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直木賞の候補にもなった芦沢央のミステリ短編集。
ほんの些細なきっかけで抱える事になった秘密から、保身や猜疑心に蝕まれ、気がつけば取返しのつかない立場になってしまった主人公たちを描く5編の短編集です。
芦沢央の「ちょっと毒」な感じ満載で、私的には楽しく読みましたが。好みは・・・分かれるかもです(^_^;)
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インスタで見かけて気になっていた本。とにかく運のない不幸中の不幸をかき集めたような短編集。ジャンルとしてはミステリーらしいけど分類し辛そう。早めに謝れば済んでいたこと、正直に話していれば拗れなかったこと…遅いと気付いた時にはもう取り返しがつかないぐらい追い込まれているし、どれも現実でも起きてそう。保身や私利私欲が拗れに拗れていく内容で読んでてじわじわ息苦しくなってきたし「うわー!もうやめてー!」ってむしゃくしゃした。プールの水を流しっぱなしにした教員の話の「埋め合わせ」が特に面白かった、あと元恋人を見返したい料理研究家の話のミモザが特に胸糞悪かった。弱みや秘密は人に見せるもんじゃないな。あれ?人に相談して解決することってもしかして少ないんじゃないか?って疑心暗鬼になりそう。小さなミスや誤解を招きそうなことは早めに報告しようと痛感するしなんか自らを戒めれそうな本だった。
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「悪いことをしたから悪いことが起こるとは限らないんだよ」(-引用-)
まさに。少しのはずみ、少しの行き違い、少しの事から悪いことが始まった。
日常に潜む魔とでもいうのか。
じわりじわりと後味が追いかけてくる。
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「いやぁもうやめとけよぉ」と心の中で何度も叫びました。いやぁな感じでずっと物語が進んでいきましたが、読後は面白かっなあとスッキリしました。
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イヤなミステリー短編集です(読書初心者で表現が合っているかわかりません。。)。
自分でもやらかしてしまいそうな、むしろ過去に何度かはやってしまったことがある思い出したくない経験を文書化されて、恥ずかしくて情けなくて心臓がバクバクしました。
しかし、この読後感がとても好きです。
素直な人物でありたいです。
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今もどこかでこの不快な出来事が起きていそう…
そう思わせるほど身近に忍び寄る不気味さを感じた。
うまくいったと思ったのに、もうやめて!と願わずにはいられない。
最後の「悪いことをしたから悪いことが起きるとは限らないんだよ」に全てが詰まっている。
派手な恐怖を演出するような話はないのに、冷や汗をかくような読了感。その中にある微かなやるせ無さや優しさが余計にこの物語に深みを産んでいるように思った。
すぐに手を拭いていれば、拭くべき場所で拭いていれば「洗濯すればいいよ」と周りもすんなり許してくれたのではないだろうか…。
あらすじメモ
"保身や油断、猜疑心や傲慢。
内部から毒に蝕まれ、
気がつけば取返しのつかない場所に立ち尽くしている自分に気づく。
凶器のように研ぎ澄まされた“取扱い注意”の傑作短編集。"
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こうした隠しておきたいのに忘れたいのに忘れられない、後味の悪い話が好き。特に好きなのは「忘却」と「ミモザ」。結局その3千円と督促状の3千円は別物だし、1ミリでも隣人の死に自分が関わってしまっていることも変わらない。後味の悪さは消えない。
「悪いことをしたから悪いことが起きるとは限らないんだよ」確かにそうだと思うことばっかりだけど、悪いことをしてない人なんていないから、何かの因果応報でこの出来事は起こったのでは、とネガティブな私は考えてしまう。それぞれは全く別の事象で関係などないのだけれど。
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現代版『罪と罰』と言っても過言ではない。
