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『レーエンデ国物語』の多崎礼さんのデビュー作です。
こちらの本は2006年に単行本が、2013年に書き下ろしの短編『遍歴』を収録した文庫本が刊行され、昨年新たに外伝『夜半を過ぎて 煌夜祭前夜』(2007年『C★N25』所収)が追加された決定版として単行本が刊行されました。
文庫本の表紙もすごく好きでしたが、こちらもめちゃめちゃ素敵な装丁ですよね。
冬至の夜に催される煌夜祭…〈語り部〉たちが十八の島々を巡り集め、夜通し語り継がれる物語。それは人を喰らう恐ろしくも美しい魔物と人との誓いの物語だった…。
いやぁ〜もうねぇ、すごく良かったです。良かったしおもしろかったんですが、一度読んだだけではあまりにも複雑すぎて誰が誰なのか理解しきれず、結局メモを取りながら2巡してしまいました。すごいです。2巡目の最後の最後まで、えっ、あの人があの人だったの⁈と驚かされました。
つらくせつないお話なんですが、とても優しく美しく、愛おしい物語でした。
あとがきに「願いかなわず、道半ばで倒れたとしても、絶望だけでは終わらない。その夢は希望となって後世の人々へ受け継がれ、長い長い年月を経て実を結ぶ。無駄なことなど何もない。すべてのことには意味がある。そんな物語を、これからも書き続けていく所存です」とあり、まさに『煌夜祭』も『レーエンデ国物語』も希望が受け継がれていく物語ですよね。ぜひ多崎さんの他のお話も読みたいと思います。
ちなみに本の最後にはQRコードがあり、特設サイトで書き下ろし短編「ぼんくらな島主」を読むことができました。こちらも良かったです。
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十八諸島輪界で冬至の夜、語り部たちが魔物の話を語る。そんなお話でした。
冬至の夜、煌夜祭の日に人を喰うと言われる魔物は、なぜ生まれるのか
どうして人を喰ってしまうのか
そこに意味はあるのか
それを紐解いていくような物語でした。
全てが救われるような話ではなかったけれど、すごく好きなお話でした。
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待ってました……!!!
レーエンデ国物語から、この作者の文章の上で奏でられるワクワク感の虜になってしまいました。
まとまった時間が取れず少し間を置いて読んでしまった部分があったのですが、1度読み終わってみるとこれは再度1日費やしてでも一気読みをしたい……!そう思えるほど伏線や情景描写が豊かな大人向けファンタジーでした。
以前文庫版では出版されていたようですが、こちらではしっかり濃厚な内容の外伝も読めるので購入必至です!
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多崎さんのデビュー作品。
恐ろしくも美しい魔物と人との誓いの物語。
こんなファンタジーは初めて!
全体を通してもの悲しい雰囲気が漂っています。
己の無力さに対する苦悩・後悔、人間の暗い部分について描きながらも決して暗くなく、希望と決意を感じてスラスラ読める。
あっという間に世界観に引き込まれ、ページをめくる手が止まりませんでした。
“魔物”がいて、歴史や人の思いを受け継いでいく“語り部”という特別な存在がいる世界。
語り部の「語り」で繋がっていく展開がとても新鮮でした。
語られる1つ1つの物語に新たな世界が広がっていて、読めば読むほど強く引き込まれどっぷりと世界観にハマっていく。
いろいろなことが繋がっていって大きな世界が見えたときは、何とも言えない気持ちになった。
新しい世界を夢見た王子。
魔物の存在理由を解き明かそうと生きた人。
彼らの軌跡を追いながら、とてつもなく長い時代を一緒に駆け抜けたような気分です。
静かで、悲しくて、強さと優しさを感じるストーリー。
今までに読んできたファンタジー作品とは、ひと味違った雰囲気で、クセになるおもしろさでした。
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語り部と呼ばれる人たちが、冬至の日に語る物語。
読み進めていくうちに、一つひとつのパーツがはまって、気がついたら、大きな物語の中に居ました。
多崎先生のデビュー作。Xで毎年冬至の日に行われているイベントも覗いていますが、先生の作風の原点は、ここにあるのだと感じます。
レーエンデは、ページ数が多くて、少し敷居が高い。そう感じておられるかたに、是非ともおすすめしたいです。
