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サステナビリティ情報開示に関して過去からの変遷、各論点についてかなり詳しくまとめられている。網羅的にこのテーマについて学びたい復習したい人におすすめ
以下メモ
◯第一章: サステナビリティ情報開示の歴史
ISSBに統合されてきてはいるものの、EU、アメリカは独自路線を走っており、ISSBがグローバルでのスタンダードとしてどの水準に落ち着くかはまだ見えていない。実際気候変動がようやく進んでいるレベルでEUからは遅れているように見える。
◯第三章: 統合報告書の進化と課題
・日本の統合報告書発行企業数は年々増加しているが、現状アニュアルレポートをベースに手探りで統合思考を取り入れており、統合思考の入れ方がふじゅうるんであったり、国際統合報告のフレームワークに則っていなかったり、開示内容には課題がある。
・投資家が求めてる情報とは将来利益を予想するのに必要な情報。DCF観点から考えれば、特に将来キャッシュフローやその成長率を向上させる取り組み、また不確実性を下げることで割引率を下げる内容。
・企業価値との関連を示すには、時間軸と定量化が重要
・統合報告書の表彰
https://wici-global.com/index_ja/event/integrated_report_award/
https://ps.nikkei.com/nira/result22.html
https://www.gpif.go.jp/esg-stw/20230222_integration_report.pdf
◯IRの課題
・効果測定指標でよく使われているのは株主構成
◯第八章: サステナガバナンス改革の行方
・日本のコーポレートガバナンスは、取締役会が個別業務執行の意思決定を行うマネジメント型が主流、取締役執行役という肩書きがこれを示す、取締役と執行役が重複
・欧米型のモニタリング型はCEO CFOなどを除き取締役会と執行役メンバーが重複なく構成され、前者は独立社外取が多数を占め、執行メンバーには大幅な権限委譲を行う。取締役会では複数の専門委員会を設置して各委員が監督指針を策定して重点的に議論監督をする
◯第九章: ESGスコア
・情報収集の労力を下げるためニーズが強い
・銘柄選定に活用される、GPIFは日本企業のESG評価の底上げをするため、FTES Blossom Japan index, MECIジャパン, MSCI日本株女性活躍指数を選定している。
・指標によって評価が分かれることもある、例えばテスラで、MSCIは製品であるEVからのCO2に注目したため高く評価し、FTSEはこれを無視して工場からの排出量のみ見たため低く評価した。それでも評価機関の多様性がこれをカバーしているとも考えられる。
◯第十章: 企業と投資家のギャップ
・なぜサステナビリティの取り組みが重要かについて、企業の存続性を見るため、成長機会をみるため、については8割双方一致、投資家が重視してないのは、企業の社会的責任を明確にするため、倫理的道徳的といった点、ルールやプロセス遵守のためといった部分は投資家があまり重要視していない、一方投資家が重視しているのはリスクの所在、経営者の能力を可視化するためといった内容
・独立社外取と投資家の対話が進まないという課題がある、理由として投資家からの要請がないが筆頭に来ており、上場企業が多い中で、リソースが裂けないことや、独立社外取りへのあいかたがわからないといった投資家サイドの課題もある。また独立社外取に負担をかける、という忖度の賜物のような理由も挙がっている。