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いま中世に向かおうとしている、だから中世を知り、学んで行くべきとの著者の提案。
統合と分裂を繰り返してきた日本の成り立ちは、独立した東国、鎌倉府と西の朝廷の並立を指摘するところまではエキサイティングだ。しかし、統合の力が、貴種と都であるとする主張は、いま僕らが直面している世界への示唆としてなにを読み取れというのか。言葉らたずで著を終えてしまっている。
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分裂と統合をキーワードに日本史の論点をわかりやすく整理している。
一世を風靡した網野善彦の、日本の概念への疑問、多様性の強調が国家史重視に転換しているというのは初耳。
しかし、グローバル化、地方の重視、中世的な権力の重層と言っていた風潮がコロナによる国境閉鎖で一気に転換したこととも関係あるのか。
所詮未だに現代は近代国家の枠組みを超えていないことがよくわかる。
分裂や多様化は細分化すると個人まで行ってしまうので、どこに線引するかは難しいところ。大きな違い、多様性はもちろん考えるべきだが、日本は比較すればかなり統一性が強いのではないか。
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日本史において最も分裂した時代とされる中世を主題に、地理的人的側面の多様性についての先行研究を紹介し、それでもなお統合を失わなかった背景を探る一冊。民俗学の知見も合わせ整理された研究史についても分かりやすい内容。
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何やら大学の「歴史系」一般教養の教科書を思わせるが、歴史学者のエッセイのようで楽しめる▲東西南北に広く国土も意外と大きい日本列島、豊かな地域的・文化的多様性。中世史を中心に研究の最前線からあらためて提示▼入口としては面白いし、分かりやすい。東国国家論と権門体制論は対極なのか。鎌倉仏教は画期だが、歴史認識としてはミスリード、主流は顕密仏教だよね。と修正主義に与せず、先行研究の紹介に徹しており、フラットで良い。百姓とは?都鄙雅俗に関してふわっと「足利的秩序」は著書を読んでねといった感じの宣伝書か(2021年)