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自分の中での要約、古き良き映画と新しくて軽いYouTubeの2項対立のような図式で物語が進んでいったが、そもそもその2つは土俵が異なり、自分の分野を高めることが重要である。その結果分野を超えて影響力を持つことができるモノがこれからの「スター」になる。
朝井リョウ作品のなかでも作者の考えが大きく反映されてる作品だと感じた。学生であるため仕事についての感覚が正確には掴めないが何かの節目にまた読み返すことになりそう。
南沢奈央さんの解説の言葉がよかった。
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ほんとに難しい時代になったなと改めて感じた。人と比較してしまうと、自分が保てなくなる。正解なんて分からない、隣の芝が青く見える。
丁寧に言語化されていてさすがの一作。
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めちゃめちゃ面白かったです、、
すごくお笑いが好きで、YouTuberに対して色々思うところのあった自分が読むべき作品でした。
鐘ヶ江監督が尚吾に語った言葉、鉱が会社トップに放った言葉、千紗が尚吾に聞かせた言葉、この辺りが示唆に富んでいたと思います。
朝井さんの多面からほんとに大切なものを浮き上がらせる手法には毎度感動させられます。
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どんだけレビュー溜めてんのよ、って話。
読了は6月12日。
スマホに残したメモを辿ってレビューしてみる。
わたしは娯楽に触れる時、たくさんのツールで触れる。
ラジオ(radiko便利)、テレビ、映画、アマプラ、AppleMusic…
車でリアタイするラジオの価値
生放送の価値
映画館で観る映画と家で観るアマプラ
サブスクで曲を公開しないマキシマムザホルモン
その人がいったい何に価値を置くのか。
サブスクで触れる作品の価値は低くて、映画館で観る映画の価値は高いのだろうか。
radikoで聴くラジオは価値が下がるのか。
映画を制作することと、映像を制作してYouTubeにあげることに、差はあるのか。
YouTubeをはじめ、映像の素人が動画編集を行ってSNSにアップする、ということが一般的になってきて、職業としても認められるようになってきて数年。
問題やトラブルの方が前面に出ててしまうこともある。
YouTubeやサブスク、それらをなぜ我々はライトなものだと感じるのか。
じっくり、丁寧に丁寧に描き出す。
核心をつかれた時のドキッとした感情、相手に対して感じるもやもやとした感情、怒り、許せない何か。
日々の中で感じるネガティブな感情に向き合わされるこの感じも健在で、あー朝井リョウってこうだったよなと思わされる。
人間の複雑な関係性の描き方と、そこで生じる感情の掘り下げ方が、本当にうまい。
強引に、自分が普段封印している嫌な感情を掴まされる。
まだまだ気軽に手にできる娯楽のツールは廃れないだろう。
この作品もまた、文庫化という時間の経過を経てもなお、廃れてない。
これからも多くの人に刺さる作品だと思う。
簡単に手にできるようになった娯楽のツールを、「若い人の間で流行っているもの」で着地させるのではなく、とても早くから、時代の流れとそこで生きる人たちを鋭く見つめ、言葉にして、これだけの作品を残した。
そういう意味では、朝井リョウという作家そのものが、時代を牽引する『スター』なのかもしれない。
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初めて読んだ朝井リョウさんの作品(ハードカバー版で読了)。
一つ一つの描写の表現が素敵で、心に残った表現をたくさんメモしてしまった。恋心の芽生えを表現するのに、「ホットケーキを焼き始めるときみたいに、自分の心の表面が…ぷつぷつと膨らみ始める予感を抱いた」って普通表現できますか!?
才能がなくても世界に発信できる今の時代、何が本当に「価値」がある作品なのかわからない、そもそも今まで自分が信じていた「価値」って本当に価値があるものなのか、受け手と発信者のどちらの「心」を重視した作品にすればいいのか、正解のない問いに、尚吾と紘という正反対の路線をいって悩み苦しんだ二人を通じて向き合わされる本。
まさに、浅沼が、「答え」を持っている人間と思われたがっていた尚吾に対して言っていた、”答えよりも問いをくれる作品”が、この『スター』という小説だと思う。
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朝井リョウの文は映像が脳内で再生されて非常に入ってきやすい。この作品は今の時代、何が素晴らしいのかを考えることができる。
「本来比べられないものを比べている」のかもしれない。余計に他人にイライラいているのかもな。
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浅沼と尚吾のやりとりが響いた。
自分は何事にも自分なりの答えを持っていて(自分の答えが正解だと思っていて)、人と話す時は、私はこんな答えどうですかー!?という論調になる。
でも、出した瞬間にそれは私の「答え」になるわけで、正解かどうかなんて、出された側にとってどうでもいい。それがあなたの答えなんだね、だとしか思わない。それが正解かどうか決める人はいないし、誰も決めたいなんて言ってない。
はいそうですか、すごいですね、と思ってそこから続かない。だって、そうでしかないから。
その根底には、自分の考えが正解であると言ってもらいたい、これが正解だよね?私が1番正しいよね?すごいよね?ということを証明してほしい、
という思惑がある。だから、これについてどう思う?って問いをかけられたら、どう答えるのが正解か、を考えてしまう。正解の枠に縛られて、自由で柔軟な発想が出てこない。どうしたら正解か、それしか考えられない。窮屈で、堅苦しくて、一般的で、それゆえに抽象的で、中身のない答えしか出てこない。で、それってどういうこと?と聞かれると、何も出てこない。だから、私の会話はいつも続かないんだ、と思った。
会話が続く人は、自分の答えを出す人じゃなくて、問いを出せる人なんだと思った。問いに見せかけてその問いに対する自分の答えはーって話すんじゃなくて、相手に問いそのものを渡せる人。相手がそれについてなんでだろうとか、自分はどう思うだろう、とか、自分の考えを広げられる人。そういう人が、会話がうまい人なんだと思う。
鐘々江の台詞が、残った。
昔見たドラマや映画を見返した時、そこで放たれた台詞が自分の価値観と一致していて驚くことがある。台詞そのものを覚えていたわけじゃないのに、以前見た時から今までの行動や思想に影響していて、そのことに無自覚であることに驚いた。それが、「言葉ではなく、言葉を聞いた後の行動を信じろ」ということだ、と思う。
なんとなく、鐘々江が是枝監督に重なって見えた。
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感想
誰もが発信者となれる時代。自分だけの推しに抱く感情は憧れか憐憫か。スターとの間に存在する透明なフィルムは取り除かれない。
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朝井リョウいちいち天才すぎ
全てを噛み砕けたわけじゃないけど
映画が好きなはずなのに、数字やライバルに勝つことが優先になったりすることあるよね〜ある。
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久しぶりに面白い小説を読んだ!
