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10000時間というと、今では科学的根拠が薄いとされる10000時間の法則を思い起こすが、それとは全く関係ない。
むしろ、努力が必要な「勉強」を足し上げるのではなく、日本語を使う時間を引き、生活の一部として英語を取り込むことで10000時間を達成しようというコンセプトになる。それでも辛いが、著者がこれまでやろうとしてきた文法の復習から始めるアプローチで挫折してきた人間には良いアドバイスであった。
筆者の立場は多読側にあり、精読を(一部の用途を除いて)否定するものである。辞書を使えば精読できるが、スピードが遅くてついつい挫折しがちな人間としては多読メソッドの「わからない場所は飛ばす」「面白くないときは飛ばす」はまずやってみようと感じた。
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英語学習に対するスタンスは筋が通っていて再現性もあり共感できた。
日本語の誤字がかなり多いのと、あまりに基礎事項の説明やAIとのやり取りに分量が割かれていたのが残念だった。
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著者が45歳の時から始めた英語学習法について紹介する本。これまで世に出ている英語学習本にある通り、興味のあることを続けることが大事であると。この方は読書が好きなのでとにかく読書をして英語力が上がったということ。私も45歳、いつになったらスイッチがオンになることやら...
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洋書を読めるようになりたくて英語を勉強しようと思い、過去何度も挫折してきた。そんな中出会った本。
著者は翻訳の仕事をしている。著者も何度も挫折してきて、45歳から始めた勉強がハマって英語力が伸び、今に至る。その著者の主張は、10000時間勉強しろというもの。勉強というより、英語に触れる時間をそれだけ取るようにする。1日6時間やって4〜5年かかる。主な内容はとにかく多読、多聴。そのためのルールとして、
①わからなくても先に進んでいい
②興味のあることだけに取り組む
③日本語を封印する時間を増やす
とある。③がとても厳しい。日本語の本も読みたい。二兎追うものはなのか。1人の力ではまた挫折してしまいそうだ。誰かに尻を叩いてもらおう。
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【感想】
「聞き流すだけで覚えられる英語」
巷では効率的な英語学習を謳った本が多数出回っているが、そんな簡単に覚えられれば苦労はしない。
本書も英語学習のための指南書であるが、方法はその真逆、なんと「10000時間」をかけて英語を身に着ける本である。1日5時間休まず勉強しても修得に5年半かかるのだから、なんとも気の遠くなる話だ。だが、努力に近道はない。「触れる量こそが正義である」という教育方針のもと、10000時間という膨大な時間を「いかに楽しく乗り切るか」を紹介していく。
10000時間の達成に向けた大切なポイントは次のとおりだ。
①わからなくても先に進んでいい
②興味のあることだけに取り組む
③日本語を封印する時間を増やす
①筆者は読む、書く、聴く、話すの中でとにかく「読む」を重要視している。インプット(読む、聴く)とアウトプット(書く、話す)は9:1でいいらしい。当然英語の書籍を何百冊も読んでいくことになるのだが、コツは「わからなくても止めない」ことだという。なんとなく理解できる本を読み続けると、いつのまにか全部わかるときが来るらしい。
そのため、筆者にとって文法学習は「敵」である。文法を意識すると英語の構造をいちいち理解しなくてはならなくなり、読むのが遅くなってしまうからだ。それよりも、英語をまとまりで覚え、次から次へと色々な表現に触れていくほうが上達が早いとのことである。
②日本語がよくできる留学生は決まって、日本のマンガとアニメが好きだ。日本人でも、K-POPアイドルが好きな女子高生の中には、韓国語をそれなりに話せてしまう人がいる。要は、好きなコンテンツに没頭していれば流暢になるのだ。
コツは、「自分の好きなものを探して、それと英語がミックスするようなインプットを考えること」である。本が好きな人ならば読書、海外ドラマが好きならネットフリックス、ゲームが好きならオンラインゲームだとか、媒体は何でもかまわない。とにかく、好きなものだけを大量に読む、聴く体験をするのがよい。逆にそれをしなければ、「10000時間」を耐えきれず、途中で投げ出してしまう。そのため、好きなものが無い人は、まずハマれるものを日本語で見つけるのがよい。
③頭の中で英語を和訳してはいけない。英和辞書を引いて日本語を見ない。日本のニュースを絶ち、スマホの言語も英語に変える。とにかく日常を英語漬けにすることだ。
これは、「10000時間」を1日でも短縮するための強引な技だ。睡眠時間以外の16時間を英語で満たせば、2年弱で10000時間を達成できる。筆者は英和辞書すら引かなかったのだから相当な肝の入れようである(さすがに和英辞書を見ないのは学習方法としてどうなのかと思うが)。
