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早川書房さんのTwitter(現X)で知り、「たまには海外のファンタジー作品でも」ということで手に取ってみた。
舞台は、魔法が存在する中世ヨーロッパ(注:イメージ)。叔母のパン屋で働く主人公のモーナは、パンやクッキー生地に魔力を注いで上手に焼き上げたり、焼きあがったジンジャーブレッドを使役することが出来る等、「焼き菓子限定」で力を発揮できる14歳の魔法使いの女の子。
ある日の早朝、朝の仕込みの為に厨房へやって来たモーナは、そこで女の子の死体を見つける。モーナの話を聞いた叔母タビサの通報で2人の巡査が駆けつけるが、そこにはもう一人、異端審問官オベロンの姿が。そして、殺人の罪で連行されてしまうモーナ。"ただの"パン職人の魔法使いの少女は、街の命運を左右する陰謀に巻き込まれていく―――。
政治的陰謀に巻き込まれたパン屋の魔法使いの少女が、"焼き菓子限定魔法"で町の存亡を賭けた戦いに身を投じることになるファンタジー物語。ヤングアダルト向けのファンタジー作品で、邦題の語感やパンとクッキーに囲まれた可愛いモーナの表紙イラストと作品内容に齟齬はないので、(多分)ジャケ買いOK!一風変わった魔法使いの少女が奮闘する、ジュブナイル・ファンタジーを楽しむことが出来る一冊。
また、個人的には映像化して欲しい一冊でも。駆け回るジンジャーブレッド、立ちはだかるクッキーゴーレム、そしてクライマックスは・・・。映像映え間違いなしかと!
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個人的にはこの表紙、納得いかない。ヒロイン、作中スカートの時なんてほとんどないじゃないか。叔母さんのパン屋で働いていた時はズボンだし、逃亡中も同じ格好だし。王宮だかに忍び込んだ時、侍女に扮装した時ぐらいしかスカート姿じゃなかったのでは?と言う訳で、ファンタジーの女の子=スカート姿というステレオタイプもそろそろ変えた方が良いんじゃないかなぁと思いました。アニメとかマンガでも行動的な女の子がミニスカ姿だと、普通の神経だったら女の子はこの衣装を選ばないよな…と思う事は多いので。
お話はパン種に魔法が使える女の子が、町の脅威と立ち向かう話。彼女の「もっと偉くて力があって頭が良い大人たちは何をしていたの」という叫びにごもっともだな…と頷いてしまいました。でも現実も実際に行動に移せる人って少ないよなぁ。見て見ぬふりをして、禍が通り過ぎるのを待っている方がラクだものなぁと自戒をこめて思いました。
とはいえ自分は肉食の殺意高いパン種からふくらましたパンは食べたくないかな… ドブネズミも取り込んでるしな、あのパン種… 勇敢なジンジャーブレッドクッキーと悪のジンジャーブレッドクッキーが可愛かったです。
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タイトルと装幀に似ず意外とシリアスな戦いの物語。
外敵と通じて国を売ろうとしたあの大臣はなんでそんなことしたんだっけね。
いわゆる権力欲というやつなのか。なんか逃げ延びてるし、続編がありそうではある。
ジンジャーブレッド人形かわいい。パン種のボブはキモカワ?(笑)
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・T・キングフィッシャ-「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」(ハヤカワ文庫FT)を読んだ。正に書名通りの物語である。これ以下でもない、これ以上でもないといふ、正にそのものズバリの内容である。小説の題名となると、作家は、あるいは訳者はその内容に添つた題名をつけるのだが、そのものズバリはあまりつけなのではないか。やはり思はせぶりな、もしかしたら関係あるやうなないやうな題名をつけるのではないか。その方が読者も食指をそそられる可能性がある。ところが本書はそのままである。「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」、これだけである。世に魔法使ひは多いから、14歳の、中学生くらゐの魔法使ひ、いや魔女がゐないことはなからう。その場合、その魔女に得意技はあるか。ありさうな気はする。飛行が得意だとか、変身が得意だとかはあつても、しかし、基本的には何でもこなせるのが魔女であるやうな気がする。いや、それでこそ魔女であり魔法使ひである。ところが本書の場合、14歳の少女モーナは魔法は使へるのだが、使へるのはパンを焼く魔法に限られる。「あたしは粉だらけの手をパン種に突っ込み、そんなに固くなりたくないでしょ、とほのめかした。」(14頁)これが最初の魔法だと思ふ。「パン種は喜んで説得されてくれる。」(同前)といふわけで、固い生地も普通のパンとして焼けるやうになるのである。以下、彼女が使へるのはこの類だけである。あくまでもパンの関係だけ、「パン焼き魔法のモーナ」のモーナたる所以であつた。本書に魔法使ひはたくさん出てくる。いや、魔法使ひといつてはいけないのかもしれない。皆が皆さうではないかもしれないが、本書の魔法使ひにはガンダルフのやうな達人はゐないのかどうか。宮廷魔法使ひ「イーサン卿は空から風を呼び出して敵を叩きつぶせる。(中略)稲妻を操れるらしい。」(70頁)かうなるとガンダルフに近くはなりさうである。しかし、多くはモーナのレベルである。ならば「魔力持ち」(22頁)といふのがふさはしい。できることは皆違ふ。「木の板から節をとるだけの魔力しかないエルウィッジ親方」(同前)、馬運びの「モリーはあたしみたいにすごく力の弱い魔法使いだけど、その才能は(中略)死んだ馬を歩かせること」(63頁)等々、たいしたことではない。しかも一つの技だけである。一つの個性といふところであらう。
