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精緻な描写、独特な表現、エッセイへの共感、ノーベル賞候補となる程の世間一般の評価、どれを取っても素晴らしい作家さんだと思う。ただ、村上春樹さんの小説、特に長編小説は私には理解できない。何を言おうとしているのか?把握できない。感動したくても感動できない。面白くない。
これだけ評価の高い村上さんの作品が理解できないのは私の人生経験が私の認識できている世界観が全く異なるのだろう。私サイドに問題があるのかも知れない。でも、なんとか村上さんを理解してみたい。私に問題があるのなら、その原因を探ってみたい。そう思って、長編は怖いので、「女のいない男たち」の次に、最近文庫化した「一人称単数」という短編集に挑みつつある所。
最初の2篇。やはり理解不能に陥ってしまった。しかし、「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノバ」は自分のこれまでの人生経験と重なるところが多々あり、頭の中で心に染み渡る音楽が流れ、ニューヨークのジャズバーの匂いが立ち込めて、頭が破裂しそうになってしまった。
やはり、自分にも理解できる村上さんの小説(かなりのところご自身の経験がした時期にあると思われる)があることに安心した。次の短編、With the Beatlesも読むのが楽しみになってきた。
おそらく同じ文章を読んでも同世代なのか、それより上か下かで感じ方が異なってくると思うのだが、村上さんは少しだけ上の世代。チャーリーパーカーやビートルズはほぼ同じ時期に聴いている。おかげで素晴らしい文章と同化することができた。
8作品の内、異彩を放っていたのはチャーリー・パーカーの話。極めて秀逸だと思った。
本の表題になっている「一人称単数」については、おそらく村上さんご自身が感じておられる現在の自分に対する何らかの違和感を過去に経験している事柄になぞらえて寓話を交えた様に描かれているものと感じた。
ビートルズの名を冠した話は面白そうな気配で始まった。しかし中程に挟まれたストーリーの必要性が分からなかった。「ついにこれは面白い話になるかも?」という淡い希望は叶えられなかった。
猿の話は小説としてまずまず面白かった。
やはりチャーリー・パーカーの話を除くと感動はできなかった。理解できない作品が多々ある。私が至らないせいだろう。
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不思議な感覚だ。面白いとか面白くないとか、ハラハラドキドキするとか驚きがあった訳でもない。でも、読むことによって何かを感じ気持ちが落ち着いている。大袈裟に言えば心が救われる感じがする。村上春樹の文章に触れるとよくそんな感覚になる。
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説明がつかない、筋が通らない、言語化するのが難しいような瞬間や出来事が連なるストーリー。
難しくはあったが、不思議な気持ちになり、読後、なんとも言えない絶妙な余韻が残る。
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著者独特の世界観、好きな人には響くんだろうが自分にはちょっとしんどいかな。「品川猿の告白」はストーリーが面白かったが、タイトル作「一人称単数」はもはや何を伝えようとしているのか理解できなかった。
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なんとも言えない。
最後に、猿が名前を盗む話があって、
そういう人は自分の名前が思い出せない
それから自分の名前が自分の名前に思えなかったりしたり
これはアイデンティティーの危機に近いことさえ持ち上がる、
とあって、私ももしかして猿に名前を盗まれていたのかもしれない、そして最近は取り戻せたのかもしれない、と思った。
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クリームと品川猿の告白がお気に入り。
話の中にユーモアと哲学が含まれており読んでいて思わずメモを取ってしまいました。
これはなにかの折に読み返したくなるような1冊ですね。
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村上春樹ワールド!
