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フッサールの中期の思想がコンパクトに示された『現象学の理念』を、著者が読み解いた本です。フッサールの議論構成をたどりつつ、著者が分かりやすくパラフレーズし、さらに用語解説やポイントごとのまとめも置かれています。
「あとがきにかえて―現象学の再興」では、著者自身の現象学解釈の要点と、現代の現象学批判や誤解に対する反論がなされています。著者は、フッサール現象学の中心課題は「確信成立の条件」を解き明かすことにあるという立場に立っており、そこからデリダをはじめとする現代思想の現象学批判が当たらないことを説いています。また、新田義弘や谷徹など、現代日本を代表する現象学研究者の解釈に対する疑義が提出されています。
なお本書刊行後に、著者の盟友である西研から、本書での「内在」「超越」の説明がフッサール自身の説明と違っているという疑義が寄せられ、著者もそのことを全面的に認めたことが、『超解読! はじめてのフッサール『現象学の理念』』(講談社現代新書)で明らかにされています。
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現象学的還元とは何かについて、順を追って繰り返し説明される。「解読」部分に続く解説、そして「あとがきにかえて」。同じことを何度も、と思わなくもないが、これくらいでないと、慣れきった頭の使い方から、現象学的な頭の使い方への転換は難しいのも確か。著者の「解読」が適切なものであるならば(自分では判断できない)、この本のおかげで、フッサールの思想の勘所はつかめたような気がする。
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難解なフッサールの現象学を著者の意見(解釈)を交えながら詳細に解説してくれる。
何度も同じ概念を解説するのでくどいと思えるほどだが、これぐらい繰り返さないとフッサール
理解できないのであろう。
個人的に、近代哲学の著述を読み解く上では、読みたい哲学者の前後の思想も知っていないければならないのが高いハードルとなっていた。この本では、デカルトーカント等のフッサールが受け継いだドイツ観念論の系譜及び現象論を批判したハイデガーやデリダの思想にも言及して読者の理解を助けてくれる。
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量子力学に興味を持ったことを機に、サクッとフッサールの現象学を理解しようと思い読んでみた。はじめに書いてあるように、あとがきを読むだけで概要を掴めた気になれる笑。私はあとがきしか読んでないが、繰り返しの内容が多いので、軽く学びたい人はそれで十分な気がする。ただし、現象学までのデカルトからカントまでの流れは用語と共に抑えておく必要あり。あと、形而上学も。