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【警察犬ほど人間を知っている奴はいない】大門剛明氏、文春文庫初登場の警察犬小説。主人公は新米警察犬係の岡本都花沙と相棒のアクセル号。二人(?)の活躍に乞うご期待。
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鑑識課警察犬係ハンドラーの警察犬育成と事件解決の短編5話。ベテランハンドラーの野見山が警察を辞職するレニーを使った検証の不正の経緯が切ないものを感じた。その後新人として警察犬係に配属された都花沙が、民間の訓練所から引き取ったシェパードの子犬を「レイニ」と命名したときに感動を覚えた。警察犬の厳しい訓練の中でも対象なしのゼロ回答訓練のことは知らなかった。そして、犬と人間との信頼関係、更にはできたら愛情を持って褒めてやることの重要さも学んだ。物語として爆破物事件の真相は持ち越しなのかなと次巻に期待する。
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小粒で変化球の警察小説。警察犬とハンドラーと呼ばれるパートナーとの絆を描く物語。短編集ながら連作ものとなっており、物語的には地続き。やはり日本推理作家協会賞の短編部門にノミネートされた、最初の1編「手綱を引く」が良い。主役となる野見山が何を大切にしているかが分かり、物言わぬレニーがカッコイイ。警察小説では「矜持」という文言がスポットをあびるのだが、それに違わぬ作品だったと思う。
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連作短編集5篇
警察犬とハドラーの絆を軸に行方不明者の捜査や脱獄犯の追跡、死体遺棄現場の発見などを解決していく。もと警察官の野見山の爆発犯で不起訴になった手嶋との確執は終わっていないので、続きが読めると期待している。面白いのでシリーズ化してほしい。
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警察犬。事件の犯人を追跡したり、行方不明者を捜索したり、シェパードなどの大型犬が多かったり、と、何となくのイメージはあるが、そういえばあまり詳しいことは知らない。
本作は警察犬を中心に据えた警察小説。この設定はなかなか珍しいのではないか。
シリーズタイトルにもなっている鑑識課警察犬係に配属となった警察官がハンドラーとなり、警察犬の指導や管理にあたる。犬とハンドラーの息が合うことが非常に大切で、ハンドラーは日々、犬の面倒を見ながら訓練を積み重ねる。
但し、組織には異動がつきもの。警察犬係も例外ではない。せっかくある程度職務に慣れても、人の側は出入りがある。犬がベテランであっても、ペアが変われば訓練は一からとなり、ある程度の訓練を積まなければ現場には出られない。
正規の直轄警察犬のほかに、民間から協力を求める嘱託犬という制度もある。この場合は民間で飼育・訓練されている犬のうち、警察の審査に合格したものが選ばれる。直轄犬は犬種が7種に指定されているが、民間の場合はこれ以外でもよく、チワワやトイプードルなどの小型犬が選ばれた例もある。
警察犬の活動としては、逃走犯人の臭いを元にした足跡追及、遺留品の臭いと犯人の臭いを結びつける臭気選別、犯人や行方不明者の臭いや気配を察知し見つける地域捜索などがある。基本的には、犬の優れた嗅覚を利用した活動となる。
本書は5章構成。
第1章、「手綱を引く」は、異例に長く警察犬係に所属しているベテラン野見山が主人公。相棒のレニーとは何度も手柄を上げている。野見山とレニーはある爆弾事件の容疑者を突き止めていた。だが容疑者はかたくなに犯行を否定する。果たして真相は。第75回日本推理作家協会賞短編部門候補作。
第2章、「首輪をつける」以降の主人公は若い女性警官、岡本都花沙(つかさ)。犬が好きで、警察犬係への配属を願い続け、ようやく配属されて期待に満ちている。パートナーはベテラン犬のアクセルに決まるが、新人か、と犬に舐められ、苦戦。そんな中、轢き逃げの捜査に関わることになり・・・。
実は第1章で野見山は警察を去り、民間の警察犬訓練所で犬の訓練にあたっている。ベテラン野見山には、警察が助言や協力を求めることもしばしばあり、都花沙も野見山とかかわっていくことになる。都花沙が警察犬係を志望したのは過去の経験が大きな理由であり、その理由も連作の中で徐々に明らかになっていく。
