投稿元:
レビューを見る
今まで音声学者という名前は聞いたことがあっただけでぼんやりとしたイメージしか持っていなかった私だけど、この本で全体像がなんとなくわかった。
思わずほんわかしてしまう家族エピソードとともに、私たちの身の回りにあるもので音声学を楽しむことができた。でも、この本を読んだ後は、身近に音声学の題材となるものがたくさんあるのに、どうして私は今までないがしろにしていたんだろう?と不思議に思ってしまった。当たり前だけどみんながあまり知っていなさそうな知識で、だけど深掘りするとおもしろい、それが音声学なのかな、と感じた。
投稿元:
レビューを見る
根っからの理系で音声学は一度も学んだことはないが、入門としても丁度いい一冊だった。
必要な用語は噛み砕いて説明されており、一冊通して意味を理解できた。
両唇音はかわいい、破裂音などは強い、など確かに考えてみればそうかもと感じる例(ポケモンやプリキュア、メイドなど)から説明されていてわかりやすい。
子供の言い間違いは発音が未熟なわけではなく理由があるとわかり、例にあがっているその間違い方もなんとも可愛く感じた。
忘れたころに読み返して知識を定着させたい。
投稿元:
レビューを見る
面白かった。言い間違いや言葉の印象の仕組みがよくわかった。説明に使われている言葉が平素でわかりやすいし、データとして集めたサンプルもポケモンやプリキュアやメイドさんたちと身近でイメージしやすい。流石教えている人の話はわかりやすいなぁと別の感心までした。
投稿元:
レビューを見る
子どもが言語を習得していくのを間近で見ていて、単語を何らかの法則性を持ってアレンジしているのが不思議で、何か学べないかしら…と思って手に取った。
…音声学の世界、面白すぎ…!
音の分類や発声時の口腔内構造など突っ込んだ内容も解説しているが、著者が「面白いでしょ、面白いでしょ」と喫茶店で好きなことを近くでいっぱい語ってくれているような熱さが感じられ、夢中で読み切ってしまった。著者の研究テーマもプリキュア、ポケモン、コギャル語、日本語ラップ…と魅力的。
子どもの言い間違い(→正確には間違えている…というより、言い換え?)は音韻学で説明がつくことも多い。
・両唇音は赤ちゃんが最初に発する。音象徴。両唇がふさがり、鼻から空気が流れる哺乳行動由来?
・子音は調音点(どこで発音)、調音法(どうやって発音)、有声性(声帯振動)で分類
・母音は発音時の舌の高さ、前後の舌の位置で分類
・子どもの発音は決して未熟な発音とは言い切れない
・2文字分が標準
・子音がひっくり返りがち
・後ろの音を大事にする
・繰り返しが好き
投稿元:
レビューを見る
めちゃくちゃ面白かった!!!特に好きなのは第13話の名前に使われている音によって感じる印象が変わる話。
QRコードから飛べる音声データに癒やされる〜。
投稿元:
レビューを見る
高橋源一郎の飛ぶ教室で手に取る。
言葉をおぼえたてのお子さんがいれば、この本は更に面白く参考になるだろう。私はすっかり息子の発語からその先も忘れてる(笑)
こちらとしては、ポケモンの音声学がとても興味深く、遡って怪獣の名前も、そうそうと頷ける。
すっかり子供のことは忘れてると思っていたけれど、ポケモン図鑑をトイレに張って、トイレトレーニングしたことを思い出す。うーん、懐かしく感慨深い。
投稿元:
レビューを見る
著者の子育てエピソードがふんだんに盛り込まれた、著者曰く世界一ほっこりする音声学入門。
音声学の面白さがびんびん感じられた。子どもの言い違いにも音声学的な理があるということで、長男が生まれたばかりの自分としても子どもの成長を見守る観点が一つ増えた。
プリキュアのキャラには「可愛い」を特徴とする両唇音が多用されている、ポケモンは進化すると名前に含まれる濁音数が増え名前が長くなる傾向があるといった著者の研究が紹介されていて、とても面白いと思った。まさに研究という感じである。
投稿元:
レビューを見る
面白かったけど、
こんなに川原先生がデコってくれないと
楽しい味付けにならない
言語学って、ほんとに味がしないんだろーなー。
砂噛んでる味なんかなー、という感想です。
とーちゃんが妻も娘も大好きなのが
よく伝わりました。
投稿元:
レビューを見る
国際音声記号IPAで、日本語を音であらわすと、言い間違い、空耳、早口言葉、ラップ、ダジャレも理にかなったものが多く、説明がついてしまう。日本語を日頃、音と捉えることがないので新鮮な気持ちになります。音に意味があって商品名、キャラクター名、芸名があるように思え、名づけるなら、それが受け入れられるイメージを先行して検討したほうが良さそうです。名は(音で)体を表すのだと思いました。
投稿元:
レビューを見る
新聞等の書評で知った。
子どもがいる方は、小さい頃に何をしゃべるか、どうしてなのか気になると思う。
声学に初めて触れたが、どんなものかなんとなくわかった。韻を踏んだり、言葉遊びが好きな方ははまるかもしれない。また、気になるネーミングにも役立つかも。
投稿元:
レビューを見る
NHKラジオ「飛ぶ教室」で本書を知った。紹介に違わず、家族愛と研究とが相まって、飽きない。
ポケモンを勝手に作り上げて、どの名前が適切かを各国で実験するなんて。研究資金の獲得場面もかなり面白かったのではないか、と勝手に想像してしまう。
投稿元:
レビューを見る
図書館新刊コーナーから。
学生のころ、言語学の講義で音韻にも触れた記憶がある。教授がクセの強い爺ちゃん先生だったから、あまり熱心に勉強しなかったけれど。
「両唇音=可愛い」をプリキュアの名前で証明しようとするところから興味を持てた。