以上が本書の大まかなまとめだ。
機械翻訳の影響で語学学習のコスパが下がりつつある今、必要なのは中途半端ではなく「完璧に操れる」バイリンガルだ。10000時間学んで20000語の語彙力を手に入れれば、大卒のネイティブ程度の英語力を手に入れることができる。そしてその過程で、自然と日本語力も身に着いていく。そう考えれ���、決してコスパの悪い話ではないかもしれない。
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筆者の橋本氏は、多読学習に関して「SSS英語学習法」のやり方をかなり参考としている。そのメソッドを一から紹介しているサイトがあり、勉強方法やおすすめの多読用洋書などがまとめられている。「やりかたがスパルタすぎてとっかかりが分からない!」という方は、↓のサイトを参考に初めてみるのもいいかもしれない。
https://www.seg.co.jp/sss/
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【まとめ】
0 まえがき
英語の学習は、それ自体が目的であり、楽しいものでなければならない。
本書は、「聞き流すだけで聞き取れるようになる」みたいな簡単なメソッドは紹介していない。「10000時間」をかけて上手くなる方法だ。
あまりにハードワークかもしれない。だが、努力と時間の先には、バイリンガルの住む魅惑の別世界が待っている。
1 頭と生活から日本語を追い出す
日本人の英語上級者には、知識英語の上級者と感覚英語の上級者がいる。知識英語は精読に向くが読むのが遅い。文法の解析や和訳エンジンを使わずスラスラ読める、「感覚英語」を身につけるべし。
10000時間達成のコツは、英語を勉強する時間を確保するのではなく、日本語を使うのをやめること。そして、強いモチベーションと目的意識を持てるかにかかっている。英語を使うこと自体を快楽の体験にする必要がある。
●生活から日本語を追い出す方法
①ニュースを英語にする(おすすめはNYタイムズ)
②洋楽と英語ニュースを聴く
③スマホを英語にする
④ノートとメモはすべて英語で書く
⑤英語で考える、独り言を言う
→「独り言」とは、英語で言葉遊びをすること。順序と比較、因果関係、類似事例など、色々なワードとワードをつなげて連想ゲームをしてみる。
⑥外国人の会話友達を作る
外国人が身近にいない場合には、オンライン英会話がおすすめ。SNS、オンラインゲームでのつながりもアリ。
2 大量に読めば話せるようになる
英語が続かないのは英会話から入るからだ。
インプット仮説というものがある。学習者が理解可能なレベルより、ほんの少しだけ高いレベルのインプットを大量に受けることが一番効果的という仮説だ。インプットとアウトプットの比率はインプット(読む、聴く)が9、アウトプットが1(書く、話す)ぐらいでよい。
もっとも効率的な学習は読書だ。一般の英語の本は、およそ10万語で構成されていると言われており、それを能動的にインプットする体験が読書だ。短時間で大量の英語のパターンに触れるのに、最も効率的な方法である。
パターンから学ぶうえでは、「こういう表現がある」を学ぶと同時に、「こういう表現はない」を学ぶことも重要。「文法的にはOKでも、ネイティブはそういう表現はしない」という文章がたくさんある。
おすすめの本は、日本語で書かれたリスニング用教材と、多読用の読み物、そして絵本。リーディング用の参考書は文法の解説が中心なので向かない。内容は、会話文ではなく、物語などの読み物になっている本が良い。
★筆者おすすめ
・改訂版 究極のビジネス英語リスニングVol.1
・CD付 スター・ウォーズの英語(ディズニーなど、内容を知っている物語がよい)
・英語で読むスティーブ・ジョブズ
・多読教材
読む力を確実に伸ばせるのは小説。
目に見える情景の描写では、自然や天候の状態、建築物や街並みの様子、花や樹木の名前、人々の服装や持ち物など、ほかのジャンルの文章では滅多に出てこない単語と出会う。人間の心理描写では、細やかな感情の表現、顔や声の表情についての多彩な表現を知ることができる。
喜ぶ、怒る、悲しむ……感情の機微を表す言葉は、happy, angry, sadだけではない。むしろ、そんな単純な言葉は小説ではまず出てこない。軽く数百種類の、感情を表現する言葉がある。形容詞にしても、good, great, interestingのようなあたりまえの単語は出てこない。語彙の幅がまちがいなく広がる。また、過去完了や大過去といった高級時制も頻繁に出るため、文法に触れる機会が多くなる。
●小説読破術
・概要や目次を丁寧に読み、全体の構成やテーマを把握する。舞台となる国や都市をWikipediaで調べておく。
・ポストイットとノートを用意する。
・人物関係図と家系図をノートに書き出す。(物語の世界に没入したら、やめていい)
・場面が変わったら最低限「いつ」「どこで」「だれが」を把握し、ノートに書き出す。(物語の筋を忘れないように。覚えきったらやめていい)
・小説特有の描写になれる
・初心者のうちは、方言やスラングの少ない作品、一文一文が短い作品を読む。
