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見たことある人の本だな、と手に取ってみた。
あぁ、『コーヒーで読み解くSDG’s』の人だ。Joseという通り名が目を惹く。
前著(https://booklog.jp/users/yaj1102/archives/1/B0912J6LVV)でも、SDG’sの17の目標に絡めてコーヒー産業の全体像を語ってみせてくれたが、主旨はコーヒーは嗜好品であり、安さではなく品質を評価することでサステイナブルが実現できるというものだったと理解。
本書も大意は同じ。コーヒーの価値をいかに高めていくかを、著者が歩んできた経緯と共に、コーヒーの歴史を俯瞰しながら語って聞かせてくれる。
コーヒーを通じて「人生を豊かに」できるか否かはわからないが、とても興味深く読めた。
地政学的に考えていくことも面白い。
やはり、コーヒー生産国が、まだ後進国が多いという点はネックとなる。ワインのように、生産者と消費者が一緒になって産業全体を考えるという一体感が生まれにくいのだろう。また、コーヒーは、生産されてからも生豆で消費国に持ち込まれ、焙煎、抽出という行程を経てはじめて消費者の口に運ばれる。
ワインのように ”「品質のピラミッド」は産地で完結” しない点が、コーヒーの弱みだ。
が、そこを逆手に取って、消費者も(ただ出されたものを飲むだけじゃなく)、焙煎やその豆選び、抽出の工程を担う「品質のピラミッド」の一員という思いを醸成すれば、そこに活路が見いだせるのだろうなとは思う(おそらく、そんな試みは著者もとうに企て、仕掛けているのだろう)。
ワインのように
”「今年はあの産地が当たり年だなあ」と言えたりするような、そういう楽しみを持った文化を作りたいところです。”
という著者の志には、大いに首肯できる。コーヒーを愉しもう!