・物語は一人の少女がモーナの店頭で死んでゐたことから始まる。モーナはその容疑者とされ、宮廷で裁きを受けること になるが、女王は容疑なしとする。その後、モーナはモリーから、「春の緑の男に気をつけな」(72頁)と言はれる。 「魔力持ち」も含めて、魔法を使へる人間がモーナの王国で次々と殺されつつあつたのだ、といふところから言はば謎解 きが始まる。これは全く難しくない。すぐ解ける。問題はそれに関わる人物である。これがこの種の物語ではあまり見ら れないやうな人間である。ヒロインはモーナである。14歳の女の子、パン焼き魔法しか使へない。女王、「タビサ叔母 ぐらいの年頃で、たっぷり六インチは背が低いことをのぞけば、かなり似た体格だった。」(47〜48頁)、容姿にコ ンプレックスあり。あまりこの手の物語の女���には似つかわしくない。敵方も簡単にやられてしまふ。味方の老魔法使ひ も簡単に死ぬ。戦ひの場面ではモーラのパンの魔法の技が試される。これも魔法の種類が違ふのではないかと思つてしま ふ。といふわけで、これまでかういふ魔法の物語を読んだことがないやうな気がする。ユーモアが勝つた物語である。「指輪物語」とは対極にある物語である。しかし、それはそれでおもしろい。
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普通の人間と魔法使いが共存している架空の世界が舞台。叔母さんのパン屋でパン使いの魔法使いとして働くモーナ。ある日お店で一人の少女が亡くなっているのを発見してしまう。それを発端に、街に怪しい陰謀がうずまき始め、モーナは渦中に放り込まれることになる。
パン種を発酵させたりする事だけが出来るささやかな魔法使いのモーナが大奮闘。一般向けの文庫として出版されているけれど、児童書として出版され、児童文学の賞ももらっているという。その方がスッキリする。
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父さんと母さんをなくしたモーラは14歳の魔法使いの女の子
叔母に引き取られパン屋を手伝っている
派手な魔法は使えないけど、パンと焼き菓子にちょっとした魔法が使えるのだ
ある朝4時に店の準備で厨房に降りると、そこで女の子が殺されていた
被疑者にされたモーラは…?
叔母と叔父と町の人たち
倒れていた女の子の弟スピンドル、死んだ馬を動かせるモリー、モーラのジンジャーブレッドたちとパン種ボブ
統治者の女公、城の魔法使い、衛兵たち
犯人の正体は?
突然の魔法使いの密告の奨励
隣国のきな臭い動き
裏切り者と防衛戦と魔法
○「英雄になんてなりたいなんて思っていなかったのに」
「誰もそう思ったことはない」
“英雄”が求められる状況について気付かされる
○なかなか重たいストーリーとテーマなんだけど、主人公が14歳の困り方なのとテンポ良い会話などで沈む前に読み進められた
○悪いジンジャークッキーちゃんたち
殺意高めのパン種ボブさん
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物語の設定が、まず面白い。
何か一つのことだけしか魔法を使えない。それがこの世界の魔法使い。現実の世界でも、人は誰しも、大した役には立たないけど何か一つちょっとした特技を持っていたりするものだけど。それと同じかな、と思った。
きっと、どんな人のどんな個性も無駄と言うことはなく、みんな世界を救えるだけの価値を持っているんだ、と言うことなのかも。
ただし本書は、主人公モーナの明るさとコミカルな語り口に救われてはいるものの、けっこう重い話でもある。なぜか、ただのパン屋の娘が殺人の濡れ衣を着せられて逃げ回ったり、都市防衛の最前線に駆り出されたりしなければならない、この理不尽。街の魔法使いたちが協力してそれぞれの力を持ち寄って敵を撃退する話かと思ったら、そうはならすず。孤軍奮闘するモーナがちょっとかわいそうだった。最後はいちお、ハッピーエンドなのかな。
あと、ジンジャーブレッド人形がめっちゃ可愛かった(笑)
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お話が始まったとたん、かわいらしい表紙から受けた印象とは違う雰囲気が漂って期待が膨らんだ。
「魔法」というものは、何かすごい力を使えるものというだけでなく、使う人にとってもリスクがあるのだ、という設定に激しく納得。
これは拾いものでした。
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何種類もの魔法を一人が使えるのではなく、
その人に、一つだけの魔法が使えるという世界線。
そんな世界の中でもモーナはパン!
発酵種が意思を持ったり、
クッキーが兵隊になったり、
パンで大きいゴーレムを作ったり、
スコーンで監視してみたり・・・。
魔法は想像するだけで強くなる!
こんなにワクワクするお話は久しぶりだった。
表紙やタイトルのかわいさとは反して
ストーリーは陰謀などが渦巻いていて
なかなか思いストーリでした。
読みごたえは抜群だと思う!
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モーナとジンジャーブレッドクッキーがとにかく可愛いです。癒し。お話し自体は重めだけど、モーナがお話を明るくしている。
14才のモーナは発酵を促したりパンをふわふわにしたり、と言ったパンや小麦粉、お菓子に関することの魔法使い。
「ただのパン屋です。どうやってパンで人を殺すんです?」と言っていたモーナが、どうやって街を救うのか。
大人があまりにも不甲斐なくて、タビサ叔母さんの頼もしさだけが救い。
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タイトルとイラストからもうちょい軽い内容かと思ったら、結構重たい内容もあったり。14歳の女の子にかかるものが大きすぎる気がしなくもない。
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パン屋で働く14歳のモーナはパン作りに特化した魔法使い。
ある日突然、店で死体を見つけてから不穏な街の様子と陰謀に気付く。
可愛い表紙とコミカルな調子で語られるが内容は辛辣。
何もしなかった統治者と大人たちへの怒り。
「英雄になんてなりたくなかった」というモーナの言葉は重く刺さる。
創意工夫してモーナの魔法で、魔力をギリギリまで使って街を守ろうとするシーンにハラハラさせられた。