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投稿者:本好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉祥寺という飲食激戦区で、35年間も続いた焼き鳥屋さんの「8つの変なルール」には、数々のノウハウが詰まっていました。 またそのノウハウは、飲食業だけでなく他業種にも応用することができる、ビジネスの本質を捉えたものばかり。 実際に著者は不動産業でこのノウハウを活用し、起業に至ったとのこと。 体験から語られる焼き鳥屋の話は、ドキュメンタリーのようであり、ビジネス書としても成立しているという、絶妙なバランス。
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年収1000万円を目指したい会社員に向けた書籍である。著者の父親は焼き鳥屋を経営しており、その経営手法が基本になっている。著者自身は不動産営業として年収1000万円を超えた後、独立してSDGsを活用した不動産ビジネスで空き家問題など社会課題解決に取り組む。
本書のタイトルはロバート・フルガム『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』を連想する。しかし、焼き鳥屋の経営と不動産営業には相違点もある。本書は焼き鳥屋の話で終わっていない。著者自身の職業経験も述べている。
父親の焼き鳥屋の経営は「常連さんを電話で呼びつける」「年末の大掃除には常連さんを動員する」「麻雀大会や旅行などのイベントに強制参加させる」など常連客を取り込むことで成り立っている。著者は「お客様と、単にお酒を飲む場の店主と客としての関係性以上のものを築くことは、ビジネスの場においても優位に働きます」と述べる(34頁以下)。これは営業を成り立たせるという点では一つの方法であるが、欲しい人が欲しい時に欲しいものを提供することがビジネスという立場からは疑問がある。本書も指摘するようにチェーン店などのビジネス手法ではない。
父親は常連客を使うだけでなく、客の働く店に飲みに行くこともしていた。商売をする人同士が持ちつ持たれつでお金を回している。これは商店街の旦那衆を見ていると正にそのようなところがある。これも金が回るだけで価値を提供しているかとの疑問がある。チェーン店的なビジネスの価値の提供とはギャップがある。
一方で父親の焼鳥屋の経営術が古い、適用範囲が狭いと言うつもりはない。オンラインサロン運営などインターネットならではのビジネスでも、父親の焼き鳥屋の常連客への接し方は大いに参考になるだろう。
著者自身は不動産営業を選択した。高年収を目指すという動機は感心できない。世の中には売ったら売りっぱなしで問題物件を売りつけて稼ぐ不動産営業も存在する。どのような価値を提供するかがビジネスである。稼ぐことが目的ならば悪徳不動産営業になりかねない。
しかし、新築から中古への転換を見越して新築販売ではなく、仲介を選んだことには評価する(63頁)。SDGsに取り組むだけのことはある。SDGs; Sustainable Development Goalsは持続可能な開発目標である。スクラップアンドビルドではなく、中古住宅に住み続けることはサステナブルである。
著者は「未経験から成り上がるなら「あえてブラックな働き方ができる会社」を選べ」と主張する(82頁)。このブラックな働き方とは早朝出勤や深夜残業できる会社という意味である。著者は、このブラックな働き方で人の3倍働き、成果を出した。
著者の主張に異論はないが、それをブラックな働き方と表現することには違和感がある。ブラック企業が批判され、働き方改革が推進されることは昭和と比べた大きな進歩である。しかし、ホワイト企業とブラック企業が労働時間の長短だけで判断されることは疑問がある。
働き方改革と称される施策の中には民間で働く人からすると逆に迷惑と感じるものもある。ノー残業デーや8時消灯のような一律の労働時間規制である。これは「今日は勢いに乗っているから9時までぶっ続けで仕事しよう」という働き方の制約になる。これは公務員的な管理の発想で働き方改革を進める弊害である。
働き方改革は本来、自由な働き方を目指すものである。著者の言う「ブラックな働き方」がブラックとは思わない。一方で本当のブラック企業は無駄な出社や対面会議の強要、役割に反する仕事の押し付けなど社員を拘束することをする企業である。そのようなブラック企業で働くことはプラスにならない。本当の意味のブラック企業ならば著者もガムシャラに働いて成果を出せなかっただろう。
