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ジェントリフィケーション、ソーシャル・クレンジングあまり聞いたことがない単語
住む家を無くしたシングルマザー。
格差を感じ、複雑な気分になった。
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ブレイディみかこさんの新作は、2014年に実際に起きた事件(出来事?)を題材にしたフィクションだ。公営の宿泊所を追い出されたシングルマザーたちが、ロンドンで空き家となっていた公営住宅を占拠したというもの。彼女たちはホームレスでもあり、幼い子供を抱えて路上生活をするわけにもいかず、まさに切羽詰まった状態だった。
役人や政治家は杓子定規なことしか言わないのはどこの国も同じだ。そんな彼らに、社会の底辺にいるもっとも弱い立場の彼女たちが一矢報いるのは爽快だ。
運動は共感を呼び、多くの支援者たちに支えられる。このあたりの描写は感動的だった。
ただ、小説としては弱いかな。事実の重みは十分伝わってくるけれど、小説である必要があまり感じられなかった。
NetGalleyにて読了。
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うう、ブレイディみかこ節効いてる。ノンフィクションのようなフィクションだった。本当にあったお話をベースに書かれているようで、リアル。いつも書かれているエッセイもいいけれど、こんな話も良いな。セリフが刺さった。
p.35 人間だからだよ。私ら、見つけたみたいに、お上の都合であっちこっちに行かされて、いつまでも小突き回されるだけで良いわけがない。生活保護を受けていようが、ホームレスだろうが、私らだって人間なんだ」
p.55 だって、誰かが何かを始めないと、誰かが戦わないと、何も変わらないだろう。いつまでたっても同じことの繰り返しで、何も変わらない。それでいいわけないだろ。
p.207 貧しいということは、単にお金がないと言うことだけでは無いからだ。それは、それが理由で他の多くのものまで奪われてしまっている状況だ。今知っていること以上の何かを教わる機会や、こことは違う新しい環境に出会うチャンス。自分に対する自信とか、明日や明後日の生活への安心とか、他人を信頼する勇気。ドロシーが靴を片方奪われたように、私たちは片方しかない。靴で歩いてきたのも同然なのかもしれない。
ジェイドの父親はいつもつま先が破れた靴を履いていた。
父親壊してしまったのは、生活保護で生活していることに対する恥の意識だった。そして、それに追い打ちをかけるように冷たくなっていた。近所の人々の視線。貧しいことや、体を壊して働けなくなった事は、ふんであって、恥だと思うべき罪ではないのに、父親は家族やテレビで喋っている人に毒好きながら、本当は自分自身を罵倒していた。社会の役に立てなくなった。脳無しだと自分で自分を差別し、ゆっくり殺そうとしていた。根腐れして枯れていく大木のように、ずっとテレビの前に座っていた。父の後ろ姿が浮かんだ。尊厳だ、と思った。あの後ろ姿が剥奪されたものは人間の尊厳だったのだ。
少しばかりのリスペクト。それを勝ち取るためにジェイドは明日、裁判所に立つ。リスペクトもないところに尊厳は無いから。尊厳のないところで人は生きられないから。
p.213 「今、いきなり彼女が尊厳とか言うので、…ちょっと考えたんですけど、私たちがロージズっていう名前を名乗ったのも、そういうことだったんだと思います。薔薇は人の尊厳を尊重する花だから。住まいは人の尊厳です。ねぐらのないに人々に住まいを与える事は、人間の尊厳を守ること。人は誰だって安全で温かい場所で、眠り、子を育てる権利があるんだと信じること。区長だろうと誰だろうと、この薔薇を踏みつける事は許されません。戦ってきます」
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ジェントリフィケーションという言葉を初めて知りました。ブレイディみかこさんの作品を読むと、初めて目にする言葉が毎度あります。その後はよく耳にするようになる気がしますが、知らなかっただけで情報を受け取ることができていなかったのだと思います。
リアルな社会問題の描写も軽妙な語りなので、スルッと入ってきます。
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ロンドンオリンピックの影で住むところを追い出されたシングルマザー達が使われていない公営住宅を占拠し、自分達の権利を主張し戦っていく物語。
この本を読んでなかったなら知る由もなかっただろうし、凄く勉強になりました。
社会性の強い内容なのでなかなか読み進めなれないだろうなと思っていましたが、史奈子と幸太という日本のジャーナリストが登場してからは拍車が掛かったように面白くなりました。
知らず知らずのうちに自分も社会に支配されているんだなって思ったら怖くなりました。
この物語に出てくる人達の行動力にはリスペクトしかありません。
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本書を読んで、実際にあった「FOCUS E15運動」や「ジェントリフィケーション」という言葉を初めて知りました。
やっぱり良いなぁ、ブレディみかこさん。
勝手に期限を切られ、理不尽な理由で突然退去を迫られたシングルマザーたちの憤りはもっともだと思う。
これは日本も「対岸の火事」じゃないなぁと思いました。
日本は抗議活動自体が海外ほど一般的じゃないし、唯々諾々と従うことの方が圧倒的に多いと思う。
でも本作ではそうじゃない。
理不尽や納得いかないことに声をあげ行動している彼女たちを“すごい!”と思ったし、応援したくなった。
思うところ、考えさせられることがありました。
ブレディさんの作品は読んだ後、いつも心に何かを残していく。
でも、それが良くてまた彼女の文章を読みたくなります。
