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朝井リョウの作品は、今大学生の自分としては、共感する部分が多い。一つ一つの感情は、簡単に分析できる。虚栄心、自己承認欲求、嫉妬心など、人間の普遍的な悩みである。それを、現代の出来事で表現している。なので、共感しやすい。読んでいると、普段感じ、考え、乗り越えようとしている実存的な悩みについて、一緒に考えている気になる。
その中でも、外から傷つくことは減ったが、内から傷つくことが増えたというのは、面白かった。昔は、ネットがなく、外から傷つくにしても、比較対象が、学校の中とか職場内にしかなかった。しかし、今はネットでいくらでも、自分の上位互換を探すことができる。多少頭が良かったところで、医者で弁護士でみたいな人を、YouTubeで見れば、自分に自信を持つことはできない。そうなると、自分は不十分なのだと考えてしまう。
そこで、重要なのは、「うぬぼれ」だろう。三島由紀夫は、「できるだけ自惚れろ」と言っている。自らに惚れる。別に、実態を伴わなくて良い。周りに勝つために努力にするのではなく、自惚れるために、精神的に努力する。
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んーーー、朝井リョウ好きだから、一生懸命読んでみた。
息子たちがザ・平成世代なので、組体操とか成績順位張り出し案件等々、あー、たしかに平成だー、、、おーそうだったそうだったと懐かしい思いを巡らせたけれど、北大の学生運動や過激な思想には、なんだかいつまでも違和感が残り、
巻末の特別付録に、
「社会とのつながりの糸がなかったら、他者を傷つける行為に走らなかったと自信を持って言えない」とあり、、、えーーー、、、、、、、、、という感想を持ちました。
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自分はどうなんだろうって改めて考えさせれた。子どもができたらまた新しい自分になっているはずなので読んでみたい。新たな自分の答えが見つかるはず。
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これぞ朝井節全開って感じで、誰しもが無意識のうちにしてしまったりすることを上手く言語化されてるなと思って。
なかなか耳が痛く刺さるものがあった。
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"死にがい"という言葉が気になって手に取った作品。
螺旋プロジェクトというものを知らなかったので最初は設定に戸惑ったけれど、あの括りの中でこれだけのものを書くことができるなんて…作家さんって、朝井リョウって、すごい。
作中には"生きがい"を探し求める色々な語り手が登場する。
その全員の生きづらさというか、追い込まれている感じがリアルで、途中で読んでいるこちらが息苦しくなった。
そしてどのパートでも出てくる、主要人物。堀北雄介。
痛い、と思うけど、自分の中にも何パーセントかは堀北雄介がいる気がする。雄介の言っていることがわかってしまう。
『○○があるから生きたい』ではなく『生きたいから○○をする』。順序が逆と言われても、そうしないと生きていけない人は確かにいるよなぁ、と。
ほかの螺旋プロジェクトはどんな感じなんだろう。
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平成を当事者として生きた上に
同じ北大で生きている私には響きすぎる1冊
均されて、そのままでいいと言われ育ったわたしは
大人になって自分の譲れないものを掴みきれずにいる
この本は、そんな人達にこそ読んで欲しい
対立をテーマにいろいろな歪さをあえて言葉にしたすごい本
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各章で、登場人物が南水と堀北と、同級生、詐欺師の撮影、看護などの様々な理由で接点を持つが、2人が正反対の性格を持つのに、なんで親密なのかという問いかけで各章は終わる、終始不穏な雰囲気に包まれる物語。最後は、第三者目線から南水と堀北の当事者の独白で終わるという、「何者」と似た構成で、人の矮小な自我や不安定な人間関係について描くのが上手い朝井リョウらしい作品でした。
全体を通して人の価値がテーマであり、共感する部分も多かった。特に堀北の「人間には三種類いる。他者貢献、自己実現、生きがいのない人」では本書の登場人物はいずれかに当てはまる上、自分を含め多くの友人が頭に思い浮かんだ。どれになるべきというのはなく、自分がどういう人間なのか自認し、自分に合った生き方をするのが大事だと思う今日この頃。
2023-1-13
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螺旋プロジェクト 平成
1 白井友里子
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特別付録 本作と螺旋プロジェクトによせて
解説 清田隆之
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冗長だけど自治体継続運動の宗教的な怖さや
興味のない政治問題に意見してる自分に酔う描写が
リアルで、こういう絶妙な人間の話を読みたかったと思えた。
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好きな作家さんの本でタイトルが気に入って買った。
競争をしないということは自分で自分が劣っていることを理解しないといけない。
という部分がなんとも刺さった。
正欲の時のように現代へのアンチテーゼ的な部分もあり、読んでて深く染み入った。