本書は最後に「「健康」に気を配るべし」と主張する(199頁以下)。SDGsに取り組む人物らしいサステナブルな価値観である。著者は「お腹を休ます時間を16時間以上確保する」ことを実践している(202頁)。飽食は健康に有害である。食べないことで、消化器官を休ませることができる。
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飲食店の事例から、ビジネスの基本的なことを学べる本です。
会社は大きい方がよいというわけではなく、小さな会社、お店でも、成功している事例は実は多いものです。
ビジネスの基本をちゃんと押さえていれば、経営資源が少なくても、十分にやっていけることを、焼き鳥屋の事例から教えてくれます。
著者自身がその事例をどう生かしたかも紹介されていますので、生きたノウハウとしても得られるものは多そうです。
これから起業する方も含め、多くのビジネスパーソンが悩みの解決のヒントをもらえる1冊ではないでしょうか。
【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
「お客様に満足していただくには、伝えられた条件だけでなく、表れていない『隠れたニーズ』をいかに見抜くかが重要。そのためには、お客様のことをよく知る。まずは共有の話題を探してきっかけとすると、徐々に心を開いて、新たなことを教えてくれる。」
→まずは相手のことをよく知る。わかっていても、最初は緊張もあって、なかなか自己開示できないこともよくあります。次に会う機会を作れると、隠れたニーズが出てくる可能性は上がります。
「自分の独自ノウハウをきちんと蓄積していく。自分のためだけでなく、伝授することで育成もできる。普段行っていることを書き出してみて、客観的に見直すと、独自の工夫が見つかる。意識的にそれを実践し、改良するうちに、立派な『独自ノウハウ』になる。」
「ノウハウはアウトプットで磨かれる。人に伝えようとすると、感覚的にやっていたことも言葉にして説明しないといけないので、そこで自分のノウハウに気づくことも多い。伝えた相手がうまくできなければ、改善方法を考えるきっかけになる。」
→アウトプットしてみると、自分が当たり前と思っていたことが、人にとってはとても難しいことだったとわかることはよくあります。それが自分の強みであり、生かすべきチャンスでもあります。
【もう少し詳しい内容の覚え書き】
○繁盛のためのルール
・「自分のビジネスを回していくために、頼れるお客様が何人必要か」ということをきちんと意識しているビジネスパーソンは、意外と少ないのでは。意識すると、必要なリピート客の数がわかり、それを確保するための営業活動につながる。(常連に電話して呼んでいた)
・お客様と、単なるビジネスでの関係性以上のものを築くことは、ビジネスの場においても優位に働く。頼ることで、「お客様以上」の関係を築ける。(年末の大掃除に常連を動員していた)
・お客様を飽きさせない工夫はどんなビジネスにも大事。いつも同じことをしていては飽きられる。(自店以外の商品を予約販売して、お客様を楽しませていた)
○「仕事選び」の教え
・人によって価値観や考え方は違うし、人の数だけ仕事選びの基準があっていいが、業界の平均年収は調べておきたい。生きていくため、満足できる生活をするためには、ある程度のお金は必要。(羽振りのいいお客様は、業種が偏っていた)
・原価率が低ければ、お店は意外としぶとく生き残る。最初の固定費を多くでき��一等地でお店を持つこともできる。リピーターを一定数確保できれば、集客コストもそれほどかけなくて済む。
・ビジネスは「今」だけでなく、先に何が必要なのかを総合的に判断しつつ先見の明を持ち、世の中の需要がどう動くかを見極めることが大事。公的団体が調べた「統計」を使い、専門家が将来を予測した資料がネットで簡単に入手できる。予測に活用しない手はない。
○「コミュニケーション」の教え
・仕事をしていれば不機嫌になったり、怒りを覚えたりすることもあるが、その雰囲気を出すと、周りの失敗が増える。グッと堪え、笑顔を心がけると好転する。自分の大切な人が今の自分を見たらどう思いそうか考えてみるとよい。(店主は常に笑顔だった)
・お客様に満足していただくには、伝えられた条件だけでなく、表れていない「隠れたニーズ」をいかに見抜くかが重要。そのためには、お客様のことをよく知る。まずは共有の話題を探してきっかけとすると、徐々に心を開いて、新たなことを教えてくれる。
