と姑(しゅうとめ)」がすごくいい!
映画のエンドロールのあとで後日談がショートムービーのように付けられていることがあるけれど、映画を見終わって場内が明るくなったとき、映画の余韻にひたりたくて、しばらく座席でじっとして深い息を吐くときのようになる。
特別なできごとは書かれていない。平凡な一幕だ。
だけどすごく新しくて、未来志向にあふれている。
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軽度知的障害のある自閉スペクトラム症の女性の物語。
知的障害の、と紹介されているのをよく見るが、どちらかと言うと自閉症の部分が彼女の状況を苦しくさせていると思う。
主人公の母親もやさぐれてるように見えて、端々に昔は頑張ってたんかなぁと感じられる。
結末は、作者の希望を込めた物語なのでは。
切ないお話でした。
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いやです
有紗は、断れるように、なりました
岡村さんと恋をするまで、誰かの一方的な性欲をみたすことしかできなくて、そしてそれがイヤだってことにも気付けなかった
誰にも必要とされず
それしか、役に立てることが、ない、と思って、生きてきたから
ぼくは、精神疾患で、手帳を持っています
でも、有紗の苦しみは、全然違うものだし、想像することしかできません
有紗は、どうして岡村さんだったのか
2人がそれぞれ、生きていくために、必要だった
からかな、と思いました
相手を思いやることが、相手も、そして自分すらも傷つけてしまうことが、ある
それは、辛いけど、でも、言い訳を伝えて、相手もそれを聴いて、って丁寧に暮らしていけばいい
2人はそうやって暮らしていくのだ、と思いました
自分や、自分の家族以外の人の幸せを願うということ
奇跡のようなことだな、って思ったんです
ぼくは、誰かと暮らしていくことはできなかった
そして、この世界で、みんな不自由を抱えて生きていらして、ぼくは、みんなの苦しみを思いやって生きることは、できません
でも、有紗のように、岡村さんのように、自分の近しい人の不自由さを想像して、暮らします
障がいがあるから、誰かに助けてもらって、もしできたら誰かを助けて、生きていきたい
君が必要なんだよ
わかってよ
涙が止まりません
そういう人が、みんなにいたらいいのにな
そして、ぼくにも
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主人公は軽度知的障害を持つ女性。
重度ではなく軽度だからこそ、自分が少し周りと違う、劣っているとわかってしまう辛さ、恥ずかしさ、惨めさ。
私自身も弟妹やクラスメイトに比べ人一倍鈍臭くトロく運動神経も無く、叱られたり馬鹿にされる子供時代を過ごしてきた。
大人になった今でも相変わらずトロいし鈍臭いので人をイライラさせてしまう。
『何で私は皆んなとなんか違うの』『何をやってもダメ、私は価値がない』
医師に診ていただいた訳ではないので今のところは健常者として生きているが、有紗と同じように人生で何度も自問自答を繰り返してきた言葉。作中のモノローグは痛かった。
結末は無事ハッピーエンドで締めくくられており安心した。
現実ではやはり中々上手くいかない事も多いだろうけど、フィクションなのだしこのラストでよかった。寧ろこのラストじゃなきゃ嫌だったかも。
作者自身も発達障害を抱えているそうだが、インスタグラムを拝見するとご主人にとても大切にされているご様子で、必ずしもフィクションではないのだと証明している。
岡村さんに優しいご主人を投影されたのかもしれない。