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サイバーパンクの泰斗ウィリアム・ギブスンが興行主からの依頼で書いたものの、結局映画化されずにお蔵入りになった「エイリアン3」の脚本を、”サイバーパンクの女王”パット・カディガンがノベライズ。いわば、映画「エイリアン3」とは異なるパラレル・ワールドによる「もう一つの『エイリアン3』」。
うーん・・・これは評価が難しいですね。
SF者としては、「えっ、あのギブスンが書いた脚本を元にしてるの!?」と、そこに惹かれて手に取りますよね。しかーし、ギブスン風味は皆無。ついでに言うとカディガン風味も皆無。まぁ、カディガンはノベライズを得意としている作家でもあるので、あえて個性を出さずに書いたのだと思います。が、それにしても何だか「脚本をそのまま文章にしました」的な、小説としてはかなり読みづらい筆運び。ストーリー展開は「エイリアン2」のバリエーション以上でも以下でもなく、閉鎖空間でわらわら増殖するエイリアンと人間がドンパチやって闘い、生き残った数名の人間が脱出に成功して、ジ・エンド。
語弊を恐れずに言うと、本当に徹頭徹尾、「エイリアン」でしかないんですよ。「エイリアン」と聞いて想像するイメージそのままで、そこから抜きん出るものは何もないです。
しかし、だからこそ鴨は声を大にして言います。「エイリアン」好きは読め!特に「2」好きは絶対に、今すぐ読め!!
「エイリアン」の作品イメージとはほど遠いギブスンが脚本を依頼され、結果的に採用されなかった顛末は、「訳者あとがき」で詳しく紹介されています。このいきさつを読む限り、そもそもギブスンに依頼したのが間違いだったし、ギブスン自身もこの状況では辛かったろうな、と思います。
でも、唯一幸運だったのが、ギブスン自身が大の「エイリアン」ファンだった、ということ。だからこそ、世界中の「エイリアン」ファンを喜ばせるために、「そうそう、こんな『エイリアン』が観たかったんだよ!」と言わしめるための要素をてんこ盛りに盛り込み、自分が大好きな「エイリアン」の世界を純粋に描ききった、それがこの脚本なんだと鴨は感じました。
だから、「えっ、あのギブスンが・・・」と思って読むと、かなり「???」です。小説としても読みづらいです。
でも、シンプルな「エイリアンのノベライズ」として読むと、くっそ面白いです!正に巻を置く能わざる面白さ。リプリーもヒックスもニュートもビショップも全員生き残り、それぞれの道で生を模索します。結構なボリュームの本ですが、脳内に映像を展開しつつ一気読みしてしまいました。
とはいえ、本質的にはアクションものなわけで、終盤の展開もまぁ想定内で、「エイリアン」だしこんなもんかな、と思ってたんですよ。
ところがなんと、最後の最後の数ページで、突然に直球王道の”SF的ヴィジョン”がぶわっと展開するのです。しかも、人間ではないアンドロイドのビショップの語りによって。SFとして文句のつけようがない、見事な落とし前の付け方です。ギブスンの底力ですね。
この”SF的ヴィジョン”によって、もしこの脚本が映画に採用されていたら「エイリアン4」は無かっただろうな、と鴨は思いました。それまでは「SFとしての評価は星2つか、良いとこ3つかな・・・」と思いながら読んでいましたが、この最後の数ページで、星4つ行きました!
ことほど左様に、読み方によって評価も大きく変わってくるであろう、難しい作品です。
しかし、繰り返して言わせていただきます。「エイリアン」好きは読め!特に「2」好きは絶対に、今すぐ読め!!
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ジェームズ・キャメロン監督の手になる『エイリアン2』の大ヒットにより3作目が企画されるが、脚本段階で難航する。製作者はサイバーパンクの旗手ウィリアム・ギブスンにその執筆を依頼する。第1稿、第2稿と書かれたが、様々な理由によりお蔵入りとなる。本作は、その第1稿をパット・カディガンがノベライズしたものだ。
結局、ギブスンという名前がほしかっただけで、ストーリーは製作者側が決めていたんじゃないかと思う。完成した映画と本作に共通する設定が多々あるし、なによりギブスンらしさが感じられなかった。こんな映画は観たくない。
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ビショップの描写が多くてよかった
ナノテク血液描写
エイリアンが身体から出てくるところ
映像では面白みに欠けそう
次はコミック版3いこう
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読み終えて、この作品が映画のエイリアン3になっていたら、ヒットしてた予感
当時の技術なら映像化も可能だったと思います。
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2023-04-30
いや、著者はパッド・キャディガンだろ。まあ、元になった脚本はギブスンだけども。
中身はエイリアン2の直接の続編。映画のエイリアン3とは異なり、ちゃんと2の生き残りが活躍する。冷戦がベースにあったり、手触りが2そのまんまと言うのでボツになったのも分からなくもない。けどそのまんまということはすげぇ面白いということでもある。
そして最後の展開、プロメテウスに通じるものがあって、ちょっと複雑。
まあ読む手が止まらなかったのも確か。