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魔物の姫に会ったあの時、彼らを救うと心に決めたんだ――人と魔物の誓いの物語。話題沸騰の著者の原点に外伝二篇を加えた決定版。
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多崎氏のデビュー作。
文庫版に収録されていた「遍歴」と、「C★N25」に掲載された「夜半を過ぎて」の短編2作を収録。
煌夜祭・完全版と言える一冊。
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静かで綺麗な物語。悲しく辛い場面もたくさんありますが、何度読んでも読了後は穏やかな優しい気持ちになります。
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この作品を一言で表現するとしたら、美しい、だと思う。レーエンデ国物語が話題になっているからまとめて3巻買いに行ったつもりが別の場所に置いてあったこの作品の表紙に惹かれて手に取ったら奇しくも同じ作家さんで、しかもデビュー作だったという巡り合わせで、先にこちらを読んだ。短編物は結構苦手だからはじめは短編に寄ってるなあと思ったが、繋がりがわかった途端、とにかく先が気になって仕方なくなって没頭してしまった。最後はただひたすら震えてしまった。ハッピーエンドかと問われたらそうでもないし、かといってバッドエンドというわけでもない。切なさも、優しさも、寂しさも、愛しさも、懐かしさも、悲しさも、嬉しさも、怒りも詰め込まれているのに、ぐちゃぐちゃじゃなくて、美しい。読み終わって、美しいなと感じた。物語という枠組みは、ミステリー小説とかとにかくそういう創作物全てが含まれていると思うが、この作品は、物語すぎる物語で、物語だった。ひさしぶりにこんなに物語という物語を読んで、なぜか安堵したというか、ほっとする気持ちになった。冬至の日にまた読みたいと思った。
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とても良かったです。
それぞれ独立した話としても素敵だし、それがまた繋がってて…!
レーエンデよりも好きかもしれないです。
魔物の存在が切なくて尊いです。
私も最後食べて貰いたいです。
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登場人物が多いのと話が交差しすぎてなかなか頭が追い付かなかったが、デビュー作だと思うと納得いくような気もする。
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冬至の澄んだ寒さがよく似合う
語り部を通して聞く物語の躍動感と
幕間の静けさの対比
炎に焚べられるイガ粉の美しさ
魔物の存在意義や戦いの悲しさに
受け継がれる思い
澄んだ声で語られる語り部の物語を聴いてみたいと思いました
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数年前に文庫本を読んでいて、最近書き下ろしを含んだ完全版が出版されました。
とっても好きな作品なのでめちゃくちゃ嬉しい!
魔物が出てくるファンタジー連作短編小説ですが、読みやすいし、短編同士の繋がりを考察するのがすごく楽しいです!
魔法などのファンタジーな感じはそんなにないので、ファンタジー読んだことない人にもおすすめですし、冬時期にぴったりの小説なのでこの季節に是非!!
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本当に私はこの作品に出会えて良かった、いくつになっても新しく一生心に残るだろう作品・世界に出会える、そんな体験が出来る本っていうのは素晴らしいなと思わせる、哀しくも希望に溢れたファンタジーです
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十八諸島では、年に一度、冬至の晩に、語り部たちが島々を巡り集めた物語を明かす日が訪れる。
ある島の廃墟では、焚き火を囲み、仮面をつけた語り部が二人。
夜を徹し、物語を紡いでいく。
この諸島では、厄災や波乱がある時期に、島主の血縁に魔物が産まれるという。
冬至の夜に人を食べ、日の光を忌み嫌う存在は、恐れられ、なぜ魔物になるのか?という謎は深まるばかり。
語り部の二人が交互に話をしていくと、少しずつ十八島の小さな話から、壮大な話へと切り替わっていくのが面白い。
この二人は一体誰なのか?
十八島はどうなった?
島が海流によって動く世界観や文化、政治など、この世界の仕組みが少しずつわかってくると、
段々と深みが出てくるようだ。