紙の本
エッセイを集めたもの
2021/12/07 18:27
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投稿者:健 - この投稿者のレビュー一覧を見る
すごく読みやすい。電車の中でも楽しめそうなとっつき易さです。特に忍者のことに触れているくだりが、印象的でした。
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東海道新幹線の車中で、右サイドに行ったり左に行ったり、突然デッキに飛び出したり、窓にぴたっと張り付いたり…という怪しい人物を見かけたら、ああこの人も関ヶ原マニアなんだな、と思うことにします。
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古文書を見つけたときの磯田先生の高揚感が手に取るように伝わってくる。王道ではない歴史のこぼれ話がリアルでとても面白かった。何度でも読み返したくなるような1冊。
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古文書の達人が伝える歴史の魅力。
著者は全国をめぐって埋もれた古文書を次々発掘。
そこから「本物の歴史像」を描き出し、その魅力を
伝えてくれる。
第1章 忍者の実像を探る
第2章 歴史と出会う
第3章 先人に驚く
第4章 震災の歴史に学ぶ
第5章 戦国の声を聞く
以前、NHKで忍者の特集が放送され著者が研究してい
たことは知っていたが、番組自体はそれほど面白くも
なく、本書のベースとなっている読売新聞の連載自体
も(たまに読んだだけであるが)それほど面白くなか
ったので、正直あまり期待していなかったのであるが
予想外に面白かった。ひとにおススメしたいくらい面
白い。
気になる点もいくつかある。忍者の先行研究として御
庭番を上げているが御庭番は忍者では無いという点や、
大久保忠隣の失脚が本多正信が忠隣を妬んだためとい
う点。関ヶ原合戦当時の武士は鉄砲を卑怯な道具と考
えていて足軽に持たしていたという見方など、ものの
見方、答えの出し方が性急な気がする。(ただし、本
書が一般向けのエッセイのようなものであるという点
を考慮する必要はあるかもしれない)
巻末に人物索引があるのが良い。文献索引もありなお
良い。東日本大震災をきっかけに、著者は未知の歴史
地震史料を調査し発見するべく活動の場を茨城から静
岡に移す。今後の活動にも期待したい。
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<目次>
まえがき
第1章 忍者の実像を探る
忍者の履歴書
秘伝書に残された忍術
忍者の俸禄
赤穂浪士と忍者
甲賀百人組の居所
江戸の化学者たる忍者
毒物が語る闇の歴史
第2章 歴史と出会う
「武士の家計簿」のその後
ちょんまげの意味
北陸の妖怪目撃記録
幕末に飛び交った不気味な声
連月焼のぬくもり
頼山陽の真贋
皇族旧蔵品の発見
斎藤隆夫の命がけの色紙
子どもと歴史の感動
古文書が読めるまで
司馬さんに会えたらという反実仮想
第3章 先人に驚く
天皇土葬化のきっかけ
江戸の狆飼育
殿様のお世話マニュアル
江戸の食品安全基準
江戸時代の倹約効果
日本人の習性は江戸時代に
手塚治虫と幕末西洋医
トカラ列島宝島の薩英戦争
龍馬暗殺時の政局メモ
陰陽師の埋めた胎盤
この国の経理の歴史
福澤諭吉と学者の気概
皇族・華族・不登校
第4章 震災の歴史に学ぶ
和本が落ちてきて
小早川秀秋の墓
心の丈夫なる馬を用ゆべし
東北の慶長津波
地震活動期に暮らす覚悟
江戸時代の「津波避難タワー」
フロイスの地震記事を追う
津波ではじけた干拓バブル
地震の揺れ時間
津波と新幹線
第5章 戦国の声を聞く
石川五右衛門の禁書を読む
五右衛門が獲ろうとしたもの
国宝犬山城の見方
小田原城主、大久保忠隣
家康と直江兼続
江戸城の弱点と攻略法
毛利が西軍についた瞬間
島津の強みは銃にあり
井伊直政はなぜ撃たれたか
関ヶ原見物作法①家康編
関ヶ原見物作法②三成編
文献索引
人名索引
初出一覧
***
著者は映画化された「武士の家計簿」の原作者であり、歴史学者である磯田道史氏。
武士の家計簿は当然知っていましたが映画、本とも見た事なく、この著者との結びつきも自分の中でなかったので、今回まるっきり初対面(?)で読みましたが、ものすごく面白かった…!!!
