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絵画で見る災厄のお話。
洪水や飢饉などの自然災害はもちろん、ペストやコレラ、梅毒などのパンデミック、戦争などの人災まで。
ナポレオンの進撃もここでは「災厄」として取り上げられていたことには驚いた。
戦争も災厄、まして侵略される側にしてみれば、どこかの英雄も災いか。
ましてナポレオンは自国民へ与えたダメージもでかいし(シベリア遠征で何人お亡くなりになったか)
「怖い絵」展に絡めた話題もちょくちょく。
興味深かったのは、日本人が思う天使像と宗教世界における天使像のそのギャップ。
「怖い絵」展でも話題になったとか。
天使は天の御使いであって、人類を救ってくれる存在とは限らない。
今回、それをまざまざと思い知らされるエピソードはインパクトあり。
怖や怖や。
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タイトルのとおり有名な疫病・天災・戦争について絵画を使って歴史を説明されている。説明がわかりやすくて世界史に詳しくない人でも理解しやすいし、説明が簡潔でボリュームが多すぎないため読みやすい。
ただし紙の本では絵画の印刷が見開きにまたがる場合に間が見えづらいのが残念。絵画の解説で見開きの合間の見えない部分に言及されることも何回かあった。本書は紙よりも電子書籍で見る方が良いかもしれない(紙の本でも、ググって出てくるならそちらを見れば良いかもしれない)。
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個人的にはあまり見ることのない作品であり非常に興味を持って読むことができました。今のコロナ時代を芸術家たちはどういう風に捉えるのか作者ともちょっと被ってますが非常に興味のある命題です。
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中野京子さんのヨーロッパ絵画を裏の物語から見ていくシリーズですが、いかにもこのタイミングらしいテーマでの連載をまとめた本になります。厄災なのでテーマ的には怖い絵に通じるものがあるのですが、同じ作品を取り扱う時も怖い絵とは違う切り口で話を進めるのは流石です。
やはり今のパンデミックでも新たな芸術が生まれるでしょうけど、激しいロックダウンのあった西欧や中国での美術に注目したいです。
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「絵画は見るものではなく読むものだ⁉」と教えてくれた中野先生。災厄は遭うものではなく、鑑賞するものでありたい。自然災害に戦争、そして疫病。ペスト、梅毒、コレラ、結核、天然痘。医療が未発達の時代のパンデミック。未熟な土木での天災。身近に迫る死の恐怖に感情を揺さぶられ筆を執る。出来上がった作品は後世に残る。医学の発展、インフラ整備、平和外交。現代に生まれて一安心?…911と311、新型コロナにウクライナ危機。人類は災いを克服できていない。武器の発達で被害が激化。幸か不幸か、芸術作品はまだまだ生まれるのだろう。
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タイトル通り、描かれたものを通して
世界の疫病や天才の歴史をみる一冊。
写真もなかったような時代にあって
聞き「描き」だったとしても
これらの絵画は人々に広く知らせる
報道や広告の意味も持ち合わせてたんだなぁ。
過去にもワクチン推進と反対の
両派の争いを取り上げたものやら
ペストが収まったから観光に来て!という
ヴェネチアを描いたものがあったり。
前に読んだ『医学探偵の事件簿』同様
肖像画から病歴を推測するのも
興味深かったです。
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災厄(特に疫病)の絵画から歴史を紐解く。数百年前から比べると現代日本は、コロナに襲われたときでさえ、なんと恵まれた状況であったかよくわかる。中世ヨーロッパでペストが流行したときは、満足な治療も受けられず、死者は道端に投げ捨てられていたのだから…。
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世にも奇妙な人の歴史…やはり語り部として中野京子先生は最強。
想像を絶する人類の歴史や美術などの解説を聞いていると、コロナ禍なんてハナクソじゃねーかって気がしてくる。
やはり私たちはいい時代を生きていますね。
中野京子さんはどのような方法で知識を仕入れているのだろう。
どのように振る舞えばあんなふうに生きられるだろう。
あの人ほど真実に近いところで、あのように優雅に…みたいなことを考えます。
貪欲すぎる知的好奇心、底なしのキャパシティ!
カッコいい。
私はともかく中野京子先生の本を読んでみることで、なんらかの道標を見つけようとしてる、そんな感じなんだ。
これからも応援しております。
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[図書館]
読了:2023/3/12
相変わらず面白いけど、テーマがテーマなので陰鬱な気分になるな…。
検疫quarantine の由来は、ヴェネチアに来航した船舶が40日間(伊quarantina)湾外に待機させられこの期間に新たな発症者が出なかったと確認できて初めて上陸できたことから。へええ。
ヴェレシチャーギン『戦争礼賛』が初めて知った絵の中ではインパクトがあった。
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戦争、天災、パンデミックなど人間を襲う災厄を、画家達が想像力と創造力を駆使して描いた絵画を紹介している本です。現在なら写真や動画などで表現されるのかもしれませんが、現実を超えた想像力と表現力でその災厄を見事に描き出しています。擬人化などの表現もすごい。若干もったいないと思ったのは、本の判型がノベルズサイズで絵が見開きになっていたりすると真ん中になる部分がよく見えなかったことでした。この手の本はやはり大きいサイズで見たかったです。
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表紙にもなってるローマのペストが印象的。
天使は人間の味方ではなく、あくまでも神の御使い。
天使のイメージ変わった。
天然痘やペスト、コレラや梅毒
画家とは本当に色々なものを主題にするなあと思った。
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面白い。
テーマがテーマなだけにカタストロフな作品が続くけれど、
事象が大きいだけに読みごたえもある。
できれば、サブタイトルのテーマごとに一冊ほしいくらいだ。
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図書館の新着コーナーで手に取った。
本著は日経ビジネス電子版の連載を編集したものだ。どおりで各章がテンポよく描かれているわけだ。戦争、感染症、天変地異、飢饉などの災厄にまつわる絵画が紹介されている。こういう切り口で観る絵画も新鮮だし、絵画に込められた作者の意図にグイっと近づいているような気がして面白い。
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いつもながら的確な一文が胸に沁みる。過去作とダブるのもあるが、視点の違いでこんなにも鑑賞に違いがあるのかと思った。
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・アレゴリーの語源はギリシャ語のallegoria。「他の何かを語る」という意味だ。日本語では「寓意」と訳される。「寓意」を新明解国語辞典で引くと、「ほかの事にかこつけて、ある意味をほのめかすこと」。
美術用語としては、抽象概念や思考や理念の図像化だ。眼に見えないものを絵画表現によって「見える形」にするのだから、擬人像やシンボルなどを駆使することになる。画家だけでなく、鑑賞者の教養も問われる所以だ(印象派以前の作品が現代人には難解な理由もこれ)。
だが絵画芸術がもっぱら上流層のためのものだった時代には、画面のアレゴリーを読み解くことも絵を味わう大きな楽しみの一つだった。