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朝井作品を読んだのは「何者」に次いで2作目ですが、衝撃に打ちのめされて毎回言葉が見つかりません。え?!うそ?!ああ!!と、感嘆詞しか出てこない自分の語彙力と表現力のなさがツラいです。
はじめは変わったタイトルだな~位の気持ちで読み始めましたが、最後にすとんと胸に落ちました。
でも、もどかしさや諦めや抗いたいわずかな希望が自分の中に残っていて、まだ複雑な気持ちです。
この複雑さが病みつきになりそう…。
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感想
平成が抱えていた光と闇。大きな進歩もあったが裏では病理が蔓延していた。変化は人を振り落とす。彼らはどこをさまようのか。今はどこにいるのか。
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朝井さんの作品、本当にヤバすぎる。
生きていてみんなが一度は通るだろう自分の生きている意味を問う瞬間。それを深く考えてしまうタイミングが思春期である。しかし、正直その間に答えが出るか出ないかは人によるだろう。
そこまでは、よかった。
この話は、そこで終わらない。
その答えを出して、それに向けて走り出している人たち、走り出せなかった人たちに向けた(すなわち全人類)君は死にがいを求めて生きているのでは?と強烈な倫理的問いかけを深く長くされる作品である。
結局、生きる意味とは。対立する意味とは。生きがいとは。生きがいを見つけることが生きるということなのか。しかし生きがいだけを目的として生きることは幼い考え方なのか。
この作品の答えは、人はどうしても一人として同じ人はいないから対立も起きるだろう。しかし、それを原因として誰かを傷つけたりしてはいけないというものだった。つまり、対立を消そうと立ち向かい、誰かを傷つけるのが幼い考えであり、対立は起きてしまうものだから上手いことやっていくしかない。そうやって世界は回っている。
ということであるとこの作品は述べているのではないかと思った。
考えさせられる作品で、物語がどんどん進むので大作であるが読み切ることができた。
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好きだなあ、朝井リョウ。
人間と人間のゾッとするほどのリアルな感情を表現するのが本当に上手。
見て見ぬ振りをしている、、自覚もあるがそこから抜け出せない若者たちを描いていて
わかるなあってうんうん頷きながら読んだ。
以下ストーリー。
雄介と智也という2人の友達を軸に、幼少期から大人になるまでの様々な場面で、別の他の人の視点から、その人自身の葛藤や雄介・智也の様子を描いた小説。
正反対に見える雄介と智也がなぜ仲がいいのか、本当に仲がいいのか?という疑問がどの人の視点でも描かれながら、話が進んでいく。
雄介はクラスでも目立ち求心力がある存在だったが成長するにつれ、目立ちたいだけで中身がない異質な存在だということが浮き彫りになっていく。
ある章の主人公の話にもあったが、目的と手段が逆転している。本来なら何かをやるために、手段を選び取るのに、雄介はその手段そのものをやるためにやっている、という空回りをしている。
それはひとえに何者かになるため、熱中して、目立って、他の人より優れているものを証明するためだった。
生きがいを作る必要があるのか?とそんな雄介の友人の智也は嗜める。
ただ、智也自身も雄介や自身の父親の意見を否定しながらも、否定する、ということを生涯を通じて成し遂げることで生きがいを得られているのであった。
最終的には智也は怪我をして植物状態になってしまう。雄介は智也に怪我をおわせたのは自分のせいだとして悲劇のストーリーを作り上げ、唯一の友人を生涯看病するという健気な青年、という生きがいを見つける。
ただ、実はその様子を聴覚だけ復活した智也はずっと聞いていた。
智也の出した結論は、雄介や父親を否定しながらもその存在があることで生きがいを得ている自分を否定しない。
ただ、それでも何者かになるために必死に生きがいを見つけるのは間違っていると主張する。
違いがあるもの同士が対話を続ける、大きな世界という文脈に抵抗することこそ生きがいにしないか?ということだった。
差異があること、同一ではないことは孤独を意味しない。違いを見つめ合おうとすることが他者同士の共通点になり、私たちは1人ではないという証拠になる。
しかし、この結論の背景はプラスの気持ちからではなく生に対する諦めからとも感じた。
どうしたってこの状態を作りだす世の中からは逃げ出せないのだから、対話しよう、というロジックは少し寂しいなと思った。(人間らしいということかもしれないが)
タイトルの「死にがいを求めて生きてるの」は、雄介の姿を表している。
生きがいではなく、どうせ生きてるのだから、死ぬまでの時間を有意義にしたいという、死を前提にした諦めの気持ちが発端になっているのが生きがいとの違いなのかなあ。
朝井リョウの作品を最近よく読むけど、傾向がわかってきた。
自分が特別な存在かもしれないと思いながら、実は何でもないということを直視できず
周辺からは特別な存在の話が多く流れてきて
葛藤をしながら生きる若者がテーマになって���る気がする。
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『平成』とは競争や対立が取り除かれた時代だったのか。
ゆとり世代と称される自分。
個人が尊重され始めた世代。
恵まれた時代に生きていても、何故か“生きづらさ”を感じてしまう。
その理由に気づかせてくれる作品だった。
“自滅”と“生産性”という表現はぴったりすぎる。