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家族の温かさ、残酷さ、ままならなさを描いた短編集
どれも単純なハッピーストーリーじゃなくて、ゾワっとしたり、胸が締め付けられたりした
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「ままならない現実を抱えて生きる人たちの6つの物語」
ネオンテトラ
魔王の帰還
ピクニック
花うた
愛を適量
式日
連作短編集、になるのだろうけどそれほど深く繋がってはおらず、最後の短編でそれまでの伏線が回収されるとか、すべての問題が解決してすっきりするとかはない。
そのぶんずしんと重くて深い読みごたえのある本だった。
どれも心に残るけど、とくに花うたが好きだなと思う。
ピクニックはラストがゾクゾク怖かった。
ほかの話もどれも良かった。
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「一筋縄ではいかない」という表現が、そのとおりだと思った。
予想外の結末にはどれも理由があって、それは良いとか悪いとかではなく、登場人物たちの気持ちの強さに起因していた。
なぜそう考えたのか、どう思ったのか、何がそうさせるのか。もちろん読み手に委ねる部分もあるけれど、丁寧に描かれた世界が、ありきたりな言葉で語ることをためらわせる。
マンションや家の窓の灯りを見るのが昔から好きで、誰もがそれぞれの今日という日を生きているんだと感じて、だけどその向こうに広がる世界がこんなにも生々しく、色濃く、ままならないと、私はどれだけ想像できていただろうか。
とはいえ、わかりやすい正義の話が好きな私は、「魔王の帰還」に心が震えた。
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どれも甲乙つけ難いが「魔王の帰還」が一番好き。あと、短編集での楽しみの一つである各々の話でのリンクは気づかなくても楽しめるが、見つけられるとより面白さが増す仕掛けになっている。これには作者に感心するしかない。
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人は皆、苦しくて苦しくてもがいてる。そんななかでも何とかしようと苛立ち、諦めや希望を見出し進んでいく。
心の揺らぎに静かに寄り添っていく物語だった。
読み終わったあと、明日も少し頑張っていこうと思えるような一冊。
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話題の本ということで手に取ってみた。初めて読む作家さんだったので先入観もなかったのだけど、一作目の「ネオンテトラ」から衝撃的だった。普通に年の離れた二人が心を通わしていくものと思っていたら、、、転換の大きさに恐怖さえ感じた。でも嫌なものでなく感じてしまったのは人間本来の残酷性なのかもしれない。いきなり揺さぶられた。
「花うた」
この二人も奇妙すぎる関係性。兄を殺された被害者と加害者の手紙のやりとりが少しずつ親密になっていくのだが、普通は常識では考えられないのだけど、それが不自然じゃなく理解できてくる。秋生の手紙の文面の変化も興味深い。
「ピクニック」
オカルト的な結末、ホラーなのかも。幸せな生活に戻ろうとしていたところへ忍び寄る次起こりよるかもしれない悲劇。怖い。
「愛を適量」
こちらも不器用な親子の関係。長年離れていた二人が何となく寄り添ってきてのかなというところでいきなりの裏切り感。親父に共感しつつあった自分としても辛かった。その後の謝罪と愛情が佳澄に伝わっていたらいいな。
「魔王の帰還」
作中唯一、穏やかに読めたかも。決してハッピーエンドとは言えないのかもだけど、ストレートに前向きに感じた。
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どこかの家族の小さな世界の物語。
6つの短編と1つの掌編。
登場する家族はどれも歪で、時には少し息苦しいような気持ちにもなります。でも、美しい筆致で紡がれた物語の読後感は決して悪くありません。
それぞれのお話はミステリ的だったり爽やかだったり少し怖かったり……どれも違う読み味なのですが、どのお話も登場人物の心の機微がわかるようで良かったです。
一穂ミチ先生の他の作品も読みたくなりました。
どこか心細いような、それでいて一筋の光がさすような不思議な感覚でした。
私のお気に入りは「魔王の帰還」です。
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星のあさつきの夜?よいのあけぼの、かいわれでにくがんでも、しかやとらや、わし?いずみ!なかいきっすい?のう、たんをなかいきっついよりいの、よりい、たんかあにがうりより、たがやたひかやをみらら、みりびりでも、たんのう、しやしやりき、こ?とれいゆ?とれものおん?はくちようざのでねぶかいだわはし、かいらきおん、おぼゆるる、みきき、はいのはいしんでれらは、もうねむらない、ぞくちようをみつめ、ゆるめるおとと、てんぐわわとうがらしこえだまらっしやいへくそ、せたがわらかわらでぽんはんざいみえたよ!やまねくんにもしかよりしがんさついにみえた
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よくあるどんでん返しではない、少しゾクっとするような展開の話が多く、非常に引き込まれた。
あまり前情報がなく読み始めたけれど、この本は友達にもおすすめしたい。
退屈した話はひとつもなかったです。
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短編集すべて今までに味わったことのないような、良い意味でズシッと重たいものを感じました。
ただ感動したとかそういう言葉では済まされないような感覚です。解説の辻村深月さんが言っているように、「旅」を終えた感がありました。
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(受け取ったメッセージ)
人と人との摩擦。
そこには、怖さ、因縁、再認識、運命、素晴らしさ、知らないところでいろんな繋がり方があって、回り回っていて、私もその一部にいることを感じた。
(あらすじ)*ネタバレあり*
⚫︎ネオンテトラ
ミステリー調。叔母と姪。叔母はめいに赤ちゃんを産ませる計画に至る。最終話と繋がる。
⚫︎魔王の帰還
姉と弟。すごく体の大きい姉。心温まる、笑いもある話。最後はいつも助けられていた弟が、温かく姉を見守る。
⚫︎ピクニック
短編ホラー。可愛らしい語り手はだれ?
