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(「春つげ鳥」「りちぎな恋人」「雨の降ってた残業の夜」「エープリルフール」「春と男のチョッキ」「おそすぎますか?」「ひなげしの家」「愛の罐詰」「ちさという女」「石のアイツ」「怒りんぼ」「中京区・押小路上ル」)
解説にもあるけれども、孤独な夜のココアという題名の短編はありません。
なのに、この表題がしっくりくるから不思議…
12もある短編集なのに、どれをとっても
なんとなく垣間見える男女の形に共感してしまう。
女性の芯がしっかりしているのにふあふあしている所だとか。
男性の、あの、特有の甘えたところだとか。
なんだか、その男女にしかわからない その間にしか流れてない空間を そっと覗き見している感覚になりました。
ここからは私が好きだった作品の感想
「雨の降ってた残業の夜」
はっきり、きっかりした性格のOL「斉ちゃん」。同期には「じゅん子」がいて「千葉クン」に一方的にご熱心中。斉ちゃんは、そんなじゅん子を冷静に見守ってはいたものの、やり過ぎな点で少し呆れていた。
そんなある日の夜、雨降りの残業中に千葉クンと2人きりになった斉ちゃんはじゅん子に頼まれて熱いお茶を千葉クンに淹れてあげるのだが…
いやぁ…、いくつになっても恋は怖い。そういう力が働くのだから怖い。【そういう力】というものを、きっと理解しているか、していないかで恋愛はかなり違ってくるのではないのかな。。。きっと、理解してても制御が出来なければ意味のないことなのだろうけど。
斉ちゃんは冷静な分、少し悲しい思いをしているのかもしれない。それが『恋というものは、…』の一文に ぎゅっ と凝縮されているなぁと感じました。
「春と男のチョッキ」
「私」は会社を辞めた。失恋、ではないけれども彼と一緒にいたくなかったからだ。彼、「大倉サン」はチョッキ姿がなまめかいし男だった。私は彼を好きだったが…
いや、説明しにくいけどこの空気間が何とも言えない。
すごく好きだけど、私は主人公の「益井さん」のような冷静さを持ち合わせられないなと感じました…。大倉サンのような男が好きなのかと思うと、少し自分でゾッとしました…(●д●)
にしても、このチョッキの大倉サンは是非とも向井理さんに演じてもらいたいなぁ…
脚本家なら、絶対この話を映画用にして持ち込みするのに…きっとミニシアターだろうけど(笑)
まだまだ良いお話が沢山あるけど、特にこの2つのお話が好きでしたヽ(´∇`)ノ
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題名どおりほろ苦く甘くあたたかいココアのような恋愛小説短編集。恋愛小説とは言え甘々しくベタベタした厭らしさはない。けれどこちらもキュンと共感できる可愛らしさもある。いつの時代も変わらないな男も女も。
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「ほろ苦い」という表現がぴったりの、恋愛小説の短編集。
技巧的というのでなく、表現もしごく簡潔でテンポがよい。
だけど、誰もが経験する恋の「微妙」な感情をずばり書きあらわしてる、と思う。
うまくいく恋、いかない恋、そのどちらにも痛い想い、苦い想いはつきまとうもの。
それは「不快」というにはいいすぎたものだし、
あとから振り返れば、くすぐったいような恥ずかしいような、そんな甘酸っぱい記憶にかわっているものだと思う。
恋愛経験微少なわたしがいうのもなんだけど(!!!)
(過去同じような気持ちで読んだものに、山田詠美の「放課後の音符」があります。
これは山田詠美さんらしく、さばさばした女子の恋愛の話が多く、
こんな女子になりたい!と思わせる小説です。)
恋する、または恋したい女子におすすめする一冊。
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田辺聖子さん、また読みました。
これは、タイトルと表紙の感じがすごくいいな。
よーく見ると、この表紙の宝石チックなの、刺繍………?
