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ダマシオの本に引き続きの感じ。意識のメカニズムの解明は機械脳をつなぐことでしか達成できないと。意識は主観だから確かにそうなるか。あと生成モデルを知れて良かった。自由意志の問題も改めて理解が深まった。トレーニングされた脳の自動的な判断を、自分で決めたと気持ちよく錯覚させてくれる、そんな脳のこと
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「未来のどこかの時点では必ず人間の意識を機械に移植することが可能になる。」をテーゼに脳神経科学者の立場で脳の基本的な仕組みの解説から、様々な実験結果を丁重に解説していき、ディープラーニングや哲学なども含めて、テーゼの可能性を検証する。ややもすると冗長な感じも受けましたが、真面目に科学する姿勢とはこういうことなのだなととても勉強になりました。また、我々は自由意志を持たない方向に議論が向かいつつあるとしながらも前野隆司教授の「受動意識仮説」に触れていないところが少し気になりました。
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人間はニューロンの集合体に過ぎない。
だとすると、人間の意識は、機械に移すことが出来るのではないか。
非常に知的好奇心をくすぐられる内容だった。
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結構難しかったので整理しながら読むといいと思う。最初から3章までは視覚に関する脳の機能を中心に様々な実験を通して脳科学的に意識の存在をどう研究するかについて述べている。時折出てくる研究とはなんたるかについての記述が面白かった。4章以降は意識を人工的に再現することについて迫っている。前半は前半で脳の具体的な話を一つずつ追う必要があるので難しかったが、後半は意識とは何かについて抽象的な話が展開されるのでさらにわかりにくい。だけどそのぶん読み応えが大きく、また初めて触れる分野だったのでとても面白かった。
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私のようなに脳の処理能力の低いものにはなかなか難解な内容であった。が・・・
機械処理としての脳は、例えば水車小屋に比べれば格段に複雑であるものの解明可能であるが、客観的に解明ができたとしても、脳の主観には一歩も近づかない、という考えには目からうろこが落ちる。この問題が分かれば機械に意識を宿らせることもできるかもしれないし、既に宿っていることが分かる!?かもしれない。そもそも科学的なアプローチでこの問題を解明できるのか、も分からない。そのような中でも、果敢にこの問題に挑戦している筆者をはじめとする研究者に、エールを送りたくなる。
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知覚には遅れがあり、それが物理的感覚とのずれを生じさせる。これが意識の過去と未来の関係性に大きな影響を及ぼす。例えば、バッターが160kmの球を打つとき、その時およそ0.4秒で到達し、知覚には0.5秒の遅れが生じるから、この球を打つという命令をしたのは何なのかという問題が出てくる。つまり、意思を司る何かがあるのではないかということだ。
意識の本質は、脳の客観と主観の境界にあると述べられている。脳の客観とは、三人称的に物が見えるという意識のメカニズムであり、脳の主観は、なぜ、物が見えるという意識(クオリア)が生まれるのかということだ。
この本質に迫っていきたいが、そもそも科学というのは客観性を証明することが宿命であり、意識という主観を客観性で証明するのは、困難だという。ゆえに、既存の科学から逸脱したアプローチで取り組むべきか、それとも従来の客観的なアプローチでいくべきかはわからないそうだ。
決定論カオスによる因果性の網はとても興味深い。
最後に、人の意識を機械に送るときに重要となるポイントは、自分というものが何者なのかを知覚し、そしてそれ以前の記憶が存在するのかということだ。
脳科学の分野の発展は著しく、読んでいてとてもワクワクしたが、倫理的な問題もかなりあると思う。
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脳に意識が立ち上る現象も解明できていないなか、機械の意識を論じる大胆な論考に興味を持った。
外界からの情報をもとに、眼で見えて感じている世界は脳内現象である、と理解していても、不思議さの謎の解明には一歩も近づけない。しかしながら、睡眠中みたいに外界から遮断された状態でも見る夢のリアリティーに溢れた映像を思うと、脳内現象という理解は深まる。本書で言及されている、脳の半球と厳密に接続された機械の半球(残り半分の代替)が可能であれば、機械には意識が宿ったといえるのか、という奇想天外な発想には驚かされた。
それにしても、そもそも脳で発生する意識が進化の過程で、どのように獲得されたのか、謎は尽きずに、消化不良気味で読み終わる。
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脳科学のうち、特に意識・クオリアの概念とそれについての科学的な研究、また最後には人間の脳と機械とを繋く構想が述べられている。
レイ・カーツワイルのシンギュラリティでも述べられていた生理学的な脳を機械に徐々に置き換えていく発想のもとになっている議論の系譜を知ることができた。
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第1章 意識の不思議
我思う、ゆえにわれあり
意識を極限まで還元したもの=クオリア
視覚世界は虚構の世界
あなたはニューロンの塊にすぎない
第2章 脳に意識の幻を追って
意識に連動する脳活動
ブル・嫉妬
ホムンクルスの無限後退
第3章 実験的意識研究の切り札 操作実験
第4章 意識の自然則とどう向き合うか
神経回路網としての脳
意識のハード・プロブレム
アナリシス・バイ・シンセシス
第5章 意識は情報か、アルゴリズムか
チューマーズの情報の二相理論
脳の中の仮想現実
リハビリも可能な脳の身体シミュレーター
終章 脳の意識と機械の意識
ブレイン・マシン・インターフェイスの展望
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90年代以降の脳科学の進展をよく解説してくれています。前半は基礎的な解説が多いですが、それらを踏まえて後半になると、機械でつくった脳半球と人間の脳半球を接合する構想などが登場。なんとサイバーパンクな!
