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おもしろいけど散漫では?
伏見つかさの『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』を挙げたところなど見所はある。
しかし『芥川賞の偏差値』は芥川賞の受賞作と作家を評するといふ一本筋が通ってゐるが、こちらは散漫な印象だ。
気になった点が三つ。
まづ「……が、……が……が……」と、「が」の連続した文は小谷野の癖だが、この本ではいつも以上に目につく点。さすがに多いのではないかと思った。
次に、説明文が作者やその周辺などの二次情報に始終して、なぜその小説を直木賞のとれなかった名作に挙げたのか理由が不明確なものがある。実際に読めばわかるのだらうが、ブックガイドとしてはさあ読んでみようといふ気にならず釈然としない。たとへば『ドグラ・マグラ』は《それほどの作とは思えなかった。》《〔註。いろいろ見たり読んだりきて〕割とこれはまあ、ましなほうかなと思うにはいたっている。話のネタにはなる。》と書いてあり、私としては果してこれは直木賞のとれなかった名作として挙げてゐるのかと思った。【追記】実はもともとの表題は『直木賞のとれなかった小説たち』だったが、編集部の意向で変へられたといふ。
そして、相変らず読者が見たくないものまで見せられてゐるやうな、ある意味で露悪的な正直さがある。たとへば、村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のフェラチオ描写について、私もフェラチオされるのは好きと書いてあるのに気持悪さは感じた。小説ならいいが、かういふ本にまで書くのはどうか。万人受けはしない書き方だ。
小谷野はツイッターで売れないと書いてゐたが、やはり『直木賞の偏差値』を期待してしまった。
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第1章 戦前昭和(夢野久作「ドグラ・マグラ」1935
中野実「花嫁設計図」1935 ほか)
第2章 戦後昭和1(織田作之助「それでも私は行く」1947
徳永直「妻よねむれ」1948 ほか)
第3章 戦後昭和2(倉橋由美子「夢の浮橋」1971
広瀬正「エロス」「ツィス」1971 ほか)
第4章 その後(三浦綾子「われ弱ければ 矢嶋楫子伝」1989
吉本ばなな「TUGUMI」1989 ほか)
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途中で断念。直木賞をとれなかった名作たちとあるが、実際は著者自身の感想と想像が主。作品のあらすじもない。(あらすじはこんなに有名な作品なのだから読者は勿論知っているだろうということなのかも)著者と同じ感性の人は面白いのかもしれない。