ノンフィクションは小説よりも簡単。基本は速読で、途中の難しいパートは飛ばせるため。
●ノンフィクションの速読エクササイズ
①未読で興味がある内容の洋書を用意する
②1時間でその本を要約する(日本語でOK)
③その本を人に勧めるスピーチをする
要は、時間がない中で内容の骨子を把握し、説明する練習。ノートに概要をメモするなど道標を作りながらやろう。
3 辞書は引かない
フィクションでもノンフィクションでも、英和辞書は引かない。
①流れが止まる
②日本語を見てしまう
③まだ「覚え時」ではない
流れを止めることは、小説では致命的である。英語の物語の世界に没頭していたのに、日本語の現実世界に引き戻されてしまうから。そして、辞書を1回引いても、案外すぐ忘れてしまう。
わからない単語はそのままにしておこう。意味は、文脈から推測できる場合がある。ずばり「それが何か」わからなくても、「何でないか」はわかるはずだ。何度も何度も目にすると、やがてその単語の輪郭のようなものが見えてきます。輪郭が見えた時が「覚え時」。辞書を引こう。
最初の1年間は、本を完全に理解できると思わなくていい。続けてさえいれば、1年後、2年後にはわかる。最初のうちは「半分くらい理解できた」と思えるなら、適切な本のレベルを読んでいる。
関連するテーマの、難しい本とやさしい本の同時読みが効果的。多読学習向けのやさしい本(Who isシリーズ)と、有名人の伝記の一般書など。
また、映画の字幕を文章にしたシリーズと、オリジナル小説、映画の3点読み���効果的。
●読む本選び
・文学賞受賞作品
・ブッククラブで知る
・書店サイトの売れ筋
・読みやすい作家にあたる
・Goodreads(英語版ブクログ)で評価数1000超え、平均4.0超えをあたる
・これから読もうと思っている本の難易度を、BingAIに聞いてみる。また、「ハリーポッター第一巻の難しい英単語を100個教えて」「英語が難しかったから第一章を要約して」とヒントをもらうのも読書の助けになる。
4 語彙力を増やすというドーピング
単語はすぐに辞書で引く必要はない。「単語をなんとなく使えるようになってから、辞書で意味を確認する」のが一番早い。
単語を集中して覚える学習をボキャビルと呼ぶ。要は大学受験でやった暗記学習だ。無理にやる必要はない。読める本を読むだけで語彙は自然と身につくからだ。しかし、やれば劇的に上達が早くなる。その分、「楽しく学ぶ」というモチベーションが薄れる可能性がある。
ボキャビルのコツは「覚えようとしない」こと。外れたら次の問題に行き、それを繰り返して接触回数を増やす。おすすめはiKnowというアプリ。初心者向けにはduolingoとmikanというアプリもある。
5 リスニング
読むに続いて重要なのが「聴く」。多読と多聴は相性がいい。
おすすめはAudibleで英語の本を聞くこと。まずはサンプルを聞いて、聞き取れそうかを判断する。
★筆者おすすめ
・The Buddha in the Attic
・Tangier Love Story Jane Bowles, Paul Bowles, and Me
・The Great American Read: The Book of Books - Explore America's 100 Best-Loved Novels
・The Anthropocene Reviewed-Essays on a Human-Centered Planet -
・English Grammar Boot Camp
・その他、YouTubeの書評家、トーク番組、TEDの動画を見るのも○。
慣れてきたら、オーディオブックを聞きながらシャドーイングするのがよい。
6 書く
読む、聴く、話す、書くの4つの中で、一番高いレベルを要求されるのが書く能力だ。しかし、書くことにはじっくり時間を使えるため、調べながら書いていけばいい。読んだ本の書評を書いてSNSに投稿すると、英語話者からコメントをもらえたり、読書趣向が似ている人からのおすすめを聞けたりと、思わぬ副次効果がある。
おすすめはGrammarlyという添削サイト。書いた文書を添削してくれるだけではなく、最初にゴール(文章のTPO)を設定することで、正確さ、明確さ、魅力、言葉づかいの4項目を手直ししてくれる。同じ単語を繰り返し使っていると、「こんな単語を使ったら?」と言い換えの提案もしてくれる。
7 発音
話す力をつけるには、読んだり聞いたりしながら話すのが上達の近道。英会話から英語学習をやるのはおすすめしない。
発音は独学で上達するのは難しいため、オンライン英会話を活用するのがよいだろう。
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本書は、タイトルに惹かれて購入しました。専門家になるために必要な時間は、目安として1万時間と一般的にも言われています。その時間をどのように確保するのかの参考になればと思って読みました。
私の目的で本書を読むと、「はじめに」の章と1章、この2つの章が読めれば良かったのかもしれません。英語に触れる時間を増やすために、日本語の時間を減らすという発想がユニークで実践的な戦略だと思います。
早速、スマホの言語を英語に変えてみることから始めてみます。