絵空事としてではなく、工学者でありながら脳の解剖学的構造や生理に真正面から取り組んでこられた科学者としての本気の考察で、とてもエキサイティング。
意識にのぼる前に体が勝手に反応しているスポーツ選手の脳内で起こっていることなども本書で説明されていて、自動車を運転している時の危険回避の自分の体験などとも通ずるものを感じました。
自分としては90年代は脳関係の本をずいぶん読んでいましたが、その後の脳科学を本書で概観することもできて、とても面白かったです。
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プロ野球ピッチャーの豪速球を打ち返す場合、投げてからバッターに到達する時間0.4秒より、脳内の感覚伝達時間0.5秒のほうが長く、意識して打っていたのでは間に合わない。
ここに意思はあるのか?など不思議に思える科学の知見に驚く。機械に人間の意識を移植するとなるとマッドサイエンスにも思えてくる。
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門外漢の私には難しい点はあったが、意識とは何か?をいかに科学者が解き明かしているかを丁寧にまとめてくれている本。この先、AIやシンギュラリティ論がどう進むか、そしてどのように社会実装されるかの根底にある研究たち。
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脳科学、詳しく言うと、その中でも「意識」の研究にフォーカスを当てた本。
脳の働きは電気信号で、視覚は、聴覚はどのように処理されて、といったようなことは少しずつ明らかになる現代ですが、その中でも未だ謎に包まれている「意識」。見えることではなく、「見えた」というこの感覚。これはどこからくるのか。
「意識」という神秘的で主観的な現象に立ち向かう難しさと面白さをたっぷり味わうことができました。
生物は中学生レベルの理科までしか勉強していませんでしたが、生物の知識には困ることなく読み進めることができました。
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脳の話の勉強にもなるし、想像たくましく且つその分野の専門家による楽しい未来予想の世界を見せてもらえたのはすごくよかった。
科学には夢があるけど、科学の持つ条件の「客観性」でどうやって主観である意識を観測するかという問題は、科学の在り方を一段階アップデートするものになる、という話も印象的。
ブレードランナーが出てきたのにはなんともいえない親しみを覚えた。
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混みいった内容もありましたが、全体を通してとてもエキサイティングな内容でした。
まず1章では、脳の情報処理のメカニズムについて述べられています。
次に、2章で両眼視野闘争を例に出し、感覚器に入力されている=意識に上る、という訳ではないことを説明します。また、視覚野のどの箇所が意識に上るかどうかに連動して応答が変化するのかを調べた研究で、低次の視覚野よりも高次の視覚野の方が意識と関連しているニューロンが多いと述べられています。
3章では、操作実験(脳に刺激を与えるような実験)を利用して、NCC(意識の生成に必要な脳領域)を特定する研究について述べます。
4章では、主観的な経験である意識の、満たすべき要請(物理学で言うところの運動方程式やシュレーディンガー方程式)を明らかにする難しさについて述べられる。それでも、意識の自然則を実験により検証可能にする方法について議論がなされます(むしろ実証&反証可能性がなければ科学的な要請とは呼べないとも述べられている)。
5章では、統合情報理論のような情報(の統合)を意識であるとする理論と、情報処理のアルゴリズム自体が意識の担い手であるという2つの仮説について述べられています。なお、著者は後者の、特に脳内の生成モデルを意識の担い手として妥当だと考えているそうです。
終章では、脳と機械を繋いで機械に意識をアップロードするというSFチックな話が最後に著者の夢として語られます。
また、本書の趣旨とは逸れますが、fMRIがニューロンの入力信号を、電気生理実験でのスパイクが出力を反映しており、これらの結果を単純比較することができない場合があると言うのは面白かったです。また、統合情報理論の説明も分かりやすく、勉強になりました(説明例:2つのニューロンが同時発火した時に得られる情報量がそれぞれの単独での発火の際に得られる情報量の和よりも大きいとき、情報が統合されている状態であり、意識が存在する)。