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幻想的な要素を含みつつも後味の悪い話が続き、読んでいる最中は全然楽しくなかった。何が傑作選なのかと思っていたが、そこは編者の妙で、最後に唯一後味のよいあの一編を置いてくれたことで、内容的にもこれまでのすべてが救われた感じになった。
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これはいい。一話一話は簡潔だけれど、人物描写・ストーリー展開・オチが巧みで、いい感じに後味の悪くてサバサバしている。日常的幻想プチイヤミスって感じか。
■白熊 夫が夜中に電気をつけないワケ
■ジェニファーの夢 娘が見る奇妙な夢と奇行
■船の話 間違った船に乗ってしまった娘の末路
■ロック鳥 自宅にデカい鳥がいたら
■その昔、N市では 灰色人間とディストピア
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初めての海外文学。
馴染みのない文化の上に成り立つお話はとても新鮮。難しい話もあったけど殆どが読みやすくて面白かった。
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15編の短編集。
「長距離電話」は電話の会話だけが延々と続く。
家族の会話が予期せぬ方向へ進む。
表題作「その昔、N市では」が秀逸。
遺稿で70年代以前の作品だがAIが活躍する近未来のような感覚になる。
驚く。
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戦後ドイツの作家、マリー・ルイーゼ・カシュニッツの日本オリジナル短編集。
一編一編が高級チョコのように味わえる作品集。幻想的でありつつも、どこか人間の普遍的な不安感が漂う。その暗い感じがクセになる作家。
以下、作品毎の感想。
◯白熊 ★おすすめ
帰ってきたのに何故か電気を付けたがらない夫と妻の会話。出会った動物園で、妻は本当は誰を待っていたのか。会話しているのは本当に夫なのか。不安がピークになるころ意外な展開に。
◯ジェニファーの夢
夢を見たという娘のジェニファー。日を追うごとに夢が日常を侵食しているようで、得体の知れない娘への不気味さが描かれた作品。
◯精霊トゥンシュ ★おすすめ
大学から派遣された番人と現地民たち。相容れないためか、現地民たちは番人に作ってはいけない人形を作らせる。やがて番人は無惨な死体となって発見される。ミステリタッチの作品。
◯船の話 ★おすすめ
予定した船に乗れなかった妹からの頼りが来る。妹が乗った船はなんだったのか。じわじわと恐ろしい作品。
◯ロック鳥
自分にしか見えない鳥。鳥とはなんだったのか。
◯幽霊
ゴシックなゴーストストーリー。非常にテンプレートな話。
◯ 六月半ばの真昼時 ★おすすめ
カシュニッツ夫人が旅先から帰ると、アパート中に夫人が死んだと触れ回っていた女がいたことを知る。カシュニッツ夫人には娘がいたことを知るとすぐに立ち去ったようだが。。。
これもよくよく考えると非常に不穏な作品。
◯ルピナス
姉を置いて列車から脱出した妹。姉の夫と暮らすが思い描いた風にはならず。。。可哀想な小話。
◯長い影
バカンスに来た思春期の女の子のひねくれた気持ちを描いた作品。家族と一緒にいるのが嫌、自分だけの世界を思い描くが、ふとしたことから不安に囚われる。
◯長距離電話 ★おすすめ
電話での会話だけで構成される作品。身分違いの恋人たちを別れさせようと家族たちが頑張るが。。。意外な結末。
◯その昔、N市では
表題作。タイトルからは意外だったが、ゾンビのような、フランケンシュタインのような、死者をリサイクルして使用人とした近未来を舞台とした作品。結構絶望的な話。
◯四月 ★おすすめ
決して美しいとは言えない女性の机の上に置かれた花束。同僚たちは、支配人からあなたへの贈り物だと言うが。。。
意外な着地点で、幻想味が強い作品。
◯見知らぬ土地
知らないと言うことがいかに人を不安にさせるか、いかに少しの衝撃で壊れてしまうかを描いた作品。
◯いいですよ、わたしの天使 ★おすすめ
部屋を借りた娘に、ゆっくりじわじわと家や人生を乗っ取られる話。それでも娘のことを許せるお婆さんが切ない。
◯人間という謎
バスで隣り合った女性から、女性自身の妄想を聞かされる話。霧に囲まれるようなぼんやりとした読み心地の作品。
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序盤のいくつかの作品がシュールさしか感じられず読み切れるか不安になったけど中盤以降から面白い作品が出てきたので諦めずに読んだほうがいいかもしれない。同時期にシャーリイ・ジャクスンの短編集も読んでいたが個人的にはこちらのほうが好き。