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日本の法律が変わるとこんな風になるというのが根底にあるテーマだが、それだけではなく、変わったことによって人々がどう動くかまでしっかり書かれていて面白かった。
特に過労死を防ぐために制定された労働者保護法。この法律のせいで企業は度を超えた健康管理を従業員に強いてしまう。そして金銭に困る従業員も拒否できない。表面上は「保護」なんて良い言葉に聞こえるが、実際は保護どころか虐待?ぐらいに思えてくる。恐ろしいね。
接待麻雀が合法化された世の中というのも、面白い。わざと負けることが仕事の接待麻雀士。しかし、負けたいのに相手が負けさせてくれない状況に陥ったらどうなるのか?これは全く真意が分からず最後は唖然とした。ああ、でも言われてみると対局中にもサインは出されていたんだね。
ひとつのことに突っ走るのは悪いことではないし、主人公も別に嫌いではないのでこの展開はちょっと可哀想だったなぁ。
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凄い。SFだった。法律のSFという新しい小説のように感じた。法律の知識はもちろん、他のいろいろな知識、調査がなければこんなの書けない。
第一編動物裁判の弁護士は、それほど悪いことはしていないと思うが、可哀想。
第二編自家醸造の女は、日本より男尊女卑が根強いと書かれていた韓国のフェミニズム小説を思い出した。
第三編シレーナの大冒険は、小説「三体」に出てきたゲームを思い出した。マトリックスや攻殻機動隊2045にも似ているが、南極だったり、PとVが結婚するという設定は作者ならでは。その発想に驚愕。
第四編健康なまま死んでくれは、GoogleマップでAmazon倉庫の口コミに書いてある通りでリアリティがあった。
第五編最後のYUKICHIはちょっとコミカルだが浅い感じ。
第六編接待麻雀士の主人公塔子は、このあとどうなるのか、復讐できるのか、非常に気になる。
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架空の法律があったとしたらの短編集。「健康なまま死んでくれ」があの企業を思い起こさせる。一番あるかもなぁと思った。
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「動物裁判」
「自家醸造の女」
「シレーナの大冒険」
「健康なまま死んでくれ」
「最後のYUKICHI」
「接待麻雀士」
の6作で構成される短編集。ある法律が追加・改変されることにより世界がどのように変化するかを最悪なかたちで表現する。どれもかなり後味悪いが、わたしにとって印象的なのは「健康なまま死んでくれ」。
健康管理をしているアピールのためにほとんど立ち仕事の社員に毎日30分のウォーキングを課すことはナンセンスのようにも思えるが、現代社会ではそのように誰に向かってかアピールするための無駄な作業が増えた気がする。本質的な解決ではないけど第三者が評価しやすいから導入する。誰得なんだろう。
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1話目の初めからぶっ飛んでいて、なんじゃこりゃ? という感じですが、1話目が終わる頃には、なるほどそういうことですかと納得。SF仕立ての中に現代への警鐘がチラリ。
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パラレルワールドの令和の世界における架空の法律に翻弄される人々を描いた6編の短編集。SF風味をエッセンスとして効かせながら、著者の主戦場であるミステリーを成立させており、特殊設定ミステリーとして成立していた。現代社会の風刺的要素も散りばめられており、星新一作品のような読み味もあってサクサクと楽しく読み切れた。
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架空六法!動物裁判、自家醸造の女、健康なまま死んでくれが面白かった。いつもとは違う作風がまた良かった。続編があると良いなぁ
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新川帆立がSF界に殴り込み!?
いやぁ、どれもこれもあったら怖いけど限りなくありそうな皮肉のきいた法律だらけ。
6つのレイワ時代の6つの法律。これは良法なのか悪法なのか。
弁護士であり雀士でもある新川さんだからこそ描ける「あるかもしれない未来の法律」にひそやかに震えたり、ほっとしたり、ニヤリとしたり。
新川帆立、まだまだ新しい世界の引き出しお持ちですね?