学問って、身の回りの世界を明らかにするためのものだから、その対象はプリキュアだってポケモンだっていい。
そこから赤ちゃんの発音を解説し、両唇音=可愛いにちゃんと持って行っている。納得。
文字が入れ替わっちゃったり繰り返されたりという、子どもの可愛い言い間違いについて、こうも納得のいく考察がなされることに驚いた。
子音や母音の入れ替わりや、際立たせるための繰り返しなど、確かに、「発話が未熟だから」では説明がつかない。
言いやすさ&伝わりやすさに向けて一直線に爆走している感じなんだろうな。
未熟どころか、進化すら垣間見える。
まさに「彼ら彼女らなりの理屈をもって音声を発している」。
可愛いだけじゃなく、学術的な好奇心も刺激してくる。
子どもって素敵な存在だ。
投稿元:
レビューを見る
教職科目で言語学あるいは日本語額を学習している人は、その実践及び例示のために読むと知識の整理に役立つであろう。実験もありあるいは研究者としてのエピソードも書かれているので面白い。
写真についていくつかあるが、イラストの方がわかりやすい気がする。
投稿元:
レビューを見る
音声学者の著者が娘さんの言い間違いや、いわゆる赤ちゃん言葉などについて、なぜそうなるのか紐解く。
プリキュアやポケモンのキャラ名についての考察は、かなり話題になり、世界を巻き込んだ研究になったらしい。
アンパンマンが「マンマンマン」、おかあさんが「おたあさん」になる理由なんかがわかって、息子がたどたどしく発する単語が、なるほど今は口の浅いところでしか発音できないからなんだな〜、とか納得できておもしろかった。
息子はたぶんおしゃべりゆっくりタイプのようでちょっと心配になったりもするけれど、著者さんのように、今だけの訳わからないたどたどしさ、宇宙語を愛でていこうと思ったのでありました。
(著者夫妻は、娘さんたちの言い間違いをあえて直さず、外部に指摘されて直っちゃった時には、なんなら残念がるそう)
投稿元:
レビューを見る
●は引用、その他は感想
●ピノコが「ラ行」を「ヤ行」に置き換えるのは、「ラ行」を発音できないからではない。「ヤ行」が言いやすいという理由だけでもない。もしそうなのであれば、「ダ行」も「ラ行」も全部「ヤ行」にしてしまえばよいはずである。ところがそうならない。この説だと、「ダ行」が「ラ行」で発音されることの説明がつかないので。(略)このような現象はchain shiftと呼ばれ、多くの子どもの発話で観察されている。なぜchain shiftが子どもの発話で観察されるのか、最新理論をもってしても完全なる理解は得られていない。しかし、子どもの発話に観察される「言い間違い」は、「子どもの能力の欠如ではない」ことは彰かだ。(略)時に我々大人は、子どもたちを「大人ならできることができない未熟な存在」と見なしてしまう。しかし、彼らは彼女らなりの理屈をもって音声を発していることは間違いない。
●もしかしたら、「名前の短さ」で「心理的な距離」を表しているのかもしれない。その証拠に、怒ったときには愛称ではなく、本名を全部発音することがある。もっと怒ったときには名字も含めて、なんなら「さん」までつけて呼ぶ。
平常:さっちゃん、部屋がちょっと散らかってるよ。
怒り(小):さつき、部屋が散らかってるよ。
怒り(中):かわはらさつき、部屋が散らかっています。
怒り(大):かわはらさつきさん、この状況をどう説明しますか?
●日本語は「2文字(拍)が好きで、なんでも2拍に縮める傾向にある」という例を紹介した。「リハーサル」は「リハ」になり、「ビルディング」は「ビル」になる。しかし、(1)の例は、それでは説明がつかない:
(1)パーマ ← パーマネント
ローテ ← ローテーション
コンビ ← コンビネーション
アンプ ← アンプリファイアー
シンポ ← シンポジウム
エンコ ← エンコード
なぜ、「パー」「ロー」「コン」「アン」「シン」「エン」と2拍では足りないのだろうか。「なんか短すぎる」と感じる人もいるだろう。そう、日本人は「2拍は好きだが、1音節の単語は短すぎる」と感じるのだ。「ん」「っ」「ー」は、前の拍にくっついてそれ自体では音節を形成しないから、「パー」も「コン」も1音節と数える。それだけでは短すぎるのであろう。この例も日本語に音節が存在することを物語っている。
●「ミーちゃん、そろそろ眠くなってきたかしら、それともおっぱいがいいの?かーちゃんわからないよー」である。赤ちゃんは、こんな意味不明な音の連鎖から単語を切り出すという偉業を成し遂げようとしている。(略)その一助となっているのが繰り返しだ。繰り返していると、少なくともその部分がひとつのかたまりになっていることがわかるので切り出せる。こう考えると繰り返しの多用も、我が子に言葉を学ばせようとする親の愛の表れかもしれない。この愛が一般化されて「繰り返し=お母さん言葉」という法則が生まれたのであろう。
●この世を支配する物理法則のひとつに、「高い音は小さなものから発せら��る」というものがある。(略)「高い声」は「声帯が小さい」、つまり「体が小さい」ことを含意する。動物界において、大抵は小さい生物のほうが危険度が低く、敵意がなさそうだ。よって、高い声を聞いたほうが、赤ちゃんは安心するのかもしれない。また、赤ちゃん自身も小さい生物である。実際に声も高い。よって、高い声を出すことは共感をもたらすと考えられる。動物の世界においても、恭順を示すときには高い音を出し、威嚇するときは低い音を出すということが観察されるらしいから、お母さん言葉で声が高くなるのは、動物的な本能に基づいているのかもしれない。 →「ヒトはなぜ拍手をするのか」