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事務職として興味を持ち読んでみました!
毎日、くそどうでも事務仕事に追われ給料をもらっていますが、事務の本質に触れたような気がします。
最後の「事務と愛」って表現は面白いですね。事務に愛を感じたことはないけど、これからは愛をもって仕事に臨みます!
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事務という身近なテーマに興味を惹かれた。
文学作品や作家に焦点を当て、事務との関係性を章立てしながら説く。
文学という一見事務のような形式的で冷たい印象からかけ離れた題材にも、事務らしさから発せられる魅力を垣間見ることができる、事務の深淵さに触れたような心持ちになる。
「注意の規範」というキーワードが提示される。事務は矮小化された部分への注意によって成立する。その徹底により成り立つ作品もあれば、そこからの逸脱が表現される作品もある。事務という基点から考察する作品の魅力に気付かされ、まだ未読なものがほぼだが早速読んでみたいという気持ちになった。
個人的には第4章「ガリヴァー旅行記」の情報処理能力でのあくまで事実をして捉える観察眼、それを通して表現される事務的な冷淡さにおける違和感の考察。と、第11章 事務に敗れた三島由紀夫の豪胆な行動の裏にある時間へのこだわり、父梓との対比。この2章が特に面白く読めた。
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社会人生活と切っても切り離せない「事務」。文学者である著者は、事務を「クソどうでもいいのに倒錯的な愛をかきたてる」ものと表現する。人間味にあふれる事務手続きから世界を考察する、知的好奇心にあふれた一冊。
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事務の持つ権力性や特性について、再発見する良い機会となった。
事務手続きが行われなければ、実務が動かないような近代以降の社会の仕組み。
複数の事務ルールが関連することにより、システムがより複雑化してしまい、ますます事務の力が強くなってしまうこと。
事務文書の非感情的な側面、主観的、客観的な表現。
社会システムが大きく変わらない限り事務は引き続き重要な位置を占め続けると思った。
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事務という切り口から古今東西の書籍を取り上げる評論。
表現的に小難しい嫌いはあるが、名は存じ上げている筆者のスタイルはこうなのかと、より専門書に傾いた物だったら断念していそうな中で読み終えられてひとまず今後の読書の参考にはなった。
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事務のワードに釣られました。宇宙の影の帝国である事務がいかに文学を侵食していったかについて、文系先生(差別とかじゃないです!)による評論です。現国教科書の評論文のところに載っているような感じです(悪口じゃないです!)。
こういう本は久しぶり。良く言えば縦横無尽、反対に、思いつきで大雑把とも感じます。私には難しく、理解困難な感じです。
全12章、1・2章は「夏目漱石と事務」です。漱石ファンは必読でしょう(たぶん)。
3章は、事務と言えば注意力、注意力と言えば発達障害、と展開します。なんか風が吹けば桶屋が儲かるを思い出します(バカにしてません!)。
飛んで、9章エクセル思考で小説を書く、阿部先生はタイトル付けがとってもお上手です(編集者さん?)。
引用261p「エクセルの格子の思想は、小説を支える道の思想と重なるのだ。」
切抜きで申訳ありませんが、奥が深いです。深すぎて私には見えません。まさか!エクセルにこんな思想が隠されていたとは!恐るべし事務帝国。相応の覚悟と鍛錬が必要だと思います。
阿部先生の文章を読んで、内容はイマイチわからずとも、自分が如何に事務的なるものにどっぷり浸かっているかを、感じることができました。
「事務に踊る作家さん」を見たい方、自分がいかに事務に侵食されているかを感じたい方はぜひお読みください。
私はというと、なんか「事務」に踊らされたみたいです。