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ハンニバルとの闘い以降カエサルの出現までが本書の舞台だ。ローマ史の谷間と思っていたが、非常に面白かった。共和制ローマを守ろうとする元老院とスッラ等為政者との攻防、ポントス王ミトリダテスのローマとの戦い、スパルタカスの反乱など実に多彩である。
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前作のハンニバル戦記がめちゃめちゃ面白かっただけに、今回は盛り上がりには欠けるかなと。ローマの覇権が拡大された一方、国家として大きくなるとやはり内部に問題が巣食うのが世の常のようだ。ハンニバルの言った肉体の成長についていけない内臓疾患、というのは実に的確。
本作でも魅力的な偉人たちが登場。グラックス兄弟、マリウス、スッラ、ポンペイス。スッラの狡猾な人を食ったような描かれ方が印象的。元老院、市民、執政官の統治システムが少しずつ軋み始めてきているローマが、これからどのような歩みを進めるのか、次回も楽しみだ。
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第二次ポエニ戦役に勝利し、地中海の覇権を不動のものとしたローマであるが、大きくなりすぎた反動が自身を襲う。属州となったシラクサから安価な農産物が入るようになり、ローマの農業者は葡萄畑などに転換するしかなくなったが、この転換には多額の投資が必要であった。投資能力のない者は土地を富裕層に譲渡せざるを得ず、格差が拡大したのである。
このような背景の中、グラックス兄弟が登場する。兄のティベリウス・グラックスは、大規模農地の所有権を放棄させる農地法を護民官として提案し民衆に支持されるも、これが富裕層が多くを占める元老院の反感を買う。護民官への再選を期した集会において、反対派(背後には元老院が控えている)に撲殺されてしまう。兄の意思は弟のガイウス・グラックスに引き継がれ、農地法の復活に留まらず、陪審員を元老院のみでなく騎士階級にも広げたり、ローマ市民権をラテン同盟国にも与える提案をしたため、兄弟そろって元老院の反感を買ってしまう。元老院はガイウスの同僚(フラックス)への工作を図り、ガイウスよりも民衆受けする法案をフラックスに提案させることで、元老院はガイウスの護民官への再選の妨害に成功する。ガイウスの提案が次々と廃案になるのを目の当たりにした民衆は騒動を起こし、元老院最終勧告が発令され、ガイウスは奴隷と共に自殺に追い込まれるのであった。護民官の立場で元老院に立ち向かうのがグラックス兄弟の改革の失敗と分析していた部分は学びを感じた。平民出身であるが、ローマでの絶対権力を誇るようになるガイウス・マリウスは護民官ではなく、執政官の立場で改革を実施し実を結ぶのである。
マリウスは平民であるが、軍事面での功績を足掛かりとして、政治家のキャリアを歩み始める。当時のローマでの徴兵制度は、税金(血の税)としての側面もあったため、民衆の格差拡大の影響を受け軍が弱体化していた。マリウスはこれを志願制にすることで、職業軍人をベースにした軍編成を行い軍事強化に成功する。軍制改革により順調に戦果を挙げるマリウスであったが、この軍制改革が同盟国の反乱を招いていしまう。ローマ市民にとっての兵は「職業」であるが、ラテン市民にとっては「義務」であったためである。
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如何に先見の明がある人物でも、周囲の利害によっては潰されてしまうという、現実味のある巻。また、どんな英雄でも年を取ったり、嫉妬に狂ったりするとかつての栄光にそぐわない人物になってしまうという嫌に人間臭い部分が垣間見えた。
しかしそんな中でも上手に、ある種冷酷に『人』を使うことができる人が国を作っていけるのだな、とも感じた。正義感、先見性よりも強かさが重要。
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領土が拡がり、地中海での有力国家となったローマが、混迷する様子が描かれています。
本書でも、人間の愚かさをローマの歴史を通して知ることができます。
国を思い改革を進めるもの、既得権益を守るため、それを阻むもの争いが描かれています。
現代日本には、国を憂う人は沢山いるかと思いますが、政治家に見えないのは何故でしょうか。
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大体紀元前140〜60年くらい。
すっごい雑にまとめると(間違ってるかもしれない)
第三次ポエニ戦役終わって(=カルタゴ滅亡)、
グラックス兄弟の改革がうまくいかなくて無念な感じで亡くなって、地方出身平民のマリウスが活躍して、冷徹カリスマのスッラが登場、色々改革したけど死後、スッラ派だった人たちによって改革の骨子があえなくズタズタにされる中、ポンペイウスが大活躍。まじ雑