誰が妹を殺してしまった?負の連鎖がおきるのか?
⚫︎花うた
ミステリー調。たった1人の兄を殺された妹。犯人との手紙のやり取り。感動的。
⚫︎愛を適量
うだつのあがらない高校教師54歳。娘は息子になった。身綺麗にするようアドバイスされる。「適量じゃなくても、いいときがある。叶うことのない祈りなら、あふれても大丈夫だった」「そして叶わない願いが無力だとは思わない」
⚫︎式典日
先輩、後輩の話。後輩は大人になった1話目のしょういち。しょういちの父が自殺し、先輩は葬儀に行く。
2022年本屋大賞第3位
第43回吉川英治文学新人賞受賞!
(感想)
一つ一つ、テイストの違う感じで楽しめた。一穂さん一人がこれらを書いていることに感服。普段読書しない人におすすめしたい一冊。
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怖い話が多かった、言葉でうまく表せないモヤッとした感じをすごいうまく表現される作家さんだな、と思った
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大好きな辻村深月さんのおすすめということで、久しぶりに新しい作家さんの本を手に取りました。
読み始めから読了まであっという間でした。
7つの物語それぞれが違った作風で、一穂ミチさんの引き出しの多さに驚きました。
彼女の描く物語は一筋縄ではいかない。という辻村さんの解説に同意します。いわゆる良いお話、物語のセオリーに則った作品では終わらない。登場人物も、良い人/悪い人、豊かな人/貧しい人といった二分した描かれ方でなく、その人が抱える矛盾や表裏一体な感情が繊細に描写してありました。
人の心の機微をこんなにも上手に伝えられる作家さんは他にいるでしょうか。
7つのお話の中で、お気に入りは魔王の帰還です。
登場人物の真央が、自分と重なったからです。私にも年の離れた弟がいます。弟は私が守ってあげなくてはいけない、折り鶴の折り方から物事の良し悪しまで全部、自分が教えてあげなくてはいけない、小さい頃からそう思ってきました。でもこのお話を読んで、私という盾の裏で、きっと思っている以上に弟も成長しているのかもしれないな。この先もっと大人になったら、いつか弟が大きく見える時があるのかもしれないな。と思いました。
7作品全てに心揺さぶられました。日々の研究生活で廃れた心が洗い流される、そんなふうに感じました。本屋さんの平積みから、素敵な作家さんに出会えたことを幸運に思います。
2023.10.21 ぱりん記録用
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一穂ミチさんの名は本屋大賞と直木賞のノミネートで知り、作品を読むのは初めて。軽く流すつもりで手に取った一冊は、良い意味で予想を裏切る内容だった。可笑しくも切なく、残酷だけれど慈愛に満ちてもいる…解説の辻村さんも言っているように「一筋縄でいかない」6つの家族の物語。それぞれ読み味の異なるテイストで、重いテーマを含み、衝撃の展開もあったり、心揺さぶられた。ちなみに各話の繋がりは、注意深く読まないと気付かないようなものもある。凪良ゆうさんもそうだが、心の機微の描写の素晴らしさはBL出身ならでは、と言うべきなのだろうか。これからも注目していきたい作家さんではある。
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青山美智子さん、小川糸さん、原田ひ香さん的な
ホッコリした系だと思っていましたが
想像していたより重い…
サクサクと一気には読めず、
ページ数の割に時間がかかりました。
ピクニックが結構お気に入りです。
次に一穂ミチさんの本を読むときは、
事前に覚悟をして読みます。
お薦めするかというと、
人を選ぶかな。