だがこの表紙が出ない。なぜだ。
ドキッとするような言葉が散りばめられていて、本当にタイトル通り、一人の夜にココアでも飲みながら読みたい本だなぁと思いました。
ま、私は病院の待合室で読んでましたが……。
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短編集。
すっきりハッピーエンドって話は少なくて、どれも少し悲しい結末。だけど「ホラ、かわいそうでしょうでしょぉぉぉ」って感じはなくて、「あーあ、しあわせになれたらよかったのにね」っていうぐらいのテンション。なんだろな、全体に人生の標準値が「少し不幸」ぐらいに設定されてる感じ。それぐらいが当り前っていう。
読むと、「少し不幸」が当たり前の人生を生きなきゃいけないこの世界の人全般を、少しいとおしく思える。自分を含めてね。
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『恋というものは、生まれる前がいちばんすばらしいのかもしれない』
ザクザクきますね、聖子節。若い頃に読んでた時は刺さらなかったのに、四十路手前にして、醍醐味が分かる大人になったのだろうか。
恋は恋になった瞬間、もはや今までとは別物なのだ。
恋に囚われてしまうのだ。自分の意思とは違うところで。
恋が生まれる前の、ほのりとした甘い、モカモカした雰囲気は二度と戻らないのだろうか。
いや、これが孤独な夜のココアの味なのだ。舌に残るあえかな苦味。
恋をしてる者だけの、密かな苦味。
「雨の降ってた残業の夜」は、ザックリ縦に入ってきます。身動きならない自分に戸惑う恋。あれ、理性あるタイプなはずなのに。サバサバして男の気持ちが分かる女なはずなのに。
ベタベタして男にのめり込む女を馬鹿にしてたはずなのに。
古今東西、恋愛はオールタイムベスト
ということなんでしょうね。
ああやはり古典はいい、と唸りたくなるのでした。
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大人の女には『年齢化粧』が必要らしい。『年齢化粧』とは、どういうかんじの女になるか、自分に似合わしく設計して少しずつ、それに近づくように矯めたり修連したりする事ですって。田辺ワールド全開のワードには、そうそう!と嬉しくなる言葉が溢れていて本当に楽しいです♪
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「もはや、あの、雨の降ってた残業の夜の、たのしいこだわりのない、いい雰囲気は、二度と生まれないという、不安な予感がする。恋というものは、生まれる前がいちばんすばらしいのかもしれない。」(p77)
恋愛の教科書!!普通のアラサー女子の教科書!!
どの作品も、いつか自分の身にも起こりそうな話で、勉強になった。
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短いお話がいっぱい詰まった本。
もっと続きが読みたいものもあれば、あまり好きじゃない話もありました。
でも色んなタイプの女の人が色々な恋をするからどれかには共感できるのでは、と思います。
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たとえ小さなすれ違いであろうと、それが重なってしまうと、ある日突然、大きな亀裂となって、不幸な結果を招いてしまう。
もちろん、そうなった時にはもう二度と元の場所・関係には戻れない。
でもきっと、そうならないと気付けないことってたくさんあるんだろうな。
痛みをもって知る、というか。
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なんだかこんな直球な恋愛小説を読んだのは久し振りで 電車の中で少しうろたえてしまって でも涙をこらえた ここに出てくる女性たちは本当に懐が広い 不幸でも幸福でも どっちでも
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すべての物語たちが、ものすごい意外な角度から切り取られていて、田辺先生の鋭すぎる観察眼にただただ唖然の一冊でした。
そして女の人たちそれぞれの、男性によりかからない強さやたくましさが私は好きです。
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表紙の可愛さで買ってみました。
短いお話で読みやすく、人の恋愛を覗き込んでいるような気持ちになって面白かったです。
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タイトルと表紙に惹かれて購入。恋愛小説の短編を集めた一冊。頻繁に出てくる大阪弁が気にならずにすっと読めてしまうのが不思議。
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短編集。いずれも結婚適齢期の女性や結婚についての恋愛模様を描いたもの。(一作だけ違うかな)
田辺聖子さんの描く作品に出てくる女の人はみんな強い。
働いて、家事もやって、男勝り。でも男の人の弱い部分や可愛い部分を包み込むような穏やかさもある。
登場人物はみな似ている(環境が)。でもそれぞれが男の人に良いと感じる部分など些細な部分がしっかりと描かれていて好ましい。
物語の終わりもとってもスマート。
短編ならではの尻切れ感もないしすごくストンときれいなおとしどころに収まってると思う。
すごくよかった。