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住宅を失ったシングルマザー達が社会を動かすお話。実話に基づいてということで、詳細がリアルであり、イギリスの社会問題の一片を感じ取ることができた。住む場所すらない貧困層、保育士の賃金より公営住宅の家賃が上だなんて…と色々思いを馳せながら、日本でも似たようなことが起きているかもしれないよなと、我が身に立ち返ることもした。ブレィディみかこさんは、社会問題に触れながらも読みやすい本が多く、今後の新作にも期待したいと思う。
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イギリスで起こった社会運動の小説化。
ブレイディさんらしいなーと感じる描き方。
「イギリスはこうだよ。で、日本は?」
と問いかけている。
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ノンフィクションのライターである(だった?)ブレイディみかこの小説2作め。ノンフィクションの対象と距離をおいた書き方とは違って、それぞれの人物により迫る書き方が心に残った。若い世代に手にとってほしい。
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ロンドン、予算削減のためホームレス専門ホステルから出て行けと言われた人たちが闘う。2014年に実際にあった事件をもとにした小説。
労働党の緊縮財政批判やアナーキズムなどブレイディみかこらしい作品。ストーリーを楽しむというより社会科学を学ぶ本ぽい。真面目臭さがあまり好みではなくザザッと飛ばして読んだ。
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ブレイディは今話題のブライトンに住んでいるんだよね〜最高❢
リスペクト❢❢
弱い者を守らないといけないときに、初めて人は強くなれる。
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抗議運動って、日本じゃ中々ないので、ピンと来なかったのですが、日本人の女性キャラがいる事で、彼女には感情移入できました。この作者さんの息子さんをネタにしたノンフィクションの方が面白かったです。
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2012年のロンドンオリンピック、緊縮政策の煽りを受け、2014年にロンドンで実際に起こった占拠事件をモデルにした小説。高級マンションに建て替えるために退去を迫られたシングルマザー達が立ち上がり、公営住宅を占拠し、空き家だらけで放置されている公営住宅があるのに、そこに住めずホームレスになるのはおかしいと訴える。
占拠拠点に多くの賛同者が集い、支援物資が集まって必要な人が自由に持ち帰り、できる人が無償で公営住宅の修繕をし、お金を介さない相互扶助、自治機能が働いたことに驚いた。多くの人に理不尽さの訴えを届けることで、自分たちの問題を自分たちで解決していく若いシングルマザー達が爽快で一気に読んだ。
ロンドンで起こった事件のことも、ジェントリフィケーションという言葉も知らなかった。都市の再開発や所得格差によって生じる問題について考えさせられた。高所得者しか住めない都市であっても、生活に密着した産業(小売、交通、育児・介護など)に従事する人は必ず必要で、概して低い給料で働いている人たちが居住できなければ都市機能が成り立たなくなってしまう。
自分をリスペクトできる行動をしていこう。始めは些細なことでも誰かの役に立って周りの世界を少しでもよい未来にできると信じて。
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こんな運動があったことを初めて知った。声をあげること、そしてそれを継続していく事は、大きなエネルギーが要る。生きるために抗う、戦う権利について考えさせられた。自己責任という言葉に誤魔化されてはいけない。
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アレサ・フランクリンの「リスペクト」を聴きながら読み終わった。
2014年、ロンドンで起こった公営住宅占拠事件。ホームレスシェルターを追い出された若いシングルマザーたちが空き家のままになっていた公営住宅を占拠、社会問題となったこの事件をもとにブレイディみかこが「人間の尊厳」を描き出す。
誰もが安心して住む家が欲しい。ただそれだけを求めているのにお上はもっと家賃の安い場所に行け、という。
日本ではそのことに違和感がない。都会は家賃が高いから、もっと家賃の安い不便なところ、あるいは田舎の方に行って住めばいい、と思ってしまう。けれどそれが「当たり前ではない」といことをこの小説を読んで初めて知った気がする。
彼女たちが公営住宅を占拠し始めたとき、元から住んでいる人たちから反感を買うのではないか、という懸念は、働かずに生活保護を受ける人たちに対しての、安い賃金で底辺の暮らしをしている人たちからの妬みと根は同じだ。
けれど彼女たちが公営住宅を占拠したあとたくさんの人たちが集まってきた。それぞれに「持っているもの」を「あげる」ために。
差し入れであったり、技術であったり。食べ物やおもちゃを持ち寄ったり、住めないほど痛んでいるトイレをあっというまに直してくれたり。
何も知らなかった若いママたちの直接行動が直接民主主義の芽を生み出した、そして現在のトップダウンの政治システムがいかに機能していないかということまで暴き出したいったのだ。彼女たちの純粋な気持ちが多くの人や、メディアを動かしていった。そして占拠に対する裁判を迎える。
生活保護を受けることを恥ずかしいと思うこと、その恥によって自分を壊していくこと。そこには人間の尊厳を奪われた背中があるだけなのだ。
彼女たちが手に入れようとしたこと、いや、取り戻そうとしたこと、それは自分への本の少しのRESPECT。
人は誰もが安全で温かいところで眠り安心して子どもを育てる、その当然の権利。
この小説を読むと心の奥底から何かがわきだしてくる。あきらめていた何か、見て見ぬふりしていた何か。そんな何かを取り戻すために、やるかやらないか、ではなく、やるしかないんだ、という熱い気持ち。
ブレイディみかこが日本に住む私たちにぶち投げたこの一冊。確かに受け取った。