リアルすぎて、主人公に感情移入してしまう。決してわざと悪さを働こうと企んでいたわけではない。一番怖いと思ったのは、誰もが抱く感情が元となって人生が破滅に向かう過程を見事に描いている。その感情とは、自己保身したい気持ち、臭いものに蓋をしたい気持ち、黙っていればわからないだろうという気持ち、そして過去の恋愛を思い出すこと、、、これらの感情を抱かない人がいるだろうか。
まるで悪夢を見ているような、夢と現実の境がわからなくなるような読後感。
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本当に本当に些細な引っ掛かり。
それを突き詰めて、見えてきた真実がゾワゾワするけれどおもしろい。
読んでいて一緒に「もうやめてくれ!」と叫びたくなるスリルと、それでも見たくなるおもしろさに大満足。
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相手を都合よく考えすぎたり、
自分で勝手に思い過ごしてしまったりして、
現実を見失ったり、
誤解したりする物語でした。
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どれも現実離れしすぎていない、人間の醜い生々しさがあった。
汚れた手。
自分の手が汚れていると思ったら、対峙している相手の手も汚れていて、自分の手以上に、相手のそれに対しては気持ち悪い、嫌悪感が込み上げてくる。
宝くじが当たって、自分は特別だと思い込んでいる偏屈な父親に、そうじゃないと知らしめる娘。「ただ、運が悪かっただけ」
会社で起こした重大なミスを隠蔽しようとして、狡猾な同僚の罠に嵌る男。「埋め合わせ」
電気代督促状が間違えて配達されているのを隣人の老人に伝え忘れ、送電停止で死んでしまったことに罪悪感を抱く主人公が、実は老人から盗電されていたとわかる話。「忘却」
自分の映画を公開するために誤って出演者を殺害し、隠蔽偽装工作を企てる無名の映画監督。「お蔵入り」
料理研究家として地位を築いた女性が、元不倫相手に恐喝される話。「ミモザ」
とくに料理研究家の話「ミモザ」が好き。
何者でもなかった10代の小娘の頃に好きだった、大人で仕事ができる魅力的な職場の男性(既婚者)
に再会し、彼の落ちぶれた姿にちょっとした優越感が現れる。
自分にもあるからよく分かる。憧れからくる好きって、羨望と紙一重で、たぶん誰にでもある、そこまで悪いとは言えない感情。だけど、ラストで結局は、旦那からも日々をうまくこなすための生活のシステムみたいに思われていたことが判明する。
自分が守りたいと思っていた結婚生活とか幸せとかは、実は虚像でしかなくて、他者を見下す(元彼)価値観のなかでの幸せでしかなかったことに気づく。
自分のことのように、ガツンと叩かれた気がする。
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ふとよぎった人間の醜い感情が徐々に浸透していき、気づいたらそれに慣れてしまっていることで後に引けなくなってしまうことを改めて恐ろしいと感じた。
登場人物みな反面教師にもできないくらいリアルで、むしろ世の中の人間を映し出す鏡のような話ばかりだった。
負の感情ってこんなにも細分化できるのか、、
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短編であり軽めで読みやすい文体のため一気に読めました。
ちょっとしたきっかけで取り返しのつかないところまで行ってしまうという、その過程を見るのはハラハラしますね。
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読み進めていく度に、嫌な想像ばかりが頭の中に浮かんでいき息が詰まりそうな感覚に襲われた。日常に有り得そうなリアリティだからこそ、より恐ろしい。
隠し通そうとするほど、状況が悪くなっていく。
だったら、素直に吐露してしまえば良かったのだろうか。汚れた手は、どうすれば良かったんだろう。
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最恐って触れ込みだし、火のないところに煙はの芦沢さんだし、ホラーミステリーか!?と思って読んだら全然別種の最恐ミステリーだった。でも間違いなく最恐。社会人の寿命が縮まるタイプの恐怖。ミスに気づいた時の眩暈とか、足元からくる震えとか、呼吸してるのに酸素が入ってこない感じとか思い出して寿命が縮む。もう読みたくないけど手放したくない!