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一つ目のエピソードが怖すぎた。。。
架空の法律とそれに基づくストーリーだが、どれもモヤモヤした感じが残る内容だった(質、分量とも)。短編集なので仕方ないかもしれないが…
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今までの作品とは少し趣の異なる架空世界のリーガルブラック短編集。少し終わり方に不満あるものもあるにはあるが、舞台設定とそれにあわせたワードセンスはやはり光る。「動物裁判」「健康なまま死んでくれ」「接待麻雀士」は面白かった。著者自身元プロ雀士だっただけあり描写は的確。ありあまる才能の片鱗を法律以外にも発揮した作品。
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現在の社会で大なり小なり問題となっている事柄について、二項対立のマイノリティ側を極限に飛ばしたような世界観の短編であった。
架空の世界観の作り方は面白かった。
しかし、純粋にミステリーを楽しみたい人にはやや中弛みに感じるような描写が多いように思えた。
ミステリーの要素だけに着眼点を絞れば、なるほど面白いと思える。
しかし全体で見た時には大きな満足感は得られなかった。
文庫本が出た時に読んでみるのがちょうど良いのかなと思う。
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リーガルSF短編集。ってなんだそれは、と思いました。パラレルワールドな「レイワ」の時代を舞台に描かれる、架空の法律をテーマにした物語です。もしかしたらありえたのかもしれない、のだけれど。こんな変な法律があったらたまらない気持ちもあるかも。ブラックで痛快な作品です。
お気に入りは「健康なまま死んでくれ」。過労死防止のための法律が制定された世界の物語。というといいじゃないか、と思ってしまうのですが。結局は建前だけなんじゃないか、ってのは現実と変わらないのですよね。その中で起こった死亡事件の顛末は実にブラックなのですが。現実離れしていなくって怖いかもしれません。
「動物裁判」は、動物にも権利が認められた世界の物語。ただユーモラスな物語だと思っていたら、かなりブラックでした。いやでもこういうの好きだわ。
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架空法律のパラレルレイワ、人間と同様な
動物保護が法律化されたり、禁酒法のため
過程でお酒を造るのが当たり前になったり、
バーチャルワールドが発展しすぎて
行きついた先や過労死撲滅のために作られた
法律がさらに人々を苦しめり、爆発的な
感染症影響で電子決済が大普及し逆に通貨が
悪となった話や、認知症予防のために
賭け麻雀を合法とする「健雀法」が制定され
賄賂代わりに利用される接待麻雀が
行われる等々・・・よくもまぁこんなに
ぶっ飛んだ話を架空法律何かも盛り込んで
作ったり出来るもんだwその発想がすごい。
どの話も結末がモヤモヤとするものの
新川さんの想像力や引き出しの多さと
ぶっ飛び具合に驚いた1冊でした。
個人的には「自家醸造の女」の結末が
あぁ~やっぱりそうなるよねって共感したw
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デビュー以来引っ張りだこの新川さん、初の短編集。架空の現代を舞台に新たな法律が制定された世界観で巻き起こる事件をブラックに描く。驚いたのがSFのセンス。「シレーナの大冒険」のハードSF的作品から、「健康なまま死んでくれ」のような星新一よりのブラック作品まで。白眉は「接待麻雀士」彼女の能力をいかんなく発揮した麻雀小説。でありながら1人の女性をハードボイルド調に読ませる。マイベストは「最後のYUKICHI」バカ騒ぎSFで、もうこれ筒井康隆先生じゃん、と言わしめる爽快さがそこにはあった。
世にも奇妙な物語で映像化出来そうなので、いっそ全部、新川帆立作品! で希望。
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文章が好き ◯
作品全体の雰囲気が好き ◯
内容結末に納得がいった ◯
また読みたい
その他
架空の法律が制定されている架空の「レイワ」での物語。
良い意味で後味の悪い物語もあります。
読み終わって、ドキリとする。
塔子はあのあと、どうなるのか。
私は断然塔子を応援するけれどな。