・「人のやりたがらないこと、困っていること、苦手なこと」を代わりにやってあげることで感謝され、報酬を得るのはビジネスの基本。そうした視点で自分から仕事を探す能力を磨きたい。(大掃除させる中で、お客様同士の交流を深めていた)
・紹介のお客様は、一見のお客様より確実性が高い。紹介してくれる人脈を作るためには、まず自分が「お互い様」の精神でお客様を紹介する。自分の組織以外の人との交流を持つことも重要。(お店主催のイベントで常連同士が交流し、一種の異業種交流会になっていた)
○「自己研鑽」の教え
・自分の独自ノウハウをきちんと蓄積していく。自分のためだけでなく、伝授することで育成もできる。普段行っていることを書き出してみて、客観的に見直すと、独自の工夫が見つかる。意識的にそれを実践し、改良するうちに、立派な「独自ノウハウ」になる。
・ノウハウはアウトプットで磨かれる。人に伝えようとすると、感覚的にやっていたことも言葉にして説明しないといけないので、そこで自分のノウハウに気づくことも多い。伝えた相手がうまくできなければ、改善方法を考えるきっかけになる。
・自分より優れていそうな多くの方に会うと、その中からお手本にできそうな人が何人かは出てくる。周りにいる仲のいい5人の年収の平均が自分の年収と言われる。お金を払ってセミナーに参加する形なら、比較的実行しやすい。
○「自己管理」の教え
・人は頼られると実は嬉しいと感じる。すべての面で自分が優れている必要はない。得意なことは頼り合い、苦手なことはフォローし合うと「強いチーム」になる。(店独自のルールを新しい客に教えるのを、常連に任せていたことがあった)
・現状に満足することなく、常に次のステップに進むことを考えるチャレンジ精神を失ってはいけない。「このままでいい」とチャレンジをやめてしまうと、後は時代に置いていかれて衰退する。(大将は焼き鳥屋を始めるまで、様々な職業を経ていた)
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私は人間として大切なことは居酒屋やスナックのママさんに教わりました(^-^) 1976年生まれの玉岡一央さんは、吉祥寺、ハーモニカ横丁で焼き鳥屋を35年間営み続けた父親や常連さんから無意識にビジネスで大切なことを学んだそうです。「ビジネスで大切なことはみんな吉祥寺の焼き鳥屋で教わった」、2023.3発行。内容は、店を繁盛させたルールを序に、仕事選び、コミュニケーション、自己研鑽、自己管理の4つの教えです。
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面白くて読みやすかった!3日ほどで一気読みできた!ビジネスをやる人、これからやろうとする人におすすめ!
お客様との信頼関係、見極め、相手のことを知って
コミュニケーションを取るからこそリピートが増える!
そして、原価率がいい仕事なら1000万円近くを達成できるから、
原価率×リピートが大事だなと思った
常にチャレンジ精神を常に持ち続ける。
時代は変わりゆく、諸行無常。
だから常に変化を恐れず、挑戦していくことが
常に繁盛する秘訣。このままでいいと考えたら試合終了。進化をやめれば衰退するのみ
現状に満足することなく、常に次のステップへ進むことを考える、チャレンジ精神を失ってはいけない!
メモ書き↓
仕事が順調に進み昇進や昇給をしていくとどんどん忙しくなっていく。すると運動不足になりがち。残業が増えれば食事や生活リズムも乱れがちになる。
お酒の付き合いも増える
最近元気で過ごせていますか?
体のだるさが抜けなかったり、慢性的な不調を抱えていないでしょうか?
いくら仕事が充実していてもそんな生活をしていては長続きしず体を壊してしまいます。
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著者は父が経営する焼き鳥屋を小学生の頃から手伝いをしていたが、そこで学んだ経営手法、人間関係の構築と上手く頼る方法が紹介されています。
確かに参考になる部分があったので、実践してみようと思いました。
① 全ては「相手を知ること」から始まる。お客様は欲しいものを素直に教えてくれるとは限らない。
② セミナーに参加して、師匠を見つける。「会社員としか付き合わなかったら、会社員の感覚から抜け出せない。経営者を目指すなら、少し背伸びをして経営者グループに入る」
③ 自分が頑張れば、周りはついて来てくれる」と考えるのは、単なるエゴ。