なんだかちょっと、と思いつつ、理解できてしまうこの感じ、言葉の選び方が癖になって止まらない。猿の登場は、インパクト大でした。
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初、村上春樹。
訳分からないことが多かったけど、これこそが恋の始まりかと思った。
訳分からないのに知りたくてたまらない、みたいな。
別に面白くもないのに一気に読んじゃった。
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感想
量子の揺らぎ。存在を記述するには観測しなければならない。それは過去にも及ぶ。自分の隣にいる選択されなかった自分に思いが及ぶ。
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今回のは読みやすくて単純におもしろいものが多かった。小説というかぜんぶ春樹のほんとにあった話みたいに思えた。いつもの小説になるとなんだかよく解らんわと思う事も多いのに毎回定価で買って読んでしまうのはなぜなのだろう。これを買った時にPOPがあって久しぶりの長編たのしみだなーと思っているし。
ヤクルト・スワローズ詩集めちゃくちゃ読みたいぞ。
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一人称単数"I"(わたし)ということから、村上春樹のエッセイのような感じで読んだ。
「ちょっとした寄り道のようなエピソード」が書かれていて、軽く読めるので私は好きです。
p137
小学生の頃は当然ながら「阪神タイガース友の会」に入っていた(入っていないと学校でいじめられる)。
関西の阪神に対する情熱はすごいよね、笑いました(笑)
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~23.03.03
久しぶりに村上作品を読んだ。
なんか、以前と違う気がした。
こんなんだったけ?村上作品って。
そっか、あの頃と年齢が違うんだ。主人公も、私も。
過去の現実を追想して、今の自分と重ねて・・・
でも、それはやはり過去完了だから、現在進行形ではないから、なんとなく違和感を覚えたんだね。
「絶対にあり得ないこと、でも、あったら楽しいよね。いや、困惑するか。」
その感覚は、変わらず、あった。
なんだかんだ言っても、やっぱり凄いです。
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どうしてもこの人の文体や自己陶酔気味な感じが気持ち悪くて読むのが辛くなりました
内容はほぼ著者自身の話って感じでエッセイみたい
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「街とその不確かな壁」で世間が騒がしい昨今だからこそ、読んでみた。
これくらいの時間差でちょうどいい。
合計8短編。
前の短編集「女のいない男たち」で、随分薄味になったなーと思っていたら、本書はますます薄味。
一作ごとに詳細な感想を持つこともちょっと難しいくらいに。
ざっくりと書いてみる。
音楽。詩(しかも自作!)。
人生論≒創作論。
記憶、記憶違い。数十年の経過。認識のズレ。時間を置いたからこそ書ける(本日いまこの時ではない)ゆったりとした語り。ソファにゆったり腰掛けたような語り口。
摩訶不思議。仄めかし。しゃらくささ。
以上だけだとちょっと足りないので、やはり一作ごとメモしてみる。
口が悪いのはご容赦。
■「石のまくらに」
・短歌を引用するのはいいけど、示す際に、スラッシュを用いた分かち書き、上の句と下の句を改行するのって、散文しか読まない「馬鹿な読者」のための配慮? 読者舐めすぎじゃない?
・木下龍也さんがnoteにて「作中の短歌を勝手に推敲してみた」という記事をupしていて、面白い。
・オッサンハルキストが憧れたハルキ的青春を自らリメイクするような露悪癖が、タオルという小道具に現れているようで、一周回って面白い。
■「クリーム」
・「中心がいくつもある円や」……ハァ??
・いまは年配になった「僕」が若い友人に語るという、とってつけたような枠物語になっているが、ハルキさんに創作論を聞いてみたらこんな仄めかししか言われなかったんだけど、年下の我々は有難がって拝受した上で考えなければならない、みたいな、作品外の構図がキモチワルイ。
■「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」
・本書を通じて「堂々と嘘を書く」というシーンが多いが、これって「風の歌を聴け」におけるデレク・ハートフィールドのギミックを「自覚的に再利用」しているのではないか。
・さすがに即刻検索可能な現代において、堂々と偽書を提出するわけがない。というかインターネット当初から自覚的だった春樹が、無自覚にこういうギミックを繰り返すはずがない。
・が、夢の記述が多めなので、作家の自己満足的創作論に付き合わされている感まんまん。
■「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」★
・本書中では最も小説っぽい。
・とはいえ、仄めかしに次ぐ仄めかしの多用で、何が何やら。
・が、彼女の兄の記憶障害の件(一家殺害の後かと邪推したわ……)や、芥川龍之介「歯車」朗読や、結構印象深いシーンがある。
■「『ヤクルト・スワローズ詩集』」
・ど、どーでもええー、エッセイかよっ。
・「猫を棄てる 父親について語るとき」に通じる記述があるのは見逃せないが。
■「謝肉祭(Carnaval)」
・ヤりたくなる顔じゃないがゆえにカルチャー友達になった女性、について、春樹と思しき男性と、その妻のやりとり。
・ちょうど先日来読んでいた川端康成の戦後の作品にも、夫の不倫を諦めている妻との会話があったように思うが、お爺さん作家のこういう記述って、なんかヤだね。
・春樹って昔から、所謂美人ではないが僕にしか知り得ない美点がある女性、みたいな存在を書いてきたが、結局は美人か不美人かみたいな構図があって、マジヘド出そうだわ。
・「スノッブ」の言葉本来の意味。
■「品川猿の告白」
・往年の、動物ネタ、都市風俗ネタ、を、放り込んだらテキトーに組み合わせて出力してくれるブラックボックスに放り込んでみたら、できましたよー、みたいな短編。
■「一人称単数」★
・要は「別の人生があったかもしれない」式諦念を描いているので、いつもの春樹節で想定を超えるものではないが、それを「糾弾」というニュアンスで書いている。
・〈「恥を知りなさい」とその女は言った〉というラスト一文から、
・夏目漱石「夢十夜」の「第三夜」。
・内田百閒の「花火」における「浮気者浮気者浮気者」、「尽頭子」における「あなたは私を忘れてはいないでしょうね」。
・を思い出した。
・なんかわからんが凄みのある一篇。
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久々の村上春樹さんを読む。
この感覚久々。
??から始まり、引き込まれる感じ。
ただ引き込まれない話もあり。
やはり、村上春樹ワールド