第3章「塀を越える」は少年院から脱走した非行少年を追う。第4章「ほじくり返す」では、認知症の老人の捜索に、嘱託犬のフレンチブルドッグが絡む。第5章で表題作の「闇夜に吠ゆ」は行方不明の遺体を探す。
各章はそれぞれ完結した形で読めるが、背景に第1章の爆発物事件が尾を引いており、最終的にはこの事件は未解決のままである。続編が構想されているのではないかと思われる。
警察犬に向いている犬・いない犬、爆発物の匂いは浮遊性である等、ちょっとしたトリビアが興味深い。
各事件の構成は巧みではあるが、いささか苦すぎたり、警察官の行動が組織倫理を逸脱しすぎているように見える部分があったり、というあたりが若干気になる。
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警察犬担当者から刑事になれるんだと言う事が分かったw連作で読み進んでいって・・・あれ?解決してない!と気づく、続き出すよね?納得してないからw警察犬に関わるエピソードも目新しいし、ひとつひとつの事件が過去の因縁・人間模様からなるべくしてなったと納得できる作者の物語を生み出す能力に拍手を送りたい(´・ω・`)
因みに、主人公は岡本♀一作目と違うのだが、大きな謎は一作目の野見山♂に関わることなので、シリーズ化をして解決に向かうとするならば・・・二人が付き合うのもいいな(年齢は倍以上ありそう)
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警察犬とその係が主人公の警察小説。
警察犬とハンドラーが主人公というと『南アルプス山岳救助隊K-9』という人気シリーズがあるが、こちらもシリーズになるのだろうか。
5話からなる短編集で、それぞれに趣向が凝らしてあるが、文芸誌に掲載された第1章「手綱を引く」が、主人公の矜持が書き込まれていて読み応えがある。
第1章以外は、文庫のために書き下ろされた作品だとか。
それゆえか、1章の主人公は鑑識課警察犬係の野見山俊二だが、2章以降は警察犬係に新たに配属された岡本都花沙となっており、スピンオフ小説かのよう。
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フォローしている方のレビューに惹かれて買ってきた。
5つの話からなるが、第一話はベテランハンドラーの野見山が主人公。愛犬に向けられた疑惑とそれに対する彼の決断がかなり苦い話からスタート。
それを前日譚にして、第二話からは、念願がかなって鑑識課警察犬係に配属された岡本都花沙を主人公に、新米ハンドラーの彼女が愛犬とともに行方不明者の捜索やひき逃げ犯、少年院からの脱走者の捜査に奔走する日々が描かれる。
終わったかと思ったところからもう一捻りある各話の展開と、それらが第一話とつながっていく構成は、なかなかに面白く読めた。
ただ、警察犬が臭いを追う捜査は、雨が降れば捜査を切り上げなければならなかったり臭気選別だけでは犯人逮捕の決め手にならなかったりするところがやや地味かなあ。
全てが解決はしていない終わり方だが、作品紹介に『シリーズ化も予定しています』とあるので、続きがあるのね。
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警察犬とその担当ハンドラーとの物語。
・手綱を引く
・首輪をつける
・堀を超える
・ほじくり返す
・闇夜に吠ゆ
念願叶い鑑識課警察犬係に配属された岡本都花沙。そこでベテランのアクセル号と組むことに。
元警察官で今は民間の警察犬訓練所で働く凄腕の野見山の協力も得て、様々な事件捜査に奔走する。
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鑑識警察犬係の新人ハンドラー、都花沙の成長物語。警察犬の活躍も。
鑑識の警察犬とそのハンドラーという、
珍しい設定。
刑事もの、動物系が好きな読者には刺さるかも。
警察犬といっても、麻薬犬や、救助犬、
爆発物を探索する犬など、いろいろな分野があることを知らされた。
一章では、野見山という凄腕ハンドラーの視点で物語は進み、
地下鉄爆破に絡み、そのキャリアを失う事件が描かれる。
そのため、そのまま野見山のその後を描くのかと思ったら、
実は、岡本都花沙という新人ハンドラーが
相棒の警察犬と共にさまざまな事件、そして、
野見山に出会うことで成長していく物語となっている。
都花沙と、野見山、相棒だったレニー号との因縁、
初めて組んだ警察犬との別れなど、切ない。
地下鉄爆破事件は未解決なままなので、
続編が、きっと出るだろう、期待。