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大好きな寺山ワールドであるが、現代のできごととして読むと、お腹いっぱい胸いっぱいで気持ち悪さと紙一重。当時の時代感では許されていたことが、今はほとんどアウト。倫理的な拒絶感が自分に湧いてしまって、楽しみきれないものはあったが、他方、中森明夫氏の寺山憑依っぷりは見事。相当な資料の読み込みが伺える。印象的だった寺山の言葉。「少女と娼婦と人形は、同じものだ」つまり孕まない存在、寺山はその対極の「母親」を恐れ、自身も「父性」に欠けていた。寺山を象徴する一言ではないだろうか。
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寺山修司の名前は知ってても、断片的なことしか知らなかったので、その時代や寺山のしたことがわかって面白かった。もちろん、作り話ワンサカなんだけど、作者は寺山修司とその時代の空気感が大好きだったんだろうことがわかる。
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「寺山修司が存命で、グループアイドルをプロデュースする」というコンセプト。
ストーリーの事実確認は延期せよ。リテラルな意味を漂白したあとに残る対象へのまなざし、フェノメナルな態度の寛容さがキラキラと艶やかに映る。ポストトゥルースが喧伝せらる昨今、寺山修司を絡めた虚-実やアイドル像への言及は現代社会を揺さぶる試みとして興味深く感じた。
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寺山修司のことは有名な短歌と、スキャンダルの断片くらいしか知らなかったので勉強になった。もっと知りたいと思った。
中森明夫さんのこともあまり知らないが、長年の研究の蓄積のようなものが、ドタバタした小説の中に散りばめられていて、というか知識そのものが小説に形を変えているよう。