「何者」のときもそうだったけど、朝井リョウさんは「現在ならでは」を切り取って書くのがうまい。上手につかいこなす人、それを妬む人、既成概念にとらわれる人、いろんな人達の心理をかくのがうまい。
別々の道を歩むようでまた巡り合って、っていうのが胸熱展開だな。やっぱりそういう王道ルートは好き。
千紗とはてっきり別れるかと思った。尚吾のこれまでを肯定して、でも捉われていても仕方ないでしょ、と諭してあげるのはできた彼女だな。今回はその語り部分が随所に見られてちょっとしつこかったな、とは思ったけど。
「その中でも、尚吾の頷く角度が、一番大きい。」という最後の一文がかっこいい。
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大きな世界が小さな空間に小分けにされていく。ほんとにそうだなぁと。朝井リョウさんは普段何となく感じてることをキチンと言葉で表現してくれる方だなぁと思う。
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前回エッセイを除くと正欲ぶりの小説。
今回も多様性を取り扱ってる作品でした。
やっぱり朝井リョウ好き、面白い。
中弛みしない人と感情の移り変わりと
言葉の選定、素晴らしい。
主人公2人が、大学卒業から
違うルートで活躍していって、
違う視点で色んな人や作品に触れて
自分の気持ちや、他人との違いに戸惑って。
そのスピード感と、目まぐるしさに
時間を忘れて没入。
YouTuberやインフルエンサーをメインに
サブスク、クラウドファンディングにネットサロン…
現代の流行てんこ盛り。
本当、今の時代流行り廃り早くてついていけない…。
質、価値、評判、経歴、価値観。
人や時代によって揺らぐ評価基準。
何が良い悪いとか無くて、
それは個人の判断だし、白黒つけなくてもいいとも思う。
いつもなにかを選択しなくてはいけなくて、
必ず選ばれたものと選ばれなかったものがある。
何か得るには何か犠牲にする必要があると、
私は思ってる。
あと、鐘ヶ江監督の「寂しい」って言葉は好き。
私も「寂しい」って思ってしまう人間でいたい。
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"国民的"スターなき時代に、あなたの心を動かすのは誰だ?
帯に惹かれて手に取った本。
こんなに心が揺さぶられるとは思わなかった。
考えることを止めないこと。
自分の心を見つめること。
仕事や自分の今後に迷いが出てきたら、
またこの本を開きたいなと思う。
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(個人的感想です)
私は、朝井リョウさんの作品を勝手にドロっとした人間関係。若い人達の葛藤を強く出した作品だと思っていました。
その中で「スター」は純粋であるがそれ故の世間とのギャップを描いてる作品。読み始めはその様な印象を感じていました。そして、次第に時代の流れによる変化に苦しみつつも解かれていく感覚は、気づきや、自身への問い、共感が多くありました。
時代の変化に対応できないのは必ずしも年齢が高い人達だけではない。少し前はそうだったかもしれないが、今、世界は1年も満たず変化する。その変化は新社会人や大学生、もしかすると中学生にまで及ぶのではないかと思う。
最後に、356ページから始まる尚吾と千紗との会話は心が詰まる。
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正当なエンタメとは何かが問われる、現代のメディア模様を語る。
結論、VUCAの時代に正しいエンタメは無い。
このテーマならもう少し古い時代とかも語っても良かったかもな。
主人公の尚吾は正統派。映画を撮って賞に選ばれたり、映画館で上映されて喜ぶ。名監督の元に弟子入りして、がんばって修行するが、一朝一夕では結果は出ず、簡単に結果を出す絋の事を妬む。
絋も尚吾と大学時代は一緒に映画を撮っていたが、心が動く撮りたいものを撮る直感派。大学時代に撮ったボクサーの話からボクサーを取り続けると、ジムの公式youtubeの編集をすることになりバズる。が、満足いく品質を確保する前に次から次へと作らなければならない点が気に入らない。
尚吾の恋人の最後の一言が印象的。
・夜空の星は星形をしていない。
・実は星はあの形じゃないとみんな気づいてるが、星といえばあの形を描いてきた。
・正統派はあの星の形を綺麗に描こうと頑張ってきた
・今は自分に見えた星の形を描いて、星ですと主張する時代。
・同じように見える人がいれば、そこが小さな空間になる。
・でも、綺麗な星形を練習していた時間も技術も無駄じゃないはず。