『わたしが知りたいのは「歴史のほんとう」である。歴史のほんとうが、隠されていればいるほど、探り出すことに興味を感じる。 (まえがき p2) 』
『誰も読んでいない古文書をみつけ、それを解読して、事の真実に迫る。わたしは、そういうものを簡平明な文章で書きたいと思って、本書をまとめた。 (まえがき p3)』
ということで、 よくある歴史小ネタ本に留まらず、現代語訳化、一般書籍化されていない古文書から引っ張ってきたネタが多いため、私もこの本で初めて知ったことがたくさんありました。「孫引き」ではなく、生史料からのお話は読んでいてワクワク!歴史ってこうなのね!とか、こうやって出会うのね!とか、まさに歴史の「愉しみ方」をまとめられています。
とにかく読んでいて面白い。
『そういうわけで、ずいぶんとたくさんの古文書を読み、さかんに現地を歩いてみたのだが、率直にいって、楽しかった。 (まえがき p3)』
理由はこの一文に尽きると思うのですが、著者自身がほんとうに歴史が好きで好きでしょうがないんだろうなと。
また、まえがきにも触れられている通り、東日本大震災を受けて著者は茨城から東海地震エリアの浜松に移住。
『しかし、古文書を解読でき、なおかつ歴史時代の地震を研究する大学の日本史研究者が、東海地方には一人も常駐していない。これは困ったものだと思い、機会があったので、自らのぞんで、浜松の大学に転職し、江戸時代以前の地震や津波の古文書を探して研究する仕事をはじめた。
第4章は、この過程で書いていったもので、これから起こる地震について、歴史から何が予見できるのか。 (まえがき p4)』
『こうした、現状のわれわれが突きつけられている課題について古文書の情報から何がいえるのか、ひとつずつ書いていった。 (まえがき p5)』
として、第4章は過去の歴史事象と絡めた地震・津波などの災害史的な話が多くなっています。
本書の趣旨内容とは若干それますが、本書内には著者の若い頃などのエピソードが多く紹介されており、それを踏まえて今この心境で仕事に当たられている著者をみるとすごく感慨深いものがあったり。その転換になったであろうことは、第3章の「福澤諭吉と学者の気概」に収録されています。
個人的に、「歴史って何の役にたつの?」という疑問については幾度も直面したことがあり、そのたびにその答えを探していました。私の専攻、また恩師の面で、結果的には磯田氏が辿りついた社会への貢献の仕方に限りなく近いものになっていますが、つまりここで悩むと言うことは、逆にいうと歴史と現代社会へのつながりを示す「モデルケース」が少ないということなんじゃないかと。それこそ、ある意味歴史が「道楽」として捉えかねない一面の事実なんじゃないかなぁと。
勿論過去の先人が「道楽」としてこれに興じていたわけではなく、ただそれを受け継いだり掘り起こしたりする、そういう活かし方が不十分だったのは間違いないと思います。
震災以降、災害史や環境史学の活動が益々活発になっていますが、そのあたりの動きを含めて個人的に著者の今後の活動に興味が湧きました。
しかし、最後に関ヶ原の話をもってきたのはうまいなぁと思いました(笑)きっとこれは狙ったに違いないと思っているのだけど、笑った。笑って終わったので、余計にこの本(歴史)が「面白い」と感じてしまうのでした。
『わたしは、歴史家だ。みみずの這ったような字で書かれた古文書の文字のなかに、きらめくような一行があって、だれもしらない真実をみてしまった瞬間がたまらない。いつやってくるか知れぬ、その瞬間のために、生きているようなものだ。 (p59)』
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新聞に連載していた歴史エッセイをまとめたもの。忍者、戦国時代、幕末等広く日本史全体から興味深いトピックスを紹介している。武士は、ちょんまげを結うために、頭頂部の毛を毛抜きで抜いていた等の恐ろしい話が出てくる。古文書を読む能力が非常に高いようだが、これだけのトピックスを探し出すためにはどれほどの量の史料にあたったのだろうか。地震史の資料探索のために浜松に移住して、震災関連の古文書の探索を進めているそうだ。歴史的史料を防災に生かすという成果が生まれる事を祈念している。
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本当に面白うございました。ぷっと噴き出す部分も。
地震に備える為に生活を捧げる著者の姿勢に頭が下がる思いも致します。
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磯田道史『歴史の愉しみ方 忍者・合戦・幕末史に学ぶ』中公新書、読了。『武士の家計簿』の著者が資料と足をもとに「歴史は面白い!」を実感させてくれる。忍者の実像、江戸のペット事情……。暗記すべきゴシック体の後ろに存在する息吹をたのしく紹介してくれる歴史エッセイ。歴史は苦手な方にお勧め
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2013年の読書初めはこの新書。
硬すぎず、やわらかすぎず、ウィットに富み、かつ読みやすい。おもしろい、としか言いようのない、歴史についてのあれこれ。歴史系の新書を読んで思わず笑っちゃったのは初めてかもしれない。
磯田氏の頭にふと浮かんだ「?」をもとに、いろいろ突き詰めていくんだけど、その「?」がいちいちおもしろい。その発想の源泉が知りたいです。
個人的にツボだったのは、忍者関連と関ヶ原見物作法。 東日本大震災を契機に、歴史書から過去の災害をひもときこれからの災害対策の研究を進めていく様は、これからの日本人は必読だと思う。
私が高校生だったら、間違いなく静岡芸術大学を受験しただろうな。
図書館で借りたけど、手元に置いて読み返したいので明日にでも買いに行ってきます。
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1つの話が短いので、隙間時間に読めます。「へぇ~×10倍」くらい初めて知ることがあって楽しかった!忍者関係など。東海道新幹線の楽しみ方、まねします。
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エッセイ風でちょっと期待外れだな、と思いつつ読んだが、案外面白かった。中学生なんかに読ませたら歴史を好きになるんじゃないかな、と思う。「殿様は冬場お湯で顔を洗っていたのか?」「江戸時代、狆はどう飼育されていたか」といった面白い話もあれば、東日本大震災をきっかけに、かつての大地震はどうであったか古文書から読み解くなど、今を生きる者に重要な情報もある。被災地復興の方法など、江戸の役人の方がずっとうまくやっている。地震は100年~500年の周期で考えなければならず、日本は今震活動期に入っているという。科学者だけでなく、歴史学者にも防災、復興、エネルギー開発の計画に参加してほしい。
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近世史に関する面白い話がいっぱいで楽しく読めたが、新聞を中心に連載をまとめたものであり、「読んだ感」はイマイチうすいのが少し残念。。。
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今まで読んだ歴史関連書籍の中で、断トツに面白かった。学生時の古文書の授業は退屈だったが、古文書のそのものは、おもしろワンダーランドなんだよなあ。そこに至れない人生をとても残念に思う。
新幹線で関ヶ原を通過する時の態度から直すべし。
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これはサブタイトルが勝っている本で、開けたらいきなりしばらく忍者の話。面白いのは、なんといっても自分で古文書等を入手して、次々に切り拓いていくところ。忍者の給料や労災死亡率を追い求めたり。道楽的話も多くてお気楽だな〜なんて読み進めていくと、なんと震災関連の話が待ち構えている。ここは我が意を得たり、という内容。花も実もある本だなあ。満足。
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やはり僕的には忍者の実像を探る章が一番面白かったです。「忍びの国」(和田竜、新潮社)のように、想像力豊かに描かれる忍者像も面白いのですが、古文書を根気良く紐解いて真の忍者の実態に迫る本書は新しくて面白かったです。
著者は古文書を読み解くプロですが、東日本大震災を超えて自分には何ができるのか模索した結果、震災に関する古文書から地震研究を行うことを思い立ち、より調査のしやすい地域に移り住むということをしています。
ただ通説をなぞるだけで権威を振りかざし多くの可能性を潰す学者より、忌憚なく立場を超えて自らの説を発信していける著者のような